No.11ベストアンサー
- 回答日時:
日本に超高層ビルが少ないことの主たる理由は、法制度がそれを積極的に誘導しようとしないからだと言えるでしょう。
逆に、マンハッタンに超高層ビルが林立しているのは、それを誘導する複数の施策が採られているからです。一般に建築物を立てる際に重要となる法的制限は、高さ制限よりもむしろ容積率や建蔽率といった数字です。容積率というのは敷地面積に対する建物の床面積の比率で、これが500%であればその土地では敷地面積の5倍までの延床面積をもった建物が建てられることになるわけです。
これらの数字は都市計画法に定める用途地域制に従って建築基準法により決定されるのですが、わが国ではアメリカと比べれば容積率の天井が低く、数年前まで商業地域の最大容積率は原則的に1000%が上限とされていました(現在は最高1300%)。
ビルを開発する事業者にとってみれば、開発で得られる床面積をできる限り多くしたいわけですから、高い容積率が認められている土地ほど魅力があります。原理的に言えば、高層化すれば当然建設コストは増えますが、それに見合うだけの床面積増が得られる限り、高層化はペイする事業になり得るわけです。東京都都心部でもっと高容積の建物が認められていれば、バブルの時など、ディベロッパーは喜んで超高層ビルを開発したに違いありません。
要するに容積率という制約の中でわが国は現状のような状態になっているのですから、容積率のはなしを抜きにして建築コストのことをいっても始まりません。
また技術的な事を言えば、バブル期には大手ゼネコンが競って高さ1000メートルクラスの超々高層建築物の構想を発表したことからもわかるように、単純に技術的な問題なら既にクリアーされています。
わが国初めての高層ビル群が集まる新宿副都心を建設する際の苦労は割とよく知られていますが、どこへ行っても低層住宅がスプロールした形態の東京では、日影・通風などの面で高層ビルへの心理的抵抗が伝統的に強くありましたし、行政の側にも機能の集中にともなう上下水道や交通の面など、脆弱なインフラに対する心配もあったわけで、これらが結果的に商業地域でもあまり高くない容積率に反映されていたと言えるでしょう。
一方で、マンハッタンの高層開発は既に20世紀初めから始まっており、アメリカの中でも歴史的に特殊な経緯を持っていることもあり、言わば特区としての了解があったためにまず基本的な容積率設定が高くなっています。現在のものは私も知りませんが、30年ほど前で既に1500%の最高容積が認められていました。
デパートの上にコンドミニアムが乗っているといった機能混合型のビルが伝統的に多いことも、高密度化を推進しやすい背景のひとつになったでしょう。
加えてマンハッタンのユニークなところは、市場原理を導入した柔軟な都市計画が実施されていることです。例えばTDR(譲渡可能な開発権)と呼ばれますが、敷地と開発権を分離して管理し、ある建物の容積率を一定のブロックの中であれば別の建物に譲渡することが認められています。例えばある建物が規定の容積率を500%消化していなければ、その残った分を隣の事業者が買い上げ、自分のビルを500%分高くすることができるというわけです。もちろん登記もなされます。
これは80年代のミッドタウン・ゾーニングでも多用された手法なのですが、この施策のメリットは、ビルの林立する繁華街の中では保存が難しい低層の歴史的建造物などでも、余った容積を売却することで保存・運営の資金を捻出することができますし、行政側としても一定の地域内の権利譲渡であれば、総枠は変わりませんから上下水道などのインフラに追加投資する必要がないのです。
ロウアー・マンハッタンには、サウスストリート・シーポートという低層でなごめる水辺の飲食空間がありますが、これが可能なのも背景のウォール街などの高層ビル群に余った容積率を売却したからなのです。
また、マンハッタンは容積のボーナス制度も柔軟に活用されています。ファサード(建物全面)を揃えた街路を作ろうとした際に、一定のセットバック(建物面を街路から後退させる)を守って建築される建物に容積ボーナスを設定することで、行政の思う方向に開発を誘導することができますし、事業者としてもボーナスの旨みに加えて街路全体が整うことで資産価値の増大も期待できます。
この他、一定の休憩スペースや通風を確保した開発に対して容積ボーナスを与えるなど、容積を自在に活用することで民間活力を適性に誘導する切り札として容積率が活用されているのがマンハッタンの特徴です。
こういった施策の結果、マンハッタンではざらに2000%を超えるボリュームの建築が立ち並ぶ結果となっているのです。もちろん、ご承知のとおりマンハッタンの中でも高層建築が多いのはセントラルパーク以南のごく限定されたエリアで、その他の地域は中低層を誘導するゾーニングになっています。ある限定されたエリアだからこそ可能な施策である、ということが言えるでしょう。
No.10
- 回答日時:
>森ビルは今度上海に世界一のビルを建設するのに、日本にはそれくらいの高層ビルを建設しないのでしょうか?
単純に、予算がないからじゃろ?
ムリして借金してでっかいビル建てたって、テナントがおらんのよ。
生活コストばかり高いデフレ国なんぞ何の魅力もないもんねー。
金さんのおかげで安全でもなくなったしー。
No.9
- 回答日時:
ビルを建てる際の問題として
「地震」「日陰」「ビル風」「台風」などがあげられます。
地震・台風についてはすでに多くの方が指摘されているように、技術的には可能ですが、地盤が軟らかく、台風が多い日本ではコスト高になります。
さらに、建築中に自然災害に見舞われる可能性も高く、その対策もコストがかかる要因になるでしょう。
また建蔽率の高い環境では、ビルの壁から風が路上に吹き降ろされるビル風や、日陰も問題です。100階建てで、2k以上の長さの日陰が出来ることもあるそうです。
これらのコストを合わせてみると、日本での超高層ビルは、ちょっと不経済になるかもしれませんね。
No.8
- 回答日時:
日本でマンハッタンのような超々高層ビルを造ろうとした時に技術的に問題になるのは、地震よりも風(台風)です。
建物の高さが高くなればなるほど、地震力の入力は減りますが、風圧力は増大します。
とはいえ、技術的に不可能ではありません。揺れを吸収するダンパーや振り子などの制震装置を使えば1000m級の超々高層ビルも建設可能です。
しかし、マンハッタンの超々高層にくらべ余計な装置(制震装置←とても高価)を取り付けなければならないので、コスト的な問題が残ります。
No.7
- 回答日時:
皆さんがご指摘のように第一の理由は地震地帯かどうかということと建築基準法が理由でしょう。
次に考えられるのは土地の制約と旺盛な需要の関係でしょう。狭いマンハッタン地区で需要に応えるためには建物は自然と高層にならざるを得なかったと思います。その証拠に同じアメリカでもシカゴやロスの高層建築はマンハッタンに比べ劣っています。
直接的な原因ではないかと思いますが、日本人の持ち家、自社ビル志向も影響していると思います。例え2時間以上かかってもいつかはマイ・ホームを持ちたい、目抜き通りに自社ビルを構えたいが日本人の夢ですから、あまり高層ビルは必要なかったと思います。国際化、日本人の思考の欧米化で少なくともビジネスの世界ではそのような合理的でない考え方は少なくなったので、建築基準法が許す範囲で今後高層ビルがふえることでしょう。
No.6
- 回答日時:
他の方の回答にもありますが、地震もその1つです。
地震に耐える設計だと、300m超クラスではコスト的に合わないようです。
「金に糸目は付けない」ならば可能なようですが。
でも、たとえ高い使用料をガマンしても、使い勝手も悪いみたいですから。
それから、建築基準法の避難設備の基準のきびしさですね。
上の階にいる人たちが安全に自力で地上まで避難できる設計、って無理です。
No.5
- 回答日時:
例えば、アメリカのマンハッタンは地盤が非常に硬い岩盤で出来ており、基礎がしっかりと作れるので、高層建築も可能になります。
東京だと、関東ローム層と言う火山灰の地盤であるため、やたらと高い高層建築は立てられません。(技術的に立てられない事は無いそうですが)
つまり、建てる基本の地盤が問題になってくるわけです。
ニューヨークや上海など、地盤が良く、また、世界的経済の中心を担うであろう場所にはシンボル的なものとして高層建築が良いのかもしれませんね。
しかしながら、同時テロの時もそうであったように、突発的な災害には高層建築は弱いと思います。
日本に何故、超高層建築が無いのか?なのですが・・・。
客観的に見て、日本にそのようなものがあちこちに必要だと思いますか?
私は全く必要だとは思えません。
No.4
- 回答日時:
技術的に最大の理由は地震だと思いますよ.昔は,高さ制限が厳しかったようですが,最近はかなり緩和されてきていますよね.外国の都市では,現在でも景観保護のために厳しい高さ制限のあるところも多いです.
http://www.sanshiro.ne.jp/activity/98/k01/lectur …
個人的には,フィジーの高さ制限「ヤシの木より高い建物は禁止」というのが好きですが(笑).
あと,丸の内周辺の場合,「皇居をのぞきこむ」ような感じになってしまうので,高さを気にするケースもあるみたいですね.
No.2
- 回答日時:
日本の建築基準法が理由だと思います。
家やビルを作るのが日本は世界で一番厳しいそうです(おそらく地震などが理由)最近一部緩和されたために六本木ヒルズなどが建設できるようになったようです。
建設しないのではなく建設できないのですね。
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