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世の中には様々な、毒を持った生き物が存在しますが、彼らはいったい、
いつ、どうして、どうやって、毒を持つに至ったのでしょうか?

例えば肉食の生物が、その必要から爪や牙、
例えば俊足であったり、例えば擬態、鋭敏な感覚器官や独特の戦法など、
より効率のよい「狩り」の為に「身体を多様に変化」させるのは
何となくその流れが想像できるのですが、
生物が「毒」となる化学物質を体内で作りはじめるというのはとても不思議です。

もちろん生物は皆その体内で様々な化学物質を生成、分解していますが、
その中の一部を「毒」として利用し始めるという、
なんと言うのでしょう…「気づき」というか「きっかけ」
「流れ」を知りたく思っています。

語弊を恐れずに言うと、「どういう進化の流れが毒を持たせるに至るのか?」
という事もできるかもしれません。

非常に幅が広く漠然とした質問で恐縮ですが、お知恵をお貸しくだされば幸いです。
よろしくお願いします。

A 回答 (5件)

#1,#2のお答えでは、動物の例だけのお話のようですが、細菌・真菌類(カビやキノコ)・植物にも有毒生物は数限りなく存在します。

そのような多種多様な生物が毒性を持つようになった理由をまとめるとしたら、かなり強引で言葉足らずになってしまいますが、「生き残るためや子孫を増やすために有利であったから」となるでしょう。

一口で「毒」といってしまいますが、一般的には毒を持つ生物自体は、生理的にその毒の影響を受けない場合と貯蔵器官に分別貯蔵されることによってその生物自体は作用から逃れることがあると思います。前者のような場合、その有毒生物には無毒で他の生物には毒として作用することを「選択毒性(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%B8%E6%8A%9E% …)」といいます。

動物以外の生物では、選択毒性を持つものが多いですね。病原細菌のベロ毒素や、カビのアフラトキシン、植物のアルカロイドや青酸(シアン化合物)配糖体、その他微生物の抗生物質などが代表例になるかと思います。これらは、化学物質として捉えた場合、骨格となる構造には様々なものがありますから、その生合成経路もそれぞれの生物で独自に進化してきたと考えてもよいでしょう。もちろん、植物のアルカロイドなど特定の範囲の生物では類似の構造を持つものもあり、それらの場合は近縁の生物は共通の代謝経路を利用して毒物を生合成している場合もあります。

これらの毒を持つようになった理由は、大雑把に3つに分けられるのではないでしょうか?

1.一部の動物が持つ被捕食者(食べられるもの)を麻痺・捕殺するための毒(#1、#2のお答えに詳しいです)。

2.その生物が身を守るために、内部に持っている毒(#1のお答えの「防御型」)。

植物やカビ・キノコではその一部が動物に食べられても、効果的な毒をもっている場合、それ以上食べられずにすみます。したがって、毒をもっていれば、効果的な防御を行い、生存・繁殖に非常に有利です。でも、時には「蓼食う虫も好き好き」というように、その毒に対して反応しない捕食者(食べる動物)もいて、必ずしも万能とはいえないようです。また、植物は微生物の感染に対してファイトアレキシン(http://www.pharm.or.jp/dictionary/wiki.cgi?%E3%8 …)と言う物質を出して対抗することも知られています。

動物の場合は捕食されると、その個体そのものは死んでしまいますが、捕食者を毒で殺すことによって、仲間(同一生物種や近縁個体群)の捕食の可能性を減らすことができます。広い意味では、ハチの毒などもこの分類に入れてよいでしょう。以上をまとめると、動物や他の生物の区別無く、毒は捕食者への防御手段として、有効であると考えられます。

3.比較的近い生物との競争に勝つための手段
同じような生物が同じ場所で生き抜くためには、熾烈な生存競争があります。このとき、他の生物の生長をとめたり、相手を殺したりすることによって、自分自身が生き残ることができます。このような毒性物質の生産としては、微生物の抗生物質や植物のアレロパシー物質(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%AC% …)が他の植物の生長を邪魔する例などあります。

病原微生物の持つ毒素などは上記3つの分類に相当しないようなので、良くは判りません。「食べた動物を弱らせて自分自身が繁殖しやすくする」というような考え方もできるのですが、個人的感想なので、その信憑性のほどは不明です。

以上、ご参考までに。
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この回答へのお礼

ありがとうございました。大変興味深く拝見させていただきました。

やはりまず「毒」と言うものの認識から変える必要があるのだなと強く感じました。

特に選択毒性という性質があるということは大変参考になりました。
なんというのか、言葉のイメージなのでしょうか、「毒を持っている」というと
その生物が選んで、種々の効果を持つ毒を装備する様になった…という様な気がしていましたが、
やはり結果的に「毒」的な効果を発揮するような物質を持っている、
あるいは持つ様になった(進化の過程で効果が高くなるような変化を辿った)
のだということが言えるのではないかと感じました。

ある毒蛇蛇からすると、
「え?咬んだら獲物は動かなくなるでしょ? 人間は違うの? 毒? 何それ、そんなのないよw」
てな事なのかもしれないですねw

人間が「毒」と呼んでいるだけで、それは何も特別な物質ではなく、
進化の流れ、自然なグラデーションを辿った末の
形質、形態、物質であるのだなと感じる事ができました。

大変参考になりました。ありがとうございました。

お礼日時:2009/10/12 16:12

いわゆる「フグ毒」テトロドトキシン (TTX) は実はフグ以外にも持っているやつがいて, 本当は「フグが餌としている細菌に由来する」そうです. 実際, うまいこと養殖すると「毒を持たないフグ」なんてのも育てることができます. これで下関あたりが「特区」を申請したんだけど却下されてる.


あと, コアラはユーカリを主食にしているわけですが, このユーカリも毒を持っています. この辺も微妙な進化の歴史があるようで, 実はユーカリが毒を持っていることがコアラの生存に有利に働いている (他の生物がユーカリに近付かない: これにはユーカリが匂いを持っていることも影響している) という側面もあるそうな. とはいえ一方でユーカリも毒性を増やしたりなんかということで, 目に見えないところでいろいろと競争はあるようです.
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>結果的に「毒」的な効果を発揮するような物質を持っている、あるいは持つ様になった



多分、そういったことなんだろうと私も思います。前から持っている代謝系に突然変異がおきて作った新しい物質が、食料確保や自衛などに有利な物質であるために引き続き子孫にも利用されるようになった。そういった物質として、他の生物に害を与えるものが、選択毒を含む「毒」となったのだと思います。


>ある毒蛇からすると、(後略)

ヘビが持つ蛇毒についてはもしかするとそういった例があるかもしれませんが、私が知る狭い範囲では残念ながらそういった例はありません。

でも、それに近い例では、非常に面白い例があるそうです。「魚毒とは何ですか?(http://okwave.jp/qa5271053.html)」では、#6のお答えの中段に魚だけ殺して人間には無毒な魚の毒を使った「魚毒漁法」が挙げられています。


>人間が「毒」と呼んでいるだけで、それは何も特別な物質ではなく

そうですね。前の回答にあげた植物のアルカロイドなども様々な植物で一般的なものであり、人がそれを摂取するときは使用量によっては「毒」になったり「薬」になったりします。私も生物の世界を見るときも、ついつい人間からの視点になりがちなことが多くありますが、人間も多くの生物の中の一つの存在でしかないと振り返らないといけないのかもしれません。
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いろいろな考え方があると思いますが、私はどうも食糧を得るためのもののように思われます。

毒蛇の毒素は確か消化酵素から進化したものだったと思います。つまり噛みついた獲物を食べやすくなるための手段として殺したり動けなくさせるということかなと思います。そのほかの場合もあるとは思いますが・・・
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この回答へのお礼

>毒蛇の毒素は確か消化酵素から進化したもの

なるほどと思いました。
やはり「毒の由来」というものが私の疑問をはらす大きな鍵であると
再確認させていただきました。
いささか「毒」という言葉に私自身が惑わされていた感があったのかもしれません。
結果としての毒であり、目的としての毒ではない…。
そう考えると進化の自然な流れが感じられる気がいたします。

ありがとうございました。

お礼日時:2009/10/12 15:47

直接の回答にならないかもしれませんが…。



毒を持つと言っても
マムシ、ハチ、サソリみたいな「攻撃型」とフグやヤモリドクガエルみたいな「防衛型」がいますね。

攻撃型は、攻撃単体では弱く捕食できないし、逃げられる可能性もある。でも毒を使う事で攻撃力が高まり、逃げられても近くで力尽きるから逃げられ損がない。だから使うのでしょう。

ちなみに生物毒の多くは「たんぱく質」で出来てるそうです。

聞いた話ですが、マムシの毒は咬まれて血管に入ると効果を示しますが、飲むと何も起こらず体内で分解、吸収されるそうです。

スズメバチの毒は、異質のたんぱく質を注入し、人間に強度のアレルギー反応を起こさせ、そのショック症状で死をもたらします。 食物アレルギーの大半がたんぱく質製品である事も関連付けられます。

ヤマカガシというヘビは一般的に無毒と思われてますが、実は溶血毒を持ってます。咬まれると毒の効果で血液が固まらず、流血が止まらなくなります。ただ毒の量が少ないので命に関わるものではありません。そういう意味では「蚊」が血を吸う時に出す唾液も一種の毒と呼べるかも…。

フグなどの「防衛型」は食べられそうな時や食べられた時、やられ損にならない為に毒を使うのでしょう。
自分も死にますが、食べた相手も死ぬわけです。 フグの仲間にハリセンボンがいますが、彼らは身体のトゲで身を守る進化を取ったのでしょうね(毒の有無は不明)

フグ毒もテトラドトキシンというたんぱく質で出来た毒ですが、こちらは人間の体内では消化出来ず、神経系統に異常をきたします。

私が知るのはこの位で…(笑)
お邪魔しました。
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この回答へのお礼

ありがとうございます。大変参考になりました。

生物毒の多くはタンパク質でできているというのは、
驚きと同時に大変納得いたしました。

私は、生物が「毒を持っている」状態の不思議へ関心が傾き過ぎ、
その「毒が何であるのか」という勉強が不足していた事に気づかせていただきました。
成分から「毒」の由来をさぐることもできそうですね。
ありがとうございました。

お礼日時:2009/10/12 15:38

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