プロが教える店舗&オフィスのセキュリティ対策術

整流回路において、整流前の交流電力と、整流後の直流電力の比率(整流効率)についてお伺いします。交流に弱い電気技師です。
単純な半波整流回路ですが、一応説明しますと、降圧トランスで商用100Vから十数Vの交流を取り出し、ここに交流電圧計、交流電流計を接続、電流計の一端からダイオード1個を通して半波整流します。平滑回路のコンデンサーを経て直流を取り出します。そこに直流電圧計、直流電流計を経て抵抗負荷を接続します。
さてこの回路において実験をしました。その実験の結果、入力交流電力(交流電圧計×交流電流計)と出力直流電力(直流電圧計×直流電流計)の比率、すなわち出力直流電力/入力交流電力の値は0.5以下になりました。
普通の場合、電気回路の損失は熱になって失われると思いますが、この整流回路では顕著な発熱は認められません。
50%以上の損失はどこにいったのでしょうか?これがお伺いしたいことです。
私の貧弱な知識から想像するに、交流電力は皮相電力を測定しているようなので、求めた整流効率50%以下の値は、直流電力/皮相電力の値でしょう。
一方、直流電力/有効電力は恐らく100%のはずですから、有効電力以上の無効電力が整流効率を50%以下に下げているのではないだろうか? と、考えては見るのですが順抵抗負荷なのになぜ無効電力があるのか、しかもその値が有効電力よりも大きな値なのは何故?分からないことばかりです。
どなたか、理論的に説明していただける方からのご教示をお願いします。

「整流回路の変換効率」の質問画像

A 回答 (5件)

半波整流回路における入力電流(実効値)はこの資料の


http://www.onsemi.jp/pub/Collateral/HB206-D.PDF
p.63~の'SECTION 8''DESIGNING THE INPUT SUPPLY'部分で,
'Figure 8.4. Relation of RMS and Peak.to.Average Diode Current in Capacitor.Input Circuits'
がそうです.当然ですが,半波は'Half-Wave'の部分を見ます.
使用している図表はRCAの技術者O.H.Schadeが1943年に発表した論文に載ってます.
論文は周囲の電気屋に聞けば何人かは必ず入っている団体のIEEEから入手可能です.

整流回路自体の効率は90%程度は行くはずですが,図示の測定方法は実効電力ではなく皮相電力ですね.
実効電力を測定するには電力計を使用します.
50%ととゆうのは,ダイオードの損失は少ないんで効率よりも力率に近いです.
なぜ力率が悪化するのかとゆうと,電流波形が歪むからです.
ここに,整流回路の簡易シミュレーションがあるから電流波形を見るとエエです.
http://homepage1.nifty.com/th3/rect.htm

波形が歪むと高調波が含まれ,電流波形の高調波とほとんど歪まない電圧波形の基本波の積の1周期の平均はゼロになることから力率が悪化します.
式で書けば,
{1/(2π)}∫(0→2π)sin(θ)・sin(nθ)dθ=0
ただし,n≠1
ですね.
つまり,高調波成分がすべて無効電力になるわけです.
これから,歪み率HDと力率cosφの関係は
cosφ=1/√(1+HD^2)
となります【正確には基本波電流×基本波電圧の力率(相差率)cosγも影響する】.
これから,ダイオードの損失を無視すれば歪み率は173.2%とすごく歪んでますね.
    • good
    • 1
この回答へのお礼

ちょうど私に分かり易いレベルでご説明いただき、ありがとうございます。モヤモヤしていたものが、すっきりし始めました。考えるきっかけをいただきました。
ついでに、すべての高調波がすべて無効電力になると、初めて知りました。偶数次高調波は対称性から直感的に分かりますが、奇数次は検証してみます。

お礼日時:2010/03/06 08:49

ANo.1 です。


#3さんが詳しく説明されていていますが、一部重複しますが別の角度から説明いたします。
交流側のAC測定器は、通常の平均値測定の実効値換算型の測定器を使用されていると思います。
AC波形が正弦波形であれば指示値は正常なのですが、波形が歪んでいると高めの指示値になり、実際の皮相電力量(VA)より『電圧x電流』は高く計算されます。
 ダイオードを通してコンデンサに充電すると非直線性の電流が流れるので、高調波を多く含んだ電圧が発生します。
コンデンサに充電開始する時の電圧と充電停止の電圧範囲が発生し有効電力量は単純には求められません。

非直線回路の場合の電力計算は、
基本は瞬時電圧と瞬時電流から瞬時電力を求め、それを平均することによりまず有効電力Pを求める。
また、電圧Vの実効値と電流Iの実効値の積から、皮相電力Sが求められる。
S = | V | | I |
さらに、皮相電力と有効電力、無効電力Qの関係式
S=√P^2+Q^2
を変形すると、皮相電力と有効電力から無効電力が求められる。
Q=√S^2-P^2

これらの理論と電源高調波問題の規制で、先の#3さんの紹介の様な測定器が存在しているのです。
真の実効値(TrueRMS値)を測定できる測定器は、かなり古くから流通していますので企業なら少し高級タイプのパネルの表示を確認すると見つかるはずです。

ちなみに、これらの高調波の問題で法規制が浸透しており、「アクティブPFC」搭載のPC電源が見られるのはこのためです。
 
    • good
    • 0
この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。anachrocktさんとKEN_2さんの回答から、多くの高調波成分が多くの無効電力になっていることがよく分かります。
特に、平均値測定、実効値換算型計器が歪み波形では多めに表示すると教えられました。

お礼日時:2010/03/06 09:02

一般的に交流回路の電力を測定する場合、電源電圧と流れる電流を測定して


双方を単純に乗じても、皮相電力(VA)であり有効電力(W)にはなりません。
力率と言う成分の数値が必要です。また、この力率を測定する必要があります。
力率計により力率を測定して、次の計算式により計算します。
単相電力(W)=電圧(V)×電流(A)×[力率(%)/100]
または、交流電力計(W)を使用して直接求めることができます。

重要な点として、今回の接続では整流器とコンデンサを使用していますので、
入力電流の波形が正弦波ではなく歪んだ波形となっています。
この歪んだ波形でも正しく測定できる[真の実効値(RMS形)]の電流計を使用する
必要があります。

[真の実効値(RMS形]の電流計には次のURLにあるような測定器を使用します。
[クランプオンAC/DCハイテスタ 3287, 3288]
http://hioki.jp/328788/index.html

同様に力率の測定も通常の力率では無く[総合力率]と言う考え方をします。
総合力率は次の計算式より求めます。
総合力率(%)=入力電力(W)/[電圧(V)×電流(A)]×100

なお、質問に書かれている通り、歪んだ電流が流れた場合、電圧と電流の位相
の関係よりも、無効電力分があるため、入力電力も変化する結果となります。
上の計算式は次の計算式と見なせることになります。
総合力率(%)=有効電力(W)/[皮相電力(VA)]×100
また、結果的に入力電力計も歪んだ電流でも正しく測定できる測定器を使用する
必要がありますので、
(1)電流力計形電力計の測定器を使用するか、
(2)次のような専用の測定器を使用して測定します。
[モータ・ハーモニックハイテスタ 3194]
http://hioki.jp/3194/index.html
または、
[パワーハイテスタ 3193]
http://hioki.jp/3193/index.html

今回の場合、上の測定器を使用して入力電力(W)を測定しますので、総合
力率は計算しなくても良いことなります。
上記の測定器を用意して再測定し、再計算されると良いでしょう。

直流回路の測定については、力率は関係ありませんので、測定した結果をその
まま計算すれば良いと思います。

直流電力(W)=電圧(V)×電流(A)


関連して、このような「歪んだ電流が流れますと、この電流には[高調波電流]が
含まれている」と言い方もあります。
[高調波]の用語で検索しますと、いろいろ解説が見つかると思いますので、
調べられると良いでしょう。

http://www.kikusui.co.jp/knowledgeplaza/harmonic …
    • good
    • 0
この回答へのお礼

非常に実験的なご回答ありがとうございます。残念ながらご指摘の測定器類を持ち合わせておりません。そこで、なんとか数式で導いて効率を出したかったのですが難しそうですね。

お礼日時:2010/03/05 06:11

>50%以上の損失はどこにいったのでしょうか?これがお伺いしたいことです。



ダイオードの入力側の瞬時電圧がコンデンサーの両端の電圧を越えている時間は交流周期の1/2より少ない時間ですので、その短い時間だけ、ダイオードが導通して交流の瞬時電流が負荷側のコンデンサの充電と負荷抵抗に流れますが、交流の1周期の1/2以上の時間の間(交流の瞬時電圧が減少に向かい負になって上昇してコンデンサーの電圧以上になるまでの時間)交流回路側はダイオードにより遮断されていますので、この時間区間の交流電力は直流電力に変わりません。ダイオードでの遮断期間の直流電力は、ダイオードの導通期間(交流周期の1/2より少ない時間)の電力によって供給されたもので、その期間にコンデンサーに蓄積された電気エネルギーによって直流電力となっているだけで、ダイオード遮断期間(1/2周期以上期間)の交流電力(1/2以上)が捨てられ負荷側で利用されていないことになります。
このため、変換効率が50%以下になっているわけです。

有効電力、無効電力の交流理論は、スイッチやスイッチ機能をするダイオード回路のような負荷に対しては適用できなく、抵抗性負荷に、容量性負荷や誘導性負荷が加わった交流回路に対して適用できる理論だと思います。それを無理やり、無効電力や有効電力の理論を適用するのは無理があります。スイッチ回路の場合は電気エネルギーの伝送(受け渡し)効率で考えた方がいいと思います。つまりダイオードの導通電流がコンデンサーおよび負荷抵抗に受け渡した電力エネルギー分の電力と負荷抵抗の直流電力の変換効率で考えればいいですね。
    • good
    • 1
この回答へのお礼

早速のレスポンスありがとうございます。
>ダイオード遮断期間(1/2周期以上期間)の交流電力(1/2以上)が捨てられ負荷側で利用されていないことになります。
この点は、ダイオード遮断期間(1/2周期以上期間)は交流電流が流れない。すなわち、入力交流電力が発生していない。と考えていますがいかがでしょうか。

お礼日時:2010/03/05 06:17

整流回路が半波整流ですので、電流の流入量が1/2の時間になりますから変換効率50%となっています。


整流を全波整流とすると1/1の電流流入時間になりますので、この場合は100%に近い効率になります。
 
    • good
    • 0
この回答へのお礼

早速のレスポンスありがとうございます。
>全波整流とすると1/1の電流流入時間になりますので、この場合は100%に近い効率になります。
実験では、半波より効率アップしますが、100%近いとはいえません。
数値の問題より、順抵抗負荷に対して何故100%ではないかを理論的にご説明いただければ助かります。

お礼日時:2010/03/05 06:21

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!