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「文化人類学」と「民俗学」の違いがわかりにくいです。概念ではなく、具体的な例を挙げて教えていただけないでしょうか。

1.「文化人類学的」研究という場合、「方法論」が文化人類学的という意味なのでしょうか。(「民俗学」の場合は歴史を見ていくんですよね?)

2.例えば子どものお遊戯を研究するとした場合、
「文化人類学」ではどういう方法が考えられますか?(「民俗学」ならお遊戯文化の変遷を見ていけばいいんですよね?)

3.文化人類学の対象は、外国、あるいは未開の地でなくてもいいんですよね。例えば東京の路上で歌うミュージシャンについて調べたいとするならば、どういう問いが立てられるでしょうか(一例でけっこうです)

混乱しています。1.2.3のいずれかでもけっこうですので、具体的な回答をお待ちしています。

A 回答 (2件)

 まず重要な前提として、日本で「民俗学」と呼ばれているものが、世界で「民俗学」に該当するものとかなり違うということだと思います。

日本のは柳田國男が始めたものですよね。それに対し、世界、特に西欧で発達したものは、これとかなり違っています。後者は人類学の中に含められることも多いです。

1.「文化人類学的とはどういうことか」という問題自体がよく学部や修士課程レベルのゼミの主題になっているようです。ghostbusterさんがおっしゃるように、文化人類学にはこの点で合意がありませんので確かなことは誰にも言えないでしょうが、それでも恐らくは誰も反論しないだろうこととして、以下の二つがあります。
 まず重要な方法論としてのフィールド・ワークです。民俗学で行われがちな長いスパンで一つの地域の短期滞在を繰り返すというものより、たった一度でも長期で現地人のことを丸々見ようとする傾向が強いように思います。また、フィールド・ワークを通して現地人が物事をどう見ているのかに迫ろうとする傾向も、近年は強くなりました。
 次に文化相対主義という考え方があります。どの文化が良いとか質が高いとかではなく、どの文化も等しく価値を持っているという考え方です。よって、伝統の研究や伝統がどうなっていくかに着目したがる民俗学とは違い、paymentさんがおっしゃるように「路上で歌うミュージシャン」だって対象となり、それも等しく研究する価値を持っていることとなるのです。

2. どういうものを「お遊戯」と考えるかは社会によりことなるので、一元化することは容易ではないと思います。
 ただ、ghostbusterさんがおっしゃるように、「お遊戯」の共通前提に迫るということは文化人類学で行えることだと思われます。例えば、「お遊戯」が単なる暇つぶしや楽しみではなく、社会的にどんな機能を持っているかを考えるとか、特定の「お遊戯」が実は社会風刺であるという研究もあるようなのでそれらを調べて理論化していくとか・・・。

3. 文化人類学の中に都市人類学という分野があります。実際にイギリスのミュージシャンを研究した「Hidden Musician」という本もあります。主に、都市の無数の人々が特定のバンドに加入することとなる道筋を、フィールドワークに基づいて明らかにした本です。
 他にも「路上で歌うミュージシャン」が作るサブ・カルチャーがどういう機能を果たしているかとか、特定のミュージシャンに集う聴衆が作り上げるサブ・コミュニティを扱うとか、出来ることは色々あると思いますよ。

 興味深い好奇心をお持ちですね。私でお役に立てたかは分かりませんが、私ならむしろ枠組み(学問分野)はどっちでもいいから自分の関心の世界にドップリと漬かりますね。近年ますます既存の枠組みは消えていく傾向にあり、どちらに接しても出来ないことはないようですし・・・。
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この回答へのお礼

過去の質問にお答えくださって感謝します。

「たった一度でも長期で現地人のことを丸々見ようとする傾向が強い」「私ならむしろ枠組み(学問分野)はどっちでもいいから自分の関心の世界にドップリと漬かりますね」ほか、大変参考になりました。

お礼日時:2003/09/13 10:08

定義に関しては、各研究者によって微妙に異なると思うんですが。



大雑把に言って、民俗学、というのは、主に自民族を扱うもので、テキストではなく、伝承文化を採取することによって、所属する国や民族の文化をあきらかにしようとするもの

文化人類学とは、ある民族文化の特質を、他文化との比較によって研究するもの

という理解の仕方を自分はしています。

1.民族学でなく、特に文化人類学というと、何を対象とするか、よりも、対象をどうとらえるかの方法論的学問になってきます。
それに対して民俗学の場合は、歴史といっても、テキストではなく、伝承文化を採取します。

2.文化人類学的方法というと、フィールドワークが前提です。他民族に残るお遊戯を調べ、その文化や社会の中でどのような位置を持っているか、を見ていき、諸民族・諸文化に共通する原理を発見する、というやり方が考えられると思います。
民俗学にしても、各地に残るお遊戯を採取していくことが不可欠です。異なる世代間の遊び方によって、変遷の跡をたどっていくことができると思います。

3.ストリートミュージシャンですか。
なかなかおもしろい観点ですね。
たとえばストリートミュージシャンのバックグラウンドを記録していく、というのはどうでしょうか。
年齢、始めたきっかけ、影響を受けたミュージシャン・・・。
ただし、文化人類学的方法を取ろうとするならば、できるだけ多くのミュージシャンに会って、話を聞いていく必要があります。プラス、日本だけではなく、諸外国でのフィールドワークも必要となってきます。

実際にやってみる価値は十分ある題材だと思います。
三年程度のスパンで研究されてみてはいかがでしょうか。
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この回答へのお礼

平易な言葉で教えていただきありがとうございました。

お礼日時:2003/08/21 15:50

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