次の通り、運動量保存の法則では、衝突前の運動と衝突後の運動量の和が同じになると言います。
1/2m1(v1)^2 + 1/2m2(v2)^2 = 1/2m1(v3)^2 + 1/2m2(v4)^2
しかし、この式は衝突時に発生する衝撃音について何も言っていません。
衝撃音と運動量保存則の関係が分かりません。そこで、次の疑問が生じています。
(1)衝撃音が発生するということは、エネルギーが他に変換されて外に逃げる現象に思えます。
ということは、衝撃音が発生するのは、運動量保存の法則が守られていないという
ことなのでしょうか?それとも、保存則は守られていながらも衝撃音が発生するという
ことなのでしょうか?
(2)衝撃音は消すことが出来ますか?
どうすればいいでしょうか?
(3)衝撃音を消すことができるとすると、発熱等別の現象が発生しますか?
別の現象の発生は避けられませんか?
以上3点が、分かりません。
宜しくお願いします。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
運動量と運動エネルギーは別の次元の量です。
「運動量」は前者の量で、
「力学的エネルギー」「運動エネルギー」「音」「摩擦(熱)」は、後者の量ですので、
これらは関係ありません。
等式等でも結べません。
衝撃音等は、後者の、力学的エネルギーの話です。
衝突において力学的エネルギーが変化しない場合(熱や音でエネルギーが逃げない場合)
を「完全弾性衝突」と言い、この場合は熱や衝撃音が起きません。
しかしこれは近似的な話であり、
実際は(とても厳密な話をすれば)必ず熱等でエネルギーは逃げます。
しかし、だからといって、物理学が非実用的というわけではありません。
完全弾性衝突が「現実を非常によく近似」する場合、
それで計算して十分実用的なわけです。
また、蛇足ですが、運動量保存則も実は近似式です。
衝突時間Δtを0に近似し、
重力等弱い力による物体への力積が運動量の和を変化させるのを無視しているわけです。
物理は近似の学問ですので、
厳密に考えると違和感が残るものも多いと思いますが、
それで厳密性を犠牲にしているわけではありません。
今後数学で(一次)近似といった概念を習うと、
近似する事の妥当性について理解が深まると思います。
回答ありがとうございます。
物理学の式の多くが近似式であることを聞いています。
ですから、この場合もそうだと言われても、酷く驚くと言うことではないのですが、
「やっぱりそうか」という感じです。
ともあれ、詳しい説明ありがとうございます。
No.4
- 回答日時:
補足、承りました。
>それでは、弾性体ではない、物質の真空中の衝突の場合はどうなるでしょうか?
衝突しても歪まない、その中での力の伝達速度も無限大である剛体なら、でしょうか? マクロな物体の場合、剛体は相対論により否定されます。光速度を超える力の伝達があるから単純に否定するわけではありません(いや、そうしても良いのですけれど)。しかし、相対論的に矛盾が生じるのです。剛体は加速できない、つまり動かすことができないのです。ですから衝突しても何も起こりません。
このことについてなら、ご興味があれば説明いたしますので、仰せつけください。ただし、衝突ではなく「剛体」というものがあるかどうかについてです。ないのなら、その先の衝突は考えなくてもよいですね。加速できないんですから。
しかしミクロならあり得るでしょう。質点ということはニュートン力学の学習でよく使われます。例えば電子は大きさ0ですから質点といえ、これがぶつかっても構いません。ただ、その場合に関するこの質問についての私の勉強が足りないので、これ以上は申し上げられません。申し訳ありません。啓蒙書などで見る限り、衝突における損失は無視できるようですけれども……。
No.2
- 回答日時:
お礼、ありがとうございます。
>ということは、現実的には衝突前後において系の運動エネルギーは保存できない。
はい、現実の衝突問題ではその通りです。
衝突した弾性体に残った振動も、たとえそれが空気中に音として逃げずとも、やがては弾性体の摩擦(変形も摩擦のようなものがある)で熱に変わってしまいます。
弾性体に発生したこの熱をもう少し考察すると、空気に接していることによる対流熱、以外に、真空中でも放射熱があります。これは物体の外部環境(太陽光など)いかんで、熱が逃げたり、あるいは外から吸収したりと、いろいろある事が予想されます。
回答ありがとうございます。
放射熱等、色々考えたいのですが、とりあえず弾性体について突き詰めたいと思います。
お答えでは、弾性体の衝突では内部に振動が残り・・とありますが、
それでは、弾性体ではない、物質の真空中の衝突の場合はどうなるでしょうか?
摩擦熱、音の問題は回避できる気がするのですか・・・
宜しくお願いします。
No.1
- 回答日時:
お示しの式は、運動量保存則の保存の式ではなく、運動エネルギー保存の式です。
これは必ず成立するとは限らない式です。1)衝撃音もエネルギーがあり、これがが発生するということは、系の運動エネルギーが失われることを意味します。
2)実際の物体は剛体ではなく弾性体であるため、音を消すことはできません。どういうことか、有名な金属棒の衝突で説明します。同じ材質、同じ太さの棒が2本あり、一直線上で衝突させるとします。短い棒が走ってきて、静止している長い棒に衝突するとします。
■■■ → □□□□□□
このとき、走ってきた方の棒が止まっている棒の方の棒の長さ以下でありさえすれば、衝突後、走ってきた短い棒は静止し、長い棒が動き始めます。これは剛体の力学では考えられないことですが、ばねのような性質を持つ弾性体ならではの現象です。
このとき何が起こっているかというと、衝突した瞬間、両方の棒にパルスのような粗密波が、それぞれ一つずつ発生して、反対側に走って行きます。
このときはまだ双方の棒は静止して密着したままです。粗密波は棒の反対側の端で反射して帰ってきます。もし空気中なら、このタイミングで音が放出され運動エネルギーの一部が失われます。
短い棒のほうの粗密波が先に元の端に帰ってきて、長いほうの棒を押し出します。このため、長いほうの棒は動きだし、短いほうの棒は静止になります。
それから長いほうの棒の粗密波が端に帰ってきますが、もう離れているためまた端で反射します。つまり、長いほうの棒の中では、この粗密波が行ったり来たりを繰り返します。この粗密波のエネルギーは衝突後に失われた運動エネルギーになります。
空気中では、この残った粗密波により音がエネルギーがなくなるまで出続けます。
もし、双方の棒の長さが等しければ、どちらの棒にも粗密波は残らず、このときが一番静かです。つまり、音として失われる運動エネルギーは最低で済みます。しかし、先で述べたように1回は音は出ますので、全く音を出さないというわけには行きません。
3)仮に音を最低限度に抑えても、粗密波が棒の中を伝わるときに、変形や摩擦により最終的に熱としてエネルギーは一部失われます。これも運動エネルギーの失われる原因となります。
以上、特殊な事例で申し訳ありませんが、ご参考までに。
回答ありがとうございます。
質問を出した後、色々考えている内に真空中であれば、音を消すことが出来ることに気がつきました。
その後、cozycube1さんから回答をいただき、先の気がついた点を含め考え以下の疑問が生じました。
真空中であれば音は発生しませんから、音によるエネルギーの放出問題は避けられます。
そうすると、変形や摩擦による熱エネルギーが問題として残ります。
熱エネルギーは空気がないので、空気中に放出はありません。
とすると、衝突物へ蓄積されるということになると思います。
これは避けられそうもありません。
ということは、現実的には衝突前後において系の運動エネルギーは保存できない。
という理解でいいでしょうか?
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