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獣医公衆衛生学って何ですか??

A 回答 (1件)

 獣医師です。



 かなり漠然とした質問で答えにくいのですが、とりあえず私が学生時代に使っていた「獣医公衆衛生学概論」の目次をリストアップしてみましょうか。

第1章 公衆衛生の概念
1.1.定義と歴史
1.2.公衆衛生の考え方と進め方
1.3.公衆衛生と獣医学とのかかわりあい
 (1)食品衛生
 (2)環境衛生
 (3)人畜共通伝染病
 (4)毒性試験と実験動物科学
 (5)その他の関連事項
1.4.国民衛生の動向

第2章 疾病予防
2.1.健康障害の発生要因
 (1)健康障害の内容
 (2)疾病の発生
 (3)疾病発生の要因
2.2.疫学方法論
 (1)疫学の定義
 (2)疫学の内容
 (3)疫学的方法の概要
 (4)方法論
 (5)集積性
 (6)サーベイランス
 (7)モニタリング
2.3.感染症の予防
 (1)感染成立の要件
 (2)疾病予防の基本
 (3)生物学的製剤
2.4.消毒法
 (1)消毒の基礎事項
 (2)消毒法の種類
2.5.非感染症の予防
 (1)非感染症の概要
 (2)非感染症の発生・分布に関する要因
 (3)予防対策

第3章 人畜共通伝染病
3.1.定義と概要
 (1)人畜共通伝染病の分類
 (2)バイオハザードと病原体の危険度分類
 (3)我が国でみられる主要な人畜共通伝染病
 (4)職業病としての人畜共通伝染病
3.2.ウイルス性ズーノーシス
 狂犬病、アルポウイルス感染症等9疾病
3.3.リケッチア・クラミジア性ズーノーシス
 Q熱、オウム病など5疾病
3.4.細菌性ズーノーシス
 結核、サルモネラ症など15疾病
3.5.真菌性ズーノーシス
 アスペルギルス、クリプトコッカスなど9疾病
3.6.原虫性ズーノーシス
 トキソプラズマ病、トリパノゾーマ病など5疾病
3.7.寄生虫性ズーノーシス
 アニサキス症、日本住血吸虫症など17疾病
3.8.病原体が不明なズーノーシス
 猫ひっかき病
3.9.その他の疾病
 破傷風、ガス壊疽、ボツリヌス症

第4章 食品衛生 [I]
4.1.定義と概要
4.2.食品微生物
4.3.食品の腐敗、変敗
4.4.栄養障害
4.5.食品の媒介による伝染病・寄生虫病
 (1)経口伝染病
   細菌性赤痢、コレラ、ウイルス性胃腸炎など7疾病
 (2)人畜共通伝染病
 (3)食品媒介性寄生虫病
   野菜、淡水魚、海産魚、淡水性カニ類、豚肉(イノシシ肉)、牛肉、その他
4.6.食中毒
 (1)概要
 (2)細菌性食中毒
   サルモネラなど13病原体
 (3)化学性食中毒
   有害食品添加物、偽造品、農薬、有害性金属、その他化学薬品
 (4)自然毒による食中毒
 (5)アレルギー様食中毒
4.7.食品中の有害物質と健康障害
 (1)概要
 (2)食品中の有害物質
   動物用医薬品、農薬、有害性金属、マイコトキシン、誘起性有害物質、その他
4.8.食品中の異物、衛生動物
4.9.食品添加物
 (1)概説
 (2)食品添加物各論
   保存料、殺菌料、酸化防止剤、着色料、発色剤、合成調味料、その他
 (3)天然添加物
4.10.食品の衛生管理

第5章 食品衛生 [II]
5.1.乳の衛生
 (1)乳の成分と性状
 (2)乳と微生物
 (3)搾乳、貯蔵、運搬の衛生
 (4)牛乳の処理と衛生
 (5)生乳・牛乳の成分規格
 (6)乳中に出現する有害物質
 (7)異常乳
 (8)乳の検査法
 (9)乳の加工衛生
 (10)乳・乳製品に起因する人の疾病
5.2.食肉の衛生
 (1)と畜場
 (2)と畜処理工程と衛生
 (3)と畜検査
 (4)食肉の性状と食肉検査
 (5)食肉の加工衛生
 (6)食肉に起因する人の疾病
5.3.食鳥・食卵の衛生
 (1)食鳥の衛生
 (2)食卵の衛生
5.4.魚介類の衛生
 (1)微生物汚染
 (2)有害化(食物連鎖と生物濃縮)
 (3)鮮度及び鮮度判定
 (4)加工品の衛生
 (5)魚介類による人の疾病

第6章 環境衛生
6.1.定義と概要
 (1)環境衛生の定義と内容
 (2)環境に対する生体の反応
 (3)公害発生のメカニズムとその対策
 (4)環境基準
 (5)環境影響評価
6.2.気候
6.3.大気
 (1)大気の組成
 (2)気圧
 (3)酸素の欠乏
6.4.気温、気湿
 (1)生体の熱収支
 (2)異常な高温及び低温による健康障害
 (3)感覚温度と不快指数
 (4)気候馴化
6.5.日光
 (1)日照
 (2)日射
 (3)太陽の光線
6.6.上水
 (1)水の衛生的意義
 (2)上水道
 (3)水質基準
6.7.下水
 (1)下水及び下水道
 (2)下水処理
 (3)下水の水質検査と放流水の水質基準
6.8.土壌
 (1)環境要因としての土壌の構造と機能
 (2)近代農業の形態と環境問題
 (3)鉱工業の発展と土壌汚染
 (4)開発と土壌浸食
6.9.廃棄物処理
 (1)一般廃棄物
 (2)産業廃棄物
6.10.公害
 (1)大気汚染
 (2)水質汚濁
 (3)その他の公害
 (4)放射能汚染
6.11.有害動物
 (1)鼠族
 (2)衛生害虫

第7章 公衆衛生の組織と活動
7.1.外用と衛生行政組織
 (1)国の衛生行政組織
 (2)地方の衛生行政組織
 (3)国際的組織
7.2.関係法規
 伝染病予防法、検疫法、狂犬病予防法、と畜場法、へい獣処理場等に関する法律、食品衛生法
 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令、保健所法、水道法、公害対策基本法、大気汚染防止法
 水質汚濁防止法、廃棄物の処理及び精巣に関する法律


 ・・・といったところです。書いてて疲れました・・・

 「獣医公衆衛生学」といってもやたら盛りだくさんであることはお判りいただけると思います。これだけ盛りだくさんでもこの教科書はたかだか350ページほどに過ぎないのですが、各々の記述は非常に浅いので、細かなところはほぼ実用にはなりません。まあ教科書なんてそんなものですが。

 それとなんせ古い本(私が学生時代の本ですから・・)なので、内容は古いです。猫ひっかき病が病原体不明とされていますし、BSEもまだ深刻になる前の時代ですし、インフルエンザも項目が立てられていません。
 それに、疫学は今では独立して単位を設定されているようです。
 法律関係もかなり変わっていますし。

 この目次を見ればお判りになると思いますが、「獣医公衆衛生学」というのは、確かに大学にはそういう名前の講座(研究室)はありますが、それで独立した1つの学問分野というわけではありません。いろいろな「○○学」が寄り集まった総合学というわけです。まあ学問は何でもそうなんですが。
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この回答へのお礼

長々と本当に
ありがとうございました。
感謝です☆
そして
わかりやすい説明
ありがとうございました!!

お礼日時:2012/04/04 20:47

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