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ねじりと曲げを同時に受ける軸の応力を手計算で評価する時に相当曲げ応力もしくは相当ねじり応力を使用するようですが、FEMの解析ソフトでねじりと曲げを同時に受ける軸の応力を解析した場合、ミーゼス応力で評価したものと手計算で評価した相当曲げ応力もしくは相当ねじり応力に違いはあるのでしょうか?
ミーゼス応力=相当応力といった説明があり、ミーゼス応力(相当応力)と相当曲げ応力もしくは相当ねじり応力と違いがあるのでしょうか?初歩的な質問で申し訳ありませんが、わかりやすい回答をお願いします。

A 回答 (1件)

相当応力には、ミーゼスの相当応力と、トレスカの相当応力とがあります。

機械技術者にとっては、トレスカの相当応力は重要ではなく、「相当応力=ミーゼスの相当応力」となります。FEM解析プログラムでも、機械設計向けのものは、ミーゼスしか表示しないようになってきています。
なぜ機械の世界でトレスカの相当応力が使われないかと言えば、応力の6成分をせん断応力に換算するからです。機械の世界では、せん断応力を求めてみても、これと比較するせん断強度というデータがほとんどありません。
これに対し、ミーゼスの応力は、応力の6成分を引張応力に換算してくれます。引張の強度基準値というものは入手しやすいので、こちらの方が設計する際に極めて便利なのです。

ミーゼスの相当応力が発表されたのは20世紀半ばですが、この相当応力というものが世の中に認知され始めたのは、CAEが普及し始めた1980年以降のことです。ですから次のような弊害が残っています。
(1)1980年代以前に機械工学の専門教育を受けた人は、相当応力という概念さえ知らない。(教える側が知らないので、ごく当然のこと)
(2)相当応力が普及する前には、主応力が使われていた。このため、昔作られた古典的な強度基準は主応力基準のものがほとんどで、現代の相当応力基準の考え方とは合わないことも多い。
(3)軸の強度基準も1960年代以前に作られたために、相当応力基準であるはずがなく、材料力学の教科書や、諸設計基準として掲載されているものは主応力基準である。

さて、あなたのご質問の核心です。
相当曲げ応力は、曲げと捩りの両方が作用した場合、これを”主応力の考え方を介して”曲げ応力に換算するという古典的な方法です。”相当”という言葉が入っていますが、上記の相当応力とは関係がありません。
また、相当捩り応力は、曲げと捩りの両方が作用した場合、これを”主応力の考え方を介して”捩り応力に換算するという古典的な方法です。これも上記の相当応力とは関係がありません。(ただし、捩り応力に換算しても、捩り強度のデータがなければ使いようがないので、あまり使われることはありません。)

「ねじりと曲げを同時に受ける軸の応力を手計算で評価する時に相当曲げ応力もしくは相当ねじり応力を使用するようですが」と書かれていますが、昔はこの方法しかありませんでした。
じゃあ、「今の世の中、相当応力基準に変えてもいいじゃないか?」とおっしゃるかも知れませんが、ちょっとお待ちください。世の中には法律で評価基準が定められているものがあります。建築基準法はその最たるものです。

もし、あなたの設計対象がこのような法律に規定されているならば、真実は別として、法律を守らなければなりません。勝手に変更することはできないのです。
もし法律の規定がなければ、部門内の合意をとって、相当応力基準に変更することができます。ただし、あなたの周囲の人は”相当応力”というものを未だに知らないかも知れません。この時はかなりの抵抗を受けますので、それなりの理論武装や世の中の流れを示す資料が必要となりますよ。

ところで、あなたの設計対象の”軸”とは、断面が円形のものですよね?
もし円形でないとすると、話はこのような掲示板には書ききれないほどメチャメチャに複雑になりますので、要注意です。
(この場合には、弾性論等の専門書を読んで勉強しなければなりません。)
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この回答へのお礼

分り易い回答ありがとうございます。応力の歴史にこんな事があるとは知りませんでした。これで疑問がすっきり晴れました。また、まだまだ奥が深いようですので頑張って勉強したいと思います。本当にありがとうございました。

お礼日時:2012/09/13 20:31

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