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分光光度計でダブルビームで測定する理由は何なのでしょうか。

以前、日本分光社製の紫外可視分光光度計(ダブルビーム)を使用していました。
例えば、色素のクロロホルム溶液の吸光度を測定する手順は
(1)まず、参照セルとサンプルセルにそれぞれクロロホルムを入れてベースライン測定をします。
(2)次に、サンプルセルの中身を色素のクロロホルム溶液に換えてサンプル測定をする
という流れでした。

しかし、初めから参照セルが空、(というよりセルすら無し)で、サンプルセルのみで(1)ベースライン測定、(2)サンプル測定を行っても同じスペクトルが得られました。

日本分光のHPを見ると、
http://www.jasco.co.jp/jpn/technique/internet-se …
ダブルビームだと経時での光源のふらつきを補正できるらしいのですが、、、

結局は(2)のサンプル測定で記録したスペクトルから(1)のベースライン測定で記録したスペクトルを差し引いているのですよね?
そうしますと、結局は経時で光源の光量は変化しますので(1)のベースライン測定から時間がたてばたつほど(2)のサンプル測定時の吸光度は正しい値からずれるので、ダブルビームでもシングルビームも同じだと思うのですが。
それとも、(2)のサンプル測定時に、(1)のベースラインを差し引いた上でさらに、参照セル側との差を補正しているのでしょうか。そうすると、上で述べました参照セル無しの場合でも、有りの場合と同じスペクトルが得られるはずは無いのですが。

詳しい方いらっしゃいましたら、教えて下さい。

A 回答 (3件)

>初めから参照セルが空、(というよりセルすら無し)で、サンプルセルのみで(1)ベースライン測定、(2)サンプル測定を行っても同じスペクトルが得られました。


無意味。

 ダブルビームの利点は、ブランクの補正をしなくても済むこと。
1) 同一波長でも長時間測定すると、光量が変わるなど、状態が変化する可能性がある。ダブルは、ブランクもサンプルも同様に変わるので、補正の必要が無い。
2) 吸収スペクトルをとるときに、波長ごとにセロ補正をしないでも済む
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました m(_ _)m

無意味というのは、ベースライン測定(ブランクの補正)自体がいらないということなのでしょうか。。。

お礼日時:2013/03/04 23:20

ダブルビーム方式では、参照セル側の検出器で常に光源の光量をモニタしながら測定している、と考えるといいです。



I_sam_2 = サンプル測定時に試料セル側の検出器に入ってきた光の強さ
I0_sam_2 = サンプル測定時に試料セルに照射された光の強さ

とすれば、試料セルの透過率は定義により

(式1) 試料セルの透過率=I_sam_2/I0_sam_2

となります。しかし、これではセルそのものや溶媒の透過率を一緒に測っていることになりますので、通常はサンプル測定に先立ち、ベースライン測定を行います。

I_sam_1 = ベースライン測定時に試料セル側の検出器に入ってきた光の強さ
I0_sam_1 = ベースライン測定時に試料セルに照射された光の強さ

とすれば、試料の透過率は

(式2)  試料の透過率=(I_sam_2/I0_sam_2)/(I_sam_1/I0_sam_1)=(I_sam_2/I_sam_1)/(I0_sam_2/I0_sam_1)

となります。I_sam_2とI_sam_1は検出器の出力から分かります。I0_sam_2/I0_sam_1をどう評価するかが、シングルビーム方式とダブルビーム方式で大きく異なる点です。

シングルビーム方式では、I0のドリフトが小さいものと仮定し、I0_sam_2=I0_sam_1として試料の透過率を求めます。

(式3)  シングルビーム方式の透過率=I_sam_2/I_sam_1

つまり、ベースライン測定時とサンプル測定時で、I0が変わらないものとして透過率を算出しています。

一方、ダブルビーム方式では、参照セルを用意して、参照セル側の検出器でI0のドリフトをモニタします。

I_ref_2 = サンプル測定時に参照セル側の検出器に入ってきた光の強さ
I_ref_1 = ベースライン測定時に参照セル側の検出器に入ってきた光の強さ

ここで、I0_sam_2/I0_sam_1=I_ref_2/I_ref_1と仮定すれば、試料の透過率は

(式4)  ダブルビーム方式の透過率=(I_sam_2/I_sam_1)/(I_ref_2/I_ref_1)

となります。仮に入射光I0がドリフトしてI0_sam_2>I0_sam_1となったとしたら、透過光強度I_sam_2が大きく測定されます。しかしビームスプリッターで分けられた参照セル側のI0も同時に大きくなるので、透過光強度I_ref_2も大きくなり、比をとることで相殺されます。これがダブルビーム方式のドリフト補正のしくみです。

> 初めから参照セルが空、(というよりセルすら無し)で、サンプルセルのみで(1)ベースライン測定、(2)サンプル測定を行っても同じスペクトルが得られました。

I_ref_2とI_ref_1の絶対値は参照セルの有り無しで大きく変わりますが、I_ref_2/I_ref_1は参照セルの有り無しでほとんど変わりません。ですので、参照セル無しの場合でも、有りの場合と同じスペクトルが得られます。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました m(_ _)m

ご丁寧で詳しい説明をありがとうございます!

おかげ様で長年の疑問が完全に氷解しました。ありがとうございました。

お礼日時:2013/03/04 23:22

ダブルビームの本質的な意味は,光源の揺らぎの問題です.


ランプの明るさというのは,ずっと見てると結構明るくなったり暗くなったりを繰り返しているのです.
この明るさの変動を無視できる範囲であれば,ブランクとサンプルの2回の測定を行って演算処理を行えばいいのです.
しかし,単純に透過光量の測定を2回やると,どうしても光源の光量揺らぎとかが発生し,それによるノイズ,不確かさがかぶってきます.
この問題は同じ光源の光を二つに分け,つねに同一の条件でブランクと試料を測って比較することで,原理的に小さくできます.
時分割の危険が,とくに高感度測定では致命的になるので,今でもダブルビームという光学系に意味があるのです.
しかしこれは各波長での吸光度が基準に対してどうなっているかはわかりません.
そこで,個々の測定はダブルビームで,共通基準に対して測定して,光源の時間変動の問題を含まない,ブランクとサンプルのデータを別々に得た上で,さらにその吸光度の差分を取ってブランクを補正することで,正確さの高い測定をするわけです.
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました m(_ _)m

お礼日時:2013/03/04 23:23

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