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被虐待児の支援について、セルフエスティームという視点から考えるとどのようなことが言えるでしょうか?

A 回答 (1件)

某県の児童相談所で虐待問題対応の相談員をしている者です。

基本的な理解としてまず云えることは、児童虐待の問題というのは「親の問題」だということです。児童と名がつくものの、虐待をしてしまう大人の側の問題性が強く、
児童相談所に相談してこられるのも保護者をはじめとする
大人の方々です。近所の方の通報はともかく保護者本人が打ち明けられることも少なくありません。
 そういう中で耳にするのは、保護者自身も子ども時代に
何らかの虐待を受けていたことがあるということです。虐待を受けた子どもが成人になり、再び自分の子どもを虐待してしまういわゆる世代伝播も色々なケースがあります。

 この「虐待の連鎖」という現象が、セルフエスティームの観点から云えば、私なりには「経験のねじれ」ということになります。
 幼少時代の本来望ましい育ちの「経験則」からの逸脱が突然に起こったとき、それを克服する力(専門的にはレジリエンス<resilience>といいますが)があるかどうかが虐待の連鎖を食い止めるカギとなると云えます。
 しかし、このこととセルフエスティームは実はあまり相関がないと云われています。つまり、自尊心の強い人の場合は、苦痛に満ちた経験をしたにもかかわらず精神的回復力が高いようです。
 自尊心をどうやって育むかが課題となるのですが、この問題の解決のためには、自分は自分であっていいのだという「自己肯定感」が不可欠と思われます。そうした感覚が育つためには、周りの大人が子どもの現実を真摯に受け止める中で、その子の役割感覚(自分は集団の中で必要とされているのだという感覚)を作っていくようなアプローチを
することが必要です。ただしこれは作為的なものになってはならず、何よりも生活空間を共にする機会を多くして可能な限り体験を共有する中で自然にしていくことが条件になると思われます。
 子ども自身の「健全な育ちの力」を大人がしっかりと考えていくことが望まれますね。 
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