MITのOpen Courseware で熱力学、統計力学を勉強していますが、最初のところでつまずいています。
下記のリンクの最初のページ(ページ番号13、英語)のところがよく理解できません。このテキストでは、まず力学的なモデルでエンタルピーを説明して、その類似としてHelmholtz Free Energyを説明していっていますので、これを理解できるとHelmholtz Free Energy の式なども感覚的にわかるのではないかと思い、理解しようと努めています。
http://ocw.mit.edu/courses/physics/8-333-statist …
微分の記号を使い分けるため、 「d」、「d‘」 と 「δ」とさせてください。テキストではd の上に線が入っていますが、入力できないので「d‘」で代用させてください。
このケースは、伸びていない初期状態のバネ (x=0) という系に急に重りをつけることで、バネが一定の重力の影響で上下に振動しだして、しばらくたったところで、摩擦で(真空でのばね自体の摩擦を想定させてください。)振動が減衰し、最後に伸びた状態(重力と釣り合った状態, x = mg /K )で均衡に達する(ポテンシャル (1/2 Kx^2 - mgx ) が最小になる)ということだと私は理解しています。断熱ですが (d’Q=0) 、 摩擦のためにばねの温度が上がるという理解です。
ここからわからないところですが、テキストでは外部が系にした仕事は、(外部が系にした仕事を正とする)
d’W ≤ J·δx Jは一定 ----(式1)
で、 d’Q=0 及び、δE= d’W+ d’Q なので、
δE ≤ J·δx ----(式2)
とありますが、ここあたりからわからなくなります。J·δxはたぶん、mgx だ理解しています。つまり、均衡状態ではないので、熱力学では直接扱えないがバネの長さは変化しているので、δxと書いているのだと思います。
ただ、δE はどのように理解したらよろしいでしょうか?
テキストでは δH は 変数だが、状態の関数は含まれていない(スプリングについた重りの速度など)が変わっていく中で、均衡に近づいていくHの変分と書いてありますが、よくわかりません
外部からの仕事は mgx でそれがばねを伸ばすのに使われるのが 1/2 Kx^2 バネの温度上昇に回る部分が mgx – 1/2 K x^2 となり、合計としては上記の不等号(式2)とは違い、δE = J·δx ではないかと思っています。
また同様にばねにゆっくり少しずつ重りをつけて伸ばした場合の時の力をFとして(F は x の関数 – この場合 kx になるかと思います)、式1の代わりに F dx ≤ J·δx というのならわかるのですが、式1のd’W とは何でしょうか?(私の理解では F dx= d’W は均衡状態のみで成り立つと思いますが、式1は静的のものを扱ってはいないという理解です。)
さらにテキストは
δH≤0 (H=E - J·x) ----(式3)
と進んでいますが、そもそも、δEがなにかを意味するかわかっていないため、δHがなにかもよくわかりません。
さらに次の式で δH が dH に変わり
dH = dE - d(J ·x) = TdS + J·dx - x·dJ - J ·dx = TdS - x·dJ ----(式4)
となっていますが、ここも普通の微分の計算としてはわかるものの、δHが dHにかわったあたりなど、十分理解できていません。
長々となりましたが、お知恵をお借りできると助かります。
(講義のビデオも見ましたが、この点はわかりませんでした。)
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
えーと、まず変分をきちんと理解してください。
空間の"仮想変位"を表しているのです。
それに対して、多変数の微分に関しては、全微分の考え方ができます。
微分と変分がやっぱり理解できていないようです。
解析力学は習いましたか?習っていないなら説明は少し厄介です。
δE≦Jδx(where dQ=0:heat exchange)ですから。
力の変分はとりません。
変分原理はエネルギーの最小値を求めるために、その時間、位置における変数を仮想的に変位させて考えることに主眼があります。
従って、xδJなどという変分はありません。
J自身がxを変数としているからです。
対して、偏微分はHの変数で全微分が可能なのです。
多変数のテイラー展開の1次微分までを取ったものが全微分です。
No.2
- 回答日時:
変分は仮想変位ですので、「あらゆる変数の変化の形式に関して」エンタルピーを変化させてもδH≦0というのに対して、全微分はテイラー展開の2次微分以降を省略したものであるため、そこには明確な違いがあります。
後半に関して。
δE≦Jδx → δE-Jδx≦0、δE-Jδx=δH(where δH≦0)
であるから、その差をHで補填するため
H=E - J·xとなる。
この微分量が
dH=dE - d(J·x)
となるのは理解できていますでしょうか?
No.1
- 回答日時:
解析力学の変分が入ってきている(δは変分を表します)かと。
基本的に偏微分なんですが、この領域では片方の変数を0にした微分であるため、∂ではなくdなんですが…
全微分の考え方が少し欠落していると思われます。
ご回答ありがとうございます。
十分わからないので、もう少しかみ砕いて説明していただけると助かります。
テキストでは特に解析力学を使っているというよりも、δは均衡していない段階での変化分、dは平衡(準静的?)ということで使い分けているように書いているようです。(最初のページの一番下。)
それとも、ご回答者様のおっしゃるように、解析力学の変分原理の変分ということであれば、どういう具体的にはどういう変分ということになりますでしょうか?
あと、全微分の考え方とは具体的にはどう理解したらよろしいでしょうか?私は単純に、式4では例えば、
dH = TdS - x·dJ = ∂H/∂S dS - ∂H/∂J dJ
という全微分になっているという理解でしたが、どこの部分が欠落していると考えればよろしいでしょうか?片方の変数を0にしたというところが、よくわかりません。
よろしくお願いします。
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再度の回答大変ありがとうございます。
ご指摘のポイントがまだなかなか理解できていないところで、重ねての質問になり恐縮ですが、ご教示いただければ大変ありがたいです。
私の理解では、このような減衰運動では、熱力学的な平衡に達する前のまだバネが動いている間の全体のエネルギーは
A. (バネの伸びによるエネルギー) + B. (バネのエントロピーによるエネルギー) + C.( バネの運動によるエネルギー)
になり、これはエネルギー保存則により、外からの仕事である、 Jδx と 一致するのではないかと思います。(外からの熱の出入りはゼロ)
(補足に字数制限があるので分割します)
(続き)
テキストの説明によると、
「 δは 変数だが、状態の関数のための変数には含まれていない変数(スプリングについた重りの速度など)が変わっていく中で、均衡に近づいていく変分」(下手な翻訳ですいません)
と書いてあることからいうと Cのバネの運動によるエネルギーは入らないので(重りの速度は熱力学に含まれる変数ではないため)、重りが動いている間は、A+BはJδxより小さくなるというのが私の今のところの δE≦Jδx の理解です。
ただ、その場合だと、釣り合って熱力学的平衡に達した場合は 上のCはゼロになるので、δE=δA+δB= Jδxになるかと思っています。(この場合は平衡になっているので、Jδx = J dx でしょうか?)
(続き)
また、この式
H=E - J·x
では、Eがバネのエントロピーと長さから求められるバネの持っているエネルギー(静止しているとき)、 J·xが、そのエネルギーのうち、外からの一定の重力による仕事で供給された部分と理解しています。今回の場合はQがゼロなので、バネのエネルギーはすべて外からの重力による仕事で供給されるため、差し引きHはゼロになるのではないかと思ってしまいます。
おおきな勘違いかもしれませんが、δが回答者様のおっしゃる「あらゆる変数の変化の形式に関して」というのはこの場合、平衡に達する前も含めた「あらゆる変数の変化」ということで、上記Cのバネの運動エネルギーの部分の差がHとして補填する必要があるということでしょうか?
(続き)
また、2次微分以降とはどう理解したらよろしいでしょうか?平衡時のEに関してはxに対する関数としては 1/2 K x² となるため、xの基準をx_0とするとテイラー展開では
E(x, S) = E(x_0, S) + K*x_0 *(x-x_0) + (1/2)*K*(x-x_0)²
となりますが、この2階の部分のことでしょうか?
長々と書き、またあまり整理ができてない質問の仕方になりますが、すこしでもヒントをいただければ幸いです。