こんにちわ。今高校1年です。
以前は新聞を読むということは全くなかったのですが、1学期にパレスチナ問題やイラク戦争について勉強して、興味を持つようになりました。
新聞も少し読むようになったのですが内容が複雑すぎて何がどうなっているのか分かりません。
イラク問題は、イラン革命で撤退させられたアメリカが石油を手に入れるためにイラクを悪者にさせて起こしたものだし、パレスチナ問題はアラブ人とユダヤ人とイギリスとアメリカの複雑な関係から解決できないでいる問題ですよね?
二つの問題はあまり関係ないように見えるのですが、ニュースを見ていてもどっちがどっちか分からないので困っています。
今、無差別テロをしているのはなぜですか?
どんな人がしているのですか??
どんなことでもいいので教えてください。
よろしくお願いします。
No.2ベストアンサー
- 回答日時:
二つの問題の背景についてはすでに適切な回答がなされているので、ここでは、最近の両者のかかわり方について簡単に説明します。
中東地域では、産油国には人口が少なく、人口が多い国は石油を産出しない(お金がない)のが一般であり、両方とも大国とはなり得ません。例外はイランとイラクです。両者は産油国であり、かつ、相当の人口があり、大国となるべき必要条件を満たしています。そこでイラク(フセイン政権)は、中東の覇者を目指したのです。旧ソ連の支援を得て軍事大国となり、力で中東諸国を抑えようとしました。お金はあっても力のない中東諸国は、イラクの横暴に眉をひそめながらも、ある程度イラクの顔を立てざるを得ませんでした。
一方、既出の回答にあるとおり、米国にとって石油市場のコントロールは死活的な国益です。よって、石油市場に大きな影響を及ぼす中東地域を反米勢力であるイラクの支配に委ねるわけにはいきません。イラクが中東の覇者を目指す限り、米国との対決は避けられないのです。
ところで、パレスチナ問題では、パレスチナ人組織とこれを支援する中東諸国がイスラエルとこれを支援するアメリカが対立しています。イスラエルはエジプトを除く全ての中東諸国の敵であり、日頃お互いに牽制し合い腹を探り合っている中東諸国も、イスラエルが相手となれば固く結束します。
1対1では米国に敵わないイラクが、内心イラクを快く思っていない中東諸国を味方に引き入れる最も簡単で効果的な手段が、イラク問題とパレスチナ問題のリンクです。米国は中東諸国共通の敵であるイスラエルの後ろ盾であるから、中東諸国は米国と戦うイラクを支援するべきだ、という論法です。実際、イラクは、イスラエルを戦争に引きずり込むためにイスラエルに対してミサイル攻撃をしています。イスラエルが参戦すれば、中東諸国もイラクを支援せざるを得ません。
イラク問題とパレスチナ問題は、本来、関係ありませんが、イスラエルを利用して両者をリンクさせようとしていたのです。
また、現在行われている無差別テロはイラク問題とは関係ありませんが、パレスチナ問題とは多少の関係があります。テロを行っているのはPLOなどの既存のパレスチナ人組織とアル・カイーダなどのテロ組織ですが、両者は全く別物です。
PLOなどのパレスチナ人組織は、国家を持たないパレスチナ人の自治組織(軍事組織を含む)です。主な財源はパレスチナ人からの献金と中東諸国の援助ですが、前者はPLOが地元住民の支持に基づいています。PLOは、軍事部門をもってイスラエルと戦っていますが、同時に、教育や福祉など住民のニーズに応じた行政サービスも行っています。いわばパレスチナ人の「非公式政府」というべき存在なのです。テロや軍事行動ばかりが報道されていますが、これはPLOの一面に過ぎません。わが国の報道は不正確で底が浅いと言わざるを得ません。
PLOの目的はパレスチナ人国家の樹立です。既存の秩序を破壊してパレスチナ人のための国家を創ろうとしています。しかし、イスラエルの圧倒的な軍事力に敵うはずもなく、マトモな方法では目的を達成することができません。PLOなどが行っているテロは、目的達成のための非常手段であり、市民の被害に堪えかねたイスラエルを交渉のテーブルに着かせようとしているのです。ルール違反の暴挙であることは確かですが、イスラエルが行っているパレスチナ人社会全体を根こそぎ枯死させようとする残忍で組織的な仕打ち(あまり報道されていませんが、酷いものです)や軍隊を動員して行う過剰攻撃を見れば、どっちもどっちでしょう。
これに対してアル・カイーダは純然たるテロ組織です。人々に恐怖を与え、社会を混乱させることによって既存の社会の破壊を目指しています。その根本には、おそらく、米国の富に対する羨望と価値観の押し付けに対する反発があると思われますが、米国を排除して何かを創ろうとしているわけではありません。破壊自体を最終目的とする紛れもない「テロ集団」です。
残念なことに、パレスチナ人はあまりにも永くイスラエルとの武力抗争に従事し、しかも、ほとんど成果のないことに絶望して自暴自棄になっています。やけになって、PLOだとうとアル・カイーダだろうと、米国とイスラエルを攻撃する勢力なら何でいい、というところまで追い込まれています。アル・カイーダにとっては好都合です。
結局、イスラエルが中東地域のガンなのです。この国がある限り中東に平和はなく、テロが根絶されることもないでしょう。
最期に、学校教育の内容について付言します。学校で教えていることは間違いではないにしても、部分的なものです。高校生レベルで、しかも限られた時間で、中東情勢全体について教えることは不可能です。また、教師も中東問題の専門家ではなく、教育に必要な範囲の知識をもっているだけです。興味を持って少し研究すれば、教師のレベルなどすぐに追い越すことができますよ。
ありがとうございました!!
本当に分かりやすい説明をしていただいて先ほどSCNKさんに教えていただいたことと自分が知っていることを繋げることが出来ました!
パレスチナ問題とイラク問題のつながりや、アル・カイーダとPLOの違いまで教えていただいて、知りたかったことがたくさんわかって、今何がなぜ起こっているのかということがとてもよく分かりました。
今まで以上にこの問題について興味が出て、もっと知りたくなりました。
読んでいても今まで疑問に思っていたことがどんどん解けていってすごく楽しかったです。
夏休みの研究の新聞にこの問題について書きたいのですがもっと知っていることがあったら教えていただけたらうれしいです♪
写真なども貼りたいと思っているのですが、どんなものを貼ったらいいでしょう…??
全然違う質問になってしまってすいません。
本当にありがとうございました!!!
No.3
- 回答日時:
#1です。
間違いとはいえないでしょう。植民地では経営は宗主国が握っています。それに石油産業は施設投資が莫大で、簡単に技術を学んだからできるというものでもありません。
パーレビがアメリカと手を組んだのは、もちろん冷戦の背景があるからで、石油の国有化はそのための餌です。
伝統文化の破壊ですが、国王を中心とする王制国家を作ろうとするとイスラムと衝突することになります。つまり必然的にイスラム社会をある程度破壊することは必然だったでしょう。今のトルコなどもそうですが、宗教活動は認めつつも宗教の政治介入は認めないという形です。
宗教問題がイラン・イラク戦争の背景にあることはもちろん否定はできませんが、主原因ではない。むしろイランが戦争の大義名分として、イラク国内のシーア派弾圧を宣伝したんじゃないでしょうか。サダム政権もパーレビ政権と同じく近代的世俗国家ですから、シーアであれスンニであれコントロール下に置きます。
イラクが戦費というか復興資金というか、金策のためクウェートの石油をコントロールしようと考えたのも、先に説明したとおりです。もっとも石油そのものを狙ったというより、クウェートの原油廉売を抑えたかったようですね。
ここでいきなり中東で石油を求めようとするアメリカがイラクと戦争するあたりは、ちょっと飛躍しすぎでしょう。石油は天下の周りものなんですよ。別にイラクの石油じゃなくたっていいわけですね。確かに第4次中東戦争のころの石油の中東依存度は高かったですから、イラク一国の石油生産の割合はなるほど大きかったかもしれませんが、1980年代ともなれば状況は変わります。その分、ほかの国の石油で十分なんです。中東でもサウジがありますよね。イラクやイランが石油を輸出しないとなっても、サウジやクウェートは大喜びなんです。そりゃその分のシェアを奪いとれるんですから。
ただ問題は、サウジまで戦火に覆われたとき、さすがに国際石油市場もただではすまないということになるわけです。中東の石油というのは安いんです。しかも硫黄分が少なく改質に金がかからないわけで、それで石油価格を引き下げているのです。もちろん他の地域でも石油は生産しているんですが、なにぶん高くて質が悪いので、商売にならないわけです。でも中東の石油生産が落ちれば、これらの高い石油も売れるんですね。もちろん石油価格は上昇しますよ。さらに投機筋は値上がりを予想して、先物で商売しますから、なおさら値段がつりあがるわけです。そういう意味でアメリカとしては介入せざる負えないのです。もしイラクがサウジに攻め込まない保証があれば、石油市場は混乱しなかったでしょう。
大義名分というのは、口実のことですから、実質的に戦う必要がなければアメリカもイラクとは戦わないでしょう。むしろイランとの敵対関係がありますから、イラクを見方につけて置いた方が得策なんですね。
むしろ石油市場の安定のためだけなら、イラクと手を打ってクウェートをくれてやっても良かったかもしれません。そのかわりサウジとの間に不可侵条約を結ばせれば良いのです。その上でイラクと石油を共同経営すれば済むことです。
だとすれば実質的にアメリカが戦う意味があったのかということが大きな疑問です。そのあたりは私も良くわかりません。単にサダムと、お父さんブッシュのボタンの掛け違いだったのかもしれませんよ。
ただ当時は、冷戦の名残が多少残っていた時代でした。イラン・イラク戦争で米国と接近しますが、イラクはソ連との関係を保ってきましたし、前年にマルタ会議で冷戦終結を米ソが合意したとしても、まだ相手の出方を疑っている部分はありました。それでイラクがソ連の後ろ盾の下、中東を支配するのではないかとの懸念を抱いていたのかもしれません。
アルカイダのオサマビンラーディンはサウジ人ですね。背景には中東にアメリカの正義を押し付けることに我慢がならないということがあるのでしょう。パレスチナのテロ集団とはイスラムということで共通します。
PLOは今、内部分裂状態です。それでも今までは手勢であったファタハがアラファトの力の源泉だったのですが、ここに来て両者が対立しました。中東和平を曲がりなりにも受け入れた以上、アラファトがパレスチナ人の中で浮いた存在になることは避けられなかったでしょう。もともとファタハの首領がアラファトで、実はPLOをファタハが乗っ取ったのがもともとの経緯です。今、パレスチナ人の心をつかんでいるのはむしろヤシン師が率いてきたハマスです。そして隣のレバノンではヒズボラでしょう。
親切に教えていただいてありがとうございました。
色々な人や国が関わって複雑な問題なんですね^_^;
夏休みの宿題にイラク問題とパレスチナ問題についての新聞を書くことにしたので、また参考になるような資料や写真やニュースがあったら教えてください。
ありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
イラク問題はそんなに単純なものではありませんね。
石油に関していえばイラクの原油がアメリカにとってそれほど重要なものではありません。そもそもアメリカというのは自国が世界最大の石油生産国です。まして世界最大の石油埋蔵国のサウジアラビアとも同盟関係です。イラン革命は冷戦中(詳しく言えばデタント崩壊直前)の出来事ですが、冷戦後はソ連やロシアから原油の輸入すらしています。また時を同じくして北海油田の生産量も増加し、イラクの石油に汲々となる必要はないんです。(むしろ中東依存度の高い日本の問題)
イラク問題の発端はむしろ冷戦との関係で始まったものでしょう。冷戦期に米ソは中東でも鍔迫り合いをしていました。NATOにいたトルコやCENTOにいたイランは西側の最前線だったわけです。それに対抗して東側は、当時ソ連だった中央アジア諸国やイエメンなどを勢力圏に入れました。イラクもその一つだったわけですね。
ところがイランでホメイニ革命が勃発し、米大使館員が人質になるなど、反米に傾いたのです。時を同じくしてソ連がアフガニスタンに侵攻し、アメリカの中東支配にかげりが見えました。そこで今度はイラクに肩入れしたんですね。ちょうど都合の良いことにイラクとイランがシャトルアラブ側河口の領土を巡って戦争をはじめました。イラン革命でイランと対立した米国としては、イラクを支援しますし、イラクとしては米国の支援は願ってもないことです。
戦争は一進一退を繰り返し、損害ではイランの方が大きく、また緒戦でイランが大きく占領地を広げたにもかかわらずイラクも善戦し、イラクもそれほどの失地を蒙ることなく停戦しました。イラクとしては国内対策として大きな戦勝が欲しいところですし、戦費もかかりましたから、むしろイラクが石油が必要だったわけですね。
そんなわけでイラクはクウェートに侵攻します。このあたりは諸説あって、湾岸諸国が石油価格の値下げを狙って生産調整をしていたのにクウェートが従わなかったとも言われており、石油を高く売りたいイラクとしては、それが許せなかったという説があります。またクウェートが地下でイラク領の油田を盗掘していたとか、クウェート侵攻を米国が黙認したとかとも言われています。そもそもあのあたりの国境線自体、植民地時代の名残でイラクに言い分がないわけではありません。米国もあまりイラクが侵攻することを考えていなかったようです。時はちょうど冷戦体制の崩壊で東欧諸国の共産政権が崩れだし、ベルリンの壁が壊されたころで世界の目もそちらに向いていました。
米国としては、サウジアラビアやクウェートなどの同盟国のよしみでイラクに反撃しなければならなかったのが実態だったと思います。それよりなによりイラクの石油そのものが重要なのではなく、国際石油市場の安定が重要なのです。
時代はもう一度さかのぼりますが、バレスチナで第4次中東戦争が1972年に勃発しました。それまで中東の石油を支配していたのはセブンシスターズと言われる西欧列強の石油メジャーです。また当時は今よりはるかに中東依存度が高かった時代でした。このときアラブ側は石油を武器に使い、イスラエルを援護する諸国に対し圧力に圧力を加えたわけです。アラブ諸国は石油を国有化し輸出価格を上げたり、輸出制限を行いました。これでメジャーは力を失います。
石油輸入国としては対抗策をとります。北海油田などの新規開発や、アラブ以外の産油国との取引です。こうして世界的な国際石油市場が形成されました。石油というのはきわめて投機的な商品で、先行き不安が生じると一気に乱高下するのです。イラクがクウェートへ侵攻したことにより、さらにサウジアラビアが狙われることを市場は懸念します。そうすると世界の経済はパニックを起こしかねません。特に心配なのは日本がパニックを起こすことです。日本は石油危機の時に、世界中の原油を買い集めたのですが、もともと足元を見られていますから、完全にぼられました。それでも金持ちなので言い値で買うのですね。日本が高値で買うと世界の原油は一気に上昇することになります。一番米国が心配したのは日本がパニくることだったとも言われています。
まあアメリカとしてはイラクの石油はそれほどの大きな意味を持つものではないわけです。むしろ石油市場の方が重要です。
ただいえることは世界戦略上、石油を抜きにしても中東というのはランドパワーとシーパワーの交差点なのです。世界地図を見ればわかるとおり、紅海、ペルシャ湾、地中海、黒海、カスピ海、それとそれらを結ぶ水路など陸地に入り組んでいます。陸側から見てもアジアとヨーロッパとアフリカを結ぶ道路なのです。だから冷戦期に米ソが鍔迫り合いをしましたし、それ以前の時代を見てもイギリスとロシアとか、ドイツとロシアの対立の場となってきました。それは今でも変わりません。
さて本題ですが、無差別テロがなぜおきるのかというと、このような国際戦略上の要衝というのは列強諸国の対立の場となりますから、どうしても支配と非支配の関係ができます。そのような土地で民族自決を図ろうとすれば摩擦が生じるのは仕方がありません。その中で国家を作ることに成功した国は軍隊を編成し、時として戦争をしました。でも国家を作れなかった民族もいたのです。それでもそこそこの力があればゲリラ部隊を作って、支援国家を後ろ盾にゲリラ戦をすることもできますが、その力さえなければテロに走るしかないのです。
質問が広範なので、とりあえず今回はこんなところで良いでしょうか。
この回答への補足
とても丁寧な回答ありがとうございました!
現代社会の授業では、イラク問題について全く違うことを習いました。
私が学校で教えてもらったイラク問題の発端は、
イランの石油イギリスが支配していたがイランは場所代程度しかもらえず、怒ったイラン国民がイギリスと対立しながらも石油を国有化した。しかしそれまでずっと生産から販売までイギリスがやっていたので彼らは石油生産技術がなく、販売ルートも持っていず、石油生産のための資金もなかったため困っていた。
それにその頃のイランの国王パーレビーも利益が自分の所に入ってこないので国有化に賛成していなかった。
そこでアメリカと組んでイランが石油の生産から販売までの権利を与える代わりに、アメリカは国防の協定を結び、技術を提供し、資金援助をし、販売ルートの確保をすることになった。
そして国王とアメリカとの共同政策として近代化、欧米化をしたが、それによって伝統文化などが破壊され、シーア派の象徴であるホメイニ氏までも追放してしまったので、イラン国民はまた怒ってイラン革命を起こし、アメリカは撤退した。
イラン革命はシーア派が起こした革命で、それを機に他国のシーア派の運動が活発化し、シーア派が50%を占めるイラクのフセイン(スンナ派)はせんそうをしかける(イラン・イラク戦争)。
戦争の結果は共倒れで、イラクは戦後経済混乱と損失が激しかったので、クウェート侵略で利益を上げようとした。
アメリカはイランから撤退し、中東で石油を求めるとするとイラクになる。
イラクと戦うには大義名分が必要…とその時に、イラクがクウェートを攻めたので好都合。
アメリカはイラクは悪の枢軸国、ならず者国家とイラクを呼び、悪者にすることでイラクを倒すことを正当化した。
と習いました。またそれとは違った見方なのでしょうか?
またまた長くなってすみません。
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