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腐食に関する質問です。

腐食電位と孔食電位の違いってなんですか?

腐食しても孔食されない電位も存在するのでしょうか?

A 回答 (1件)

腐食電位というのは金属材料が何かの溶液(水溶液が多いですね)に浸漬されたとき、


参照電極(基本は水素電極ですが、学会や試験の方法により決められる事が多い)と金属との電位差のことを、腐食電位や自然浸漬電位といいます。
この状態では、アノード反応とカソード反応が平衡していて、腐食電位は、時間の経過と共に腐食生成物や不働態被膜の生成により変化します。
オーステナイト系ステンレスなどを硫酸環境中に浸漬すると、腐食電位はポテンショスタットなどで測定は可能ですが、腐食量は電流に依存するので、電位だけで腐食が進行するとは限らないです。

孔食は、腐食の一種で水溶液に浸漬したステンレス鋼の不動態皮膜の弱点を塩素イオンが攻撃したりして起こることが多いです。
(押し入れを発掘したら古い文献が残っていると思うのですが…私には気力がないですし…、貴方自身で文献探しをしてみると、結構面白ですよ。)
ミクロな点から腐食が進行し、孔食電位はやはりポテンショスタットなどを用いて測定することができます。
ここら辺りになると非常に専門的な議論になってくるので、電気化学や腐食科学の教科書を読んでみて概要を把握する方が早いと思います。
腐食屋にとっては基礎中の基礎なので、教科書等でも取り上げられていたり、過去の学会誌を検索すると日本語の解説文献(基礎講座みたいなもの)だけでもたくさん出てきます。

http://www-it.jwes.or.jp/lecture_note/pdf/public …

ステンレス鋼を孔食電位よりも卑側の電位にすると孔食が進行し、表面に小さな孔が開いていき、普通、分極曲線を測定すると腐食電位(自然浸漬電位)がカソード側で孔食電位がアノード側になります。
腐食電位(自然浸漬電位)と孔食電位の関係だけでは腐食現象を議論することは難しいです。
酸化力が非常に強い酸(例 王水)に浸漬されると孔食を起こす以前に全面腐食…ということも起こりえますし、
そもそもその素材が適正な製造工程で製造されたか・へん析は無かったか・変なものが付着していなかったか・等、孔食の原因となりえるものについては過去の先人たちが研究を重ねていて恐ろしい数の論文が出ています。

ステンレス鋼で問題となるのは、孔食を起こすけれど全面腐食は起こらないことですね。
特にオーステナイト系ステンレス鋼のは発達は、孔食を如何に防ぐかの歴史でもあり、クロムやモリブデンを添加し耐孔食性を向上させた鋼種の開発等がありました。

私は古い冶金屋で学生時代は腐食の研究室に所属していましたが、その頃でも、日本語だけで孔食について読み切れないほどの学術文献がありました。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。

一定時間浸漬後の電位のことを腐食電位といい、その後電位を上げると不働態皮膜の生成と破壊が行われ、孔食が発生した際の電位を孔食電位というのですね。

非常にわかりやすく、理解できたと思います。

お礼日時:2018/11/02 22:03

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