No.6ベストアンサー
- 回答日時:
あなたの考える電子がi領域を通る機構は、ダイオードに逆方向の電圧を加えた際に、電圧が耐圧限界を超えるた状況に似てます。
その場合(降伏と言います)は、いわば絶縁体の破壊と似た状況が起きます。限界耐圧は、ほぼi領域の長さに比例します(シリコンの場合1000V当たり100μm程度)。しかしながら、LEDの発光は順方向に電圧を加えた際の動作です。その電圧値は、発光色によって異なるのですが、2V〜3V程度です。(ちなみに、シリコン ダイオードの典型的な動作電圧は0.8V程度です)
pinダイオードの順方向動作は、電解メッキに例えるのが適当でないかと思います。例えば銅をニッケル板に電解メッキする場合には、電解液中に銅片とニッケル板を吊るして、ニッケルに対して銅に僅かな正電圧(1V程度)を加えます。すると、電流が流れて銅がニッケル板の表面に付着して行きます。電流は、解け出した(正電荷を有する)銅イオンの電解液中の移動に他なりません。
この時、電解液は、銅から解け出した銅イオンの正電荷と電解液中の負イオンの負電荷がバランスして中性になってます。
電圧が加わってないpinダイオードのi領域には自由電子も正孔もほとんど存在しないので、ほぼ絶縁体と見なすことも出来ます。しかし、順方向に1V程度の電圧が加わった状況では、p領域からは正孔が、n領域からは自由電子がi領域に大量に入って来て、i領域では自由電子と正孔が同数だけ桁違いに増えます(電荷中性条件は保たれます)。このようにi領域中に動き得る荷電担体が多数存在することで、まとまった電流が流れることが出来るのです。
銅の電解メッキの電解液がi領域で、銅イオンが正孔に当たる訳です。(金属は正イオンとしかならないので、自由電子による電流を説明することは難しいけど、可動イオンが正, 負どちらであっても電流は流れることは納得できるでしょう)
一般的に、自由電子と正孔が合体すると発光するか発熱します。
それは、自由電子と正孔がそれぞれ独立に存在している状況のエネルギーよりも、合体した方が低エネルギーになるので、余ったエネルギーが光や(最終的に)熱となる現象です。
ただ、シリコンやゲルマニウムでは、光になるよりも熱になる比率が圧倒的に多いのでLEDには使えません。また、通常のダイオードは、このような合体がダイオード内部で起きないように設計されてます。
LEDは、(i領域中に多数共存する)自由電子と正孔が出来るだけ多く合体を起こし、その際、発生するエネルギーが出来るだけ光になるような半導体材料で作ったダイオードなのです。
No.5
- 回答日時:
pinダイオードのi領域のiは、insulator (絶縁体)と言うよりもintrinsic (真性)と考える方が妥当です。
つまり、p形やn形をもたらす不純物濃度がごく低い領域です。そして、半導体中の発光は、1ヶの自由電子と1ヶの正孔が同じ所で同時に消滅するエネルギーが、1ヶの光子として放出される現象です。i領域の両側に自由電子と正孔が溜まって、i領域がそれを保持できなくなった時に両者が勢いよくぶつかるといったイメージは不適切です。
発光波長は、#3回答にあるように、一重に自由電子と正孔のエネルギー差、すなわち禁制帯幅で決まります。i領域の幅は、発光色には全く影響しません。
禁制帯幅は、半導体原子間の結合力が大きいほど大きくなります。青色や紫外光でGaN系化合物が使われるのは、それらの結合エネルギーが赤色で使われていたGaAs系化合物よりも大きい為です。そして、その結合力はそれらを構成する原子の半径が大きいほど小さくなる傾向があります。さらに、ダイオードの材料に、より大きな半径の原子が混ざった結晶を用いると、禁制帯幅が縮小します。そして、混ぜる原子の比率を増やすと、その傾向が増します。
GaN結晶は紫外線を発光しますが、Inを混合した結晶では青色の発光になります。それは、Inは同じ3価のGaと起き変わるのですが、Gaよりも原子半径が大きいために、Inの比率が増えるほど禁制帯幅が小さくなる為です。
これらはほぼ経験則で、これらの傾向を簡単に説明する理論は無いように思います。
何度もすみません。
iを乗り越える時の距離で発光色が決まると思っていましたが、iの厚さが短くNにある電子が持っているエネルギーが大きいと十分にエネルギーが貯まる前に電子が移動(電流が流れるだけ)してしまう。だから、iの厚さを調整している。こんな感じでしょうか?
ただ、青色の場合敢えてiを薄くすると適度にエネルギーが溜まる前にPに移動し赤色の光が出るということはないのでしょうか?
>i領域の両側に自由電子と正孔が溜まって、i領域がそれを保持できなくなった時に両者が勢いよくぶつかるといったイメージは不適切です。
どの様にイメージすればいいでしょうか?もし適切な例を教えていただければ幸いです。ネットでpinの説明を見ているとある程度印加すると絶縁破壊が起こっているように見えるのです。かと言って、原子が励起された時の軌道の外側あたりにPがあるようにも見えませんし・・・
No.4
- 回答日時:
少しメタ的な話をしますが、あなたが考えていることはLEDの最前線のもう1歩手前です。
つまり、もう1歩で最前線に到達します。いろいろと考えられておられますが、それができると1兆円ゲットだぜ!なのです、頑張ってください。でも、皆それが出来ないでいます。クルマのヘッドライトなどに使われる高輝度LEDは韓国製(製造は中国)になり、開発力のない日本企業は置いてけぼりになっています。残念なことです。
広い発行面をもつLED光などはすでに開発されていたりはします、普及は不明ですが。
回答いただきありがとうございます。 そこまで詳しく知っているわけではなく、現在のLEDの動作原理とかその辺りが分かればありがたいと思っています。
No.2
- 回答日時:
市販のLEDは点発光しているように見えますが、0.2mm角程度の小さいチップのほぼ全面から発光してます。
もっとも、チップの側面からの発光量の方が多いです。このため、普通はチップの周りを微小な凹面鏡で囲ってます。また、意図的に表面から発光させるタイプもあって、面発光LEDと呼んでます。面積が小さいのは、単にチップ原価を安くする為です。LED (Light Emitted Diode)の基本構造は、色々な電子機器で使われている普通のpinと変わりません。pinダイオードは、pnダイオードのp領域とn領域の間に不純物濃度が低いi領域を挟んだ構造をしてます。このi領域で主に光ります。
ダイオードは自由電子と正孔がそれぞれ逆方向に移動することで動作します。通常のダイオードは、これら自由電子と正孔が出来るだけ移動途中でロスしないことが望ましいのですが、LEDは移動途中で、まず
(1.)出来るだけ多くの自由電子と正孔が合体(再結合と呼ばれている)するようにします。すなわち、ロスを出来るだけ多くする様にします。次に、
(2.)両者が合体した際に放出される(禁制帯に相応する)エネルギーは、普通のダイオードではほとんど熱となるのだけど、LEDは出来るだけ多く光になるように設計します。
このようなLEDとして働く優秀な材料は、ガリウムGaやヒ素As, インジウムIn, 窒素N等の化合物が多いです。通常のダイオードとして優秀なシリコンやゲルマニウムは、ほとんど発光しないのでLEDとしては使えません。それは、上記の条件(2.)満たされないことが第1の原因ですが、そもそも普通のダイオードでは条件(1.)の再結合が出来るだけ起きないことが必須要件なのです。
絶縁体は、そもそもダイオードとして働かないのでLEDの材料として全く問題外です。普通のダイオード動作には自由電子と正孔の両方が必要なのだけど、絶縁体にはどちらも存在しない為です。両方存在する材料が半導体なのです。
なお、発光波長は、あなたの云われるように禁制帯幅で決まります。実際のLEDでは、半導体として働く化合物の組み合わせやその構成元素の混合比率を変えることで禁制帯幅をコントロールしてます。狙いの禁制帯幅と発光効率の兼ね合いの良い材料の組み合わせを経験的に求めているのです。
回答いただきありがとうございます。 LEDをよく見ると銀色に輝いていましたがそういう意味だったのですね!また、単純に経済的な話なのですね。
禁制帯の話について、LED発光する秘密はここだと思いますが、どうにもわかりません。
LEDは仕組みとしてはpinダイオードとのことで、これで考えますと、
まず、iに絶縁体を想定したのは例えばpinとある場合、n表面に励起された電子が貯まりiの絶縁を破りpにぶつかった瞬間光が出ると考えたためです。
また、iの物理的な幅が長くなれば抵抗値が高まりますので絶縁が破れるにはより大きな電圧が必要。結果、絶縁が破れpにぶつかったときにはより高いエネルギーが加わっているため、波長の短い光がでる。青色ダイオードの発明が難しかったそうですが、iの幅を長くすれば仮に赤色LEDでも簡単に青色で光るのではないかと思ったりもしたのです。そういうわけではないのでしょうか?
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