僕が読んでいる教科書で次のような記述があったのですが、よく分からないところがあります。
「今、ある速さの台車を厚い本にはさんだものさしに当てて止めるとする。ものさしの質量が台車の質量に比べてじゅうぶん小さいときは、台車のする仕事は、摩擦力に逆らってものさしを押す仕事だけと考えてよい。
ものさしに衝突した質量m、速さvの台車は、摩擦力に等しい大きさの力Fをものさしに加え続ける。この間に、台車はその反作用として逆向きの力-Fを受けるため、減速され、時間tのあとに止まる。」
この記述の中で、「ものさしに衝突した質量m、速さvの台車は、摩擦力に等しい大きさの力Fをものさしに加え続ける」という部分がよく分かりません。
ものさしに衝突した台車は一定の力Fをものさしに加え続ける、と解釈すると思いますが、ものさしに衝突した台車の速さは徐々に減少するので、ものさしに加え続ける力も一定ではなくて徐々に減少するのでは、というイメージがあります。この考え方はどこが間違っているのでしょうか?
また、ものさしの摩擦力に関しても、上の記述では台車が衝突している間は常に一定の摩擦力が発生している、と解釈できそうですが、衝突されたものさしの動き方は始めは激しく、そして徐々に穏やかになり止まるはずなのに、その間に発生する摩擦力はなぜいつでも一定なのでしょうか?
僕のイメージではものさしの摩擦力は始め大きく、次第に小さくなっていくような気がするのですが。。。
この考え方はどこが間違っているのでしょうか?
どなたがコメントしていただけると幸いです。
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
>> 台車の速さは徐々に減るので、押す力も徐々に減るのでは、とイメージしてしまいます。これは間違いでしょうか? <<
>> 摩擦力も、動きは始めは速く徐々に遅くなって止まるのに、その間、摩擦力はなぜ一定なのでしょうか?僕のイメージでは摩擦力は始め大きく、次第に小さくなっていくような気がするのですが。。。 <<
これらは全く別々の事なので分けて説明します。
まず因果関係を明言しておきます; 原因は後者で、その結果が前者です。
後者で発生する力が台車を「後ろ向きに押すから」台車は後ろ向きに加速、すなわち最初持ってたスピードが減ります。
1.速さの変化と力の関係
加速度 = (加えられた力)/(質量)
速度 = (最初からあった速度)+(加速度)×(加えられた時間)
ですよね。上を下に入れると、
速度 = (最初からあった速度)+(加えられた力×時間)/(質量)
V = Vo + F t / m
短く書くと
V = Vo+Ft/m
です。
もし Vo と F が逆向き(どっちかがマイナス)だと 引き算になる つまり速度は減って行く、これはいいですよね。で、
y = aX+b
は直線の式だってのは分かりますよね、変数Xが時間tだとすると、
V = (F/m)t+Vo
と、式の見た目を合わせると、これも直線の式ですね。つまり(君の動物本能に反するけど、冷静に見ると)速度は直線的に減ってる、ということです。ただし「Fが一定なら」という条件付きですよ! この機会に君の本能的イメージをヴァージンアップしましょう。
力一定なら速度変化も一定
これは超役立ちます。
で、「Fは一定」は、摩擦のメカニズムの方から 一方的に与えられるのです。「摩擦力は速度が変わっても変わらない」という、これも君の経験常識に挑戦してくる現象ですね。こっちは根が深いです。
2.固体摩擦のモデル
まず、こんな思考実験を。
指
U → 爪を立てて動かす。
||||||||||||||||
クシの歯
爪は歯の一本一本を曲げるので、元に戻ろうとする力を受けます。爪の進行方向と反対向きに。すなわち動きに抵抗する力です。 爪を軽く乗せて動かすと少しの抵抗力ですが、爪を強めに押しつけながら動かすと(歯を大きく曲げるので)抵抗力は大きい。 これ、摩擦力と似てますね、爪を上から押しつける力が「荷重」で 横に動かすときの抵抗力が「摩擦力」です。 荷重が大きいと摩擦力が大きいことのモデルになってますね。
では、動かすスピードで変化するのか。よく考えれば分かりますが、歯の曲がりには速度に関係した話は無いから、ひどく速く動かさないかぎり「摩擦力は速度によらず一定」のモデルになってます。 (指の方が歯の力に負けて振動しちゃうと、次の歯に食い込む深さがスピードによって違ってくるので「爪は負けない振動しない」という条件付きです。)
さて、厚く重い本に挟まった物差し。紙の繊維は上記の歯のように凸凹です。紙をなでると分かるように細かな繊維粉があります。この粉が間でベアリングボールのように 物差しに引きずられて動き、凸凹を上記の爪のように…話はうまく行きそうですね!
だがしかし、
紙の粉と物差しプラスチック表面の間の摩擦は? 粉が無い材質の場合は? クシの歯のモデルの方も、爪の先端と歯の表面の間の摩擦は? こう考えると、もう一段細かく考えないといけない… 最後は 分子原子同志の摩擦力に行き着きますよね。
で、固体同志の摩擦のメカニズムの確信を得たのは、原子一個どうしの力を測れる顕微鏡(AFM)などが発明されたのちでした。 それ以前は「実験してみたら一定だから、これをこのまま事実として受け入れなさい、」のような歯切れの悪いことしか言えない時代が長く続いてました。
原子レベルのモデル
/ヒモに付けた磁石を引っ張る
/
● →
● ● ● ● ●
丸い磁石が一定間隔で並んでる
ペタッとひっ付いてる磁石をヒモで引くと、吸引力が負けた瞬間に離れて、となりの磁石にペタッと。 なんか「クシと爪のモデル」と大差なさそうですね。 荷重でどうなるのか?磁石の力が変わるのか? そうではなく、ヒモ付き磁石の数が増えるのです。数が増せば引き離す力も比例する。 現実の物質の表面は、原子レベルで見るとものすごい凸凹で、物体同志を摺り合わせても互いに触る分子原子は、とんがった先端の ほんのわずかなのです。荷重をかけると 先端が押しつぶされて 触れあう面積が増す。 そんなメカニズムです。
以上、話を見えやすくするため非道く物語り化してます。これも、受験物理レベルでは「速度で変わらないんだ」と丸暗記でしのいでください、今回も同じことを言って申し訳ないですが。
絵的に参考になりそうなのを探してみました。
↓2ページ目の左上の図。文章の方は難しい事を書いてますんで放置で。
http://www.ap.seikei.ac.jp/ntechlab/prb54_2138.pdf
↓以前はこんなふうに測定してました、という図
http://ssro.ee.uec.ac.jp/lab_tomi/research/sotsu …
↓「荷重と摩擦力は比例(直線関係)」はどこまで成立してるのか…という図が最後にあります。
http://www.mpip-mainz.mpg.de/documents/akbu/page …
関係ない余談;
力と加速度のイメージ作りに;
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=1171639
固体でない場合の抵抗力
http://oshiete1.goo.ne.jp/kotaeru.php3?q=908588
Teleskopeさん、前回同様に丁寧な説明をありがとうございます。お礼が遅くなり申し訳ありませんでした。
>まず因果関係を明言しておきます; 原因は後者で、その結果が前者です
因果関係をしっかり把握する必要があったんですね!
理解できました!
冷静に考えれば僕のイメージとは違うものなんですね。
アドバイスのとおり、頭の中をバージョンアップします!
回答はプリントアウトしてノートに貼っています。
ありがとうございました。
No.3
- 回答日時:
実際に測定してみれば、動摩擦の大きさは速度によらないという実験結果が得られるでしょう。
ところが、直感的には、高速で移動しているときのほうが摩擦が大きいと言われたほうが納得できます。
例えば高速で思いっきりブレーキをかけると、「キー」という音を発したり、場合によっては接触面で
火花が散ったりするのをよく目にするからです。
これについては、「仕事」を考えることで納得しましょう。
いま、ある一定の時間の間に進む距離を考えます。
高速移動中にすすむ距離をL1、十分減速したときにすすむ距離をL2とします。同じ時間で比較しているので、当然、
L1 > L2
となります。
摩擦力がする仕事は、摩擦力をRとして、
R * L1
および
R * L2
ですから、発生する仕事は高速でブレーキをかけたほうが大きくなります。
なされた仕事はなにかのエネルギーに変換されなければなりません。摩擦の場合は、多くはブレーキ機構の
表面を構成する原子や分子を剥ぎ取るエネルギーに変換されるので、このときに火花や音がでます。
実際には、摩擦は非常に複雑な現象です。
高校でならうのはクーロン摩擦、または乾性摩擦と呼ばれる摩擦で、これは速度に依存しません。
なぜかと問われると、「クーロンが行った測定ではそうなった」と答えるのが最も正確です。もちろん、
世の中にはこれ以外の摩擦もあり、例えば、流体(液体や気体)が絡むような摩擦は、速度に比例したり、
その二乗に比例したりします。
車輪にはベアリングが使われていて、内部には油が充填されています。油は液体ですので、その摩擦は
速度に比例します。したがって、台車を使って摩擦力を精密に測定すると、実際には速度に比例するような
結果が得られたりもします。(精密に測定すれば、の話です。)
No.2
- 回答日時:
こんにちは。
まず動摩擦力と速さについて。
動摩擦力は速さによって変化しません。自転車を止めるときをイメージしてください。速さが速いときは軽く握っただけで急激に減速するのに、速さが遅いときは軽く握ってもなかなか減速しない、ということはないですよね?自転車の速さに関係なく、握る力に応じて減速しているはずです。垂直抗力には比例しますが、速さとは無関係ということです。
次に台車の速さと力について。
これは台車の速さどころか、台車自体と関係ありません。力の大きさはものさしと本によって決まってしまいますので。
最後に問題文の解釈について一言。
この問題文からはFが「一定」とは読み取れません。読み取れるのは、Fが摩擦力と等しい大きさであることだけです。
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