長いですが おつきあいください。
1. 《恣意性》説は じんるいの歴史において《自然》と《人為(その意味で 文化)》とが切り離されたと見るものです。両者のつながりは まったくの恣意によっておりデタラメだという点においてです。
2. 構造主義は 言います。この自然人であることから切り離された文化人(その意味での社会人)として〔のみ〕生きる生物種たる人間は もはや一人ひとりが互いに 社会的な行為の関係とその構造の中であたかも無主体として生きるほかないと。
3. あたかも主体無き《縁起》の過程をあゆむと言っているとも見られます。そう言えば 通俗的にはブディズムも さとりを説いていてもけっきょく 《ひとり》としての人間は無力であり社会の縁起過程に従うのみだと言っているかにも聞こえます。
4. 反証となる言語現象をかかげます。
5. / nVgV /という形態素を取り上げます。これは 子音の / n / や / g / が同じというようにシニフィアン(≒音素)が同じ語であるなら その意味すなわちシニフィエ(≒意味)も同じだという語例になります。恣意性説は そのようなつながりはないと説きます。
6. すなわち この / nVgV /という語の形態においては いづれの場合も《障害や邪魔の除去》という意味を帯びて 共通であるという例です。
/ nagi / なぎ =薙ぎ・凪ぎ・和ぎ
すなわち
《 nagi=薙ぎ》は 伐り払うべきものが障害・邪魔と見なされている。
《 nagi=凪ぎ》は 波風が同じくそう見なされている。
《 nagi=和ぎ》は 心の動揺などがそう見なされている。
そうして その障害ないし邪魔と見做されたものを 除去する。またはそれらが除去される・消滅する というシニフィエとなっている。
7. 恣意性説とは / nagi / なぎ =薙ぎ・凪ぎ・和ぎ といった語例において 子音の / n / や / g / といったシニフィアンと 語義の《薙ぎ・凪ぎ・和ぎ》とのあいだに 何ら自然でかつ論理的なきづなは無いという説です。
8. 《投げる nage-ru 》と《流す naga-su ・流れる naga-reru 》と《長い naga-i 》の三語は すでに互いに同じ語根から発生していると説かれています。
けれども ここでも / nVgV / というシニフィアンには いづれの語でも同じシニフィエ(≒意味)が見られます。《障害の除去・邪魔の消滅》というシニフィエが共通です。
nage-ru 投げる (障害なく 延びて行かせる)
naga-su 流す (障害を避けて 延びて行かせる)
naga-reru 流れる (障害を避けて 延びて行く)
naga-i 長い (障害なく延びた状態にある)
9. さらに語例を伸ばします。
《和ぎ nagi 》関連で 母音の交替をも加えて この / nVgV / なる音素には 共通の意義素が潜んでいるという語例です。
nago-ya-ka 和やか (障害が消滅した状態)
nago-mu 和む (障害が消滅していく)
nagu-sa-mu 慰む (障害を除去させる)
negi 祈ぎ・労ぎ・禰宜 (障害の消滅を希求)
nega-u 願う (障害の消滅を希求)
10. どうでしょう。言語記号の恣意性なる仮説によれば こんな現象はあり得ないことになります。
(以上の語例の中で 派生語あるいは有縁語のばあいは 反証力がよわいかも)。
11. おぎなうべき議論の一端として こちらの仮説があります。:
音素 = 意義素
_______________
/ n / = 同定相・否定相
/ g / = 反出相;反定相・疑問相・変化相
12. いま
/ n /=否定相 + / g / =変化相(変化ゆえ 過程相・移行相)
といった複合によって
/ nVgV /なる音韻(シニフィアン)
=《障害の除去・邪魔の消滅》なる意義(シニフィエ)
といったじっさいの語例が作られているという見方を 例証(反証)として提出しました。《障害や邪魔》は その対象が《否定されるべきもの》と捉えられているからです。
13. なお 音素の / n / は 舌先を上の歯茎の裏にかなり強く当てて調音する。その粘着性が 意義素として《同定の相》を帯びる恰好となった。また 対極の《否定の相》をもしめすようになった。
音素の / k / は 息の音 / h / の流れを喉の奥のほうで緊張点をつくってさえぎる。反逆児である。 / h / が息として順出の相ならば / k / は反出相だ。
14. ただしここで 否定相の子音 / n / が 薙ぎにおいてはなぜ《伐採すべき草や木》を《障害・邪魔》として認定したか? それは 分かりません。それは 恣意的に決められたとしか言いようがありません。
つまり 凪ぎや和ぎにおいてはそれぞれ《波風》や《心の不安》を 何故ほかにも数ある障害や邪魔の中からえらんだのか? それは 分かりません。
15. / n / =同定相 という想定とその語例を挙げます。:
① 対象一般の同定 na 名
② 類似として同定 ma-na-bu 真‐似‐ぶ=学ぶ
③ 聴覚対象の同定 na-ru 鳴る; ne 音
④ 自然環界の同定 na 地
⑤ 否定としての同定 na-si 無し
① 対象一般
na 名;成‐る;為‐す;な‐り(也:断定法);な(属格);な・なぁ(確認法)
nä 値;ね・ねぇ(確認・念押し法)
ni に(与格)
nö の(属格)
no の・のぉ(念押し法)
② 類似
na ma-na-bu 真‐似‐ぶ=学ぶ
nä 真‐似
ni 似‐る
③ 聴覚対象
na 〔音〕;鳴る・鳴く・泣く; な‐り(伝聞法)
ne 音
nö 宣る
④ 自然環界
na 地・地‐ら(奈良)
nä 根・嶺
ni 土・丹
nö 沼
no 野・野‐ら
⑤ 否定
na ‐な(否定命令法);無し
ni ‐に(打消法)
ne ‐ね(打消法)
nu ‐ぬ(打消法)
16. さらに語例を増やしておきます。ここで子音はその清濁の違いにかかわらず 同じ意義素を帯びると仮説します。すなわち / g / = / k /:《過程相・移行相》です。母音は 自由に交替します。
nuku / nuke-ru 抜く/抜ける (障害・邪魔の除去・離脱)
noku / noke-ru 退く/除ける (障害・邪魔の離脱。除去)
nugu / nuge-ru 脱ぐ/脱げる (同上)
nugu-u / nogo-u 拭う (同上)
nige-ru / niga-su 逃げる/逃がす (同上)
noga-su / noga-reru 逃す/逃れる (同上)
(ただし ここまで来ると 障害や邪魔は 離脱する者のほう
ではなく対立する相手の側に 設定されている。)
noko-ru / noko-su 残る/残す (同上)
(ただし 上の補注と同じように 視点の移動が見られる。
消滅したもの・除去されたもの〔Aとする〕のほうではなく
以前の状態のままに留まったもの〔Aの否定=非A〕のほうに
焦点が移ってしまった。
17. [11]に掲げた《音素(≒シニフィアン)=意義素(≒シニフィエ)》なるわれらが仮説が もしこのようにして証明されたとしたなら ソシュールの言語記号の恣意性説は 成り立たないと考えられます。構造主義も その土台をうしなうと思います。
☆ ご教授ください。
A 回答 (2件)
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No.2
- 回答日時:
☆ 相変わらず 気位だけ高い。
お互い様。
>言語ごとに語彙が生まれたとき その語彙のぜんぶが一気に
>語どうしの差異関係のみでつくられていた
おや、分かってきたじゃないか。
感心、感心。
ソシュールについて
☆ ただし けっきょく成果無しでした。
ポイントはそこじゃない。
パロールがラングに影響することは否定しないということ
☆ 自然で論理的なつながり――それが あるか・または無いか
ないよ。
何度も繰り返すけど、手話に音声はない。
手話も自然言語なのに。
あなたはいつも手話を無視したり、音声言語の二次的なものと考えたがるけど、そうではない。
まあ、手話の価値を認めたらあなたの思想がすべて雲散霧消してしまうから仕方ないけど。
所詮は空中楼閣だった諦めてください。
真理を究める哲学を志すなら、諦めも肝心ですよ。
ではいずれまた。
★ ポイントはそこじゃない。
パロールがラングに影響することは否定しないということ
☆ だから そういう話というのは パロールにしろラングにしろ語としてすでに出来ている状態のあとに云々する話。
語の初めの出来たときの話をしなくちゃ。
☆☆ 自然で論理的なつながり――それが あるか・または無いか
★ ないよ。
☆ だから きちんと反証を出したし 理論としても反駁した。
/ n / は 調音の上で 舌先と歯茎との接触に粘着性がある。ゆえに 《同定相》という意義素を持つと 自然で論理的に推理される。語例も挙げた。
★ 何度も繰り返すけど、手話に音声はない。
手話も自然言語なのに。
☆ だから いまはシニフィアンが《聴覚映像》である場合に限っている。
★ あなたはいつも手話を無視したり、音声言語の二次的なものと考えたがるけど、そうではない。
★ まあ、手話の価値を認めたらあなたの思想がすべて雲散霧消してしまうから仕方ないけど。
★ 所詮は空中楼閣だった諦めてください。
真理を究める哲学を志すなら、諦めも肝心ですよ。
★ ではいずれまた。
No.1
- 回答日時:
相変わらず思い込みの勘違いを続けていますね。
記号の価値は恣意的である。
しかしその関係は人為によって影響を与えることまでは否定していない。
ソシュールのアナグラム研究はまさにパロールによってラングを揺さぶる人為的な試みの探求であった。
>恣意性説は そのようなつながりはないと説きます。
違います。
つながりがあってもいい。
ただ、それは恣意的なつながりです。
ただのお約束であって、変更することができる。
言葉の意味が変化するのはお約束だから。
お約束というつながりがあることは構造主義の基本。
後はただの寝言だから無視しますけど。
ご回答をありがとうございます。
★ 相変わらず思い込みの勘違いを続けていますね。
☆ 主題は相変わらずですが。
★ 記号の価値は恣意的である。
☆ 有力な反証がなかったので なんとなくそういう感触が言語にはある・・・というのみだったのでしょう。
★ しかしその関係は人為によって影響を与えることまでは否定していない。
☆ 意味を取りづらい。《音韻が語義と自然にまた論理的につながっている》か否かの問題です。
★ ソシュールのアナグラム研究はまさにパロールによってラングを揺さぶる人為的な試みの探求であった。
☆ ただし けっきょく成果無しでした。
☆☆ >恣意性説は そのようなつながりはないと説きます。
★ 違います。
つながりがあってもいい。
ただ、それは恣意的なつながりです。
☆ 同じことです。発音と語義とは 自然と文化(≒反自然)との関係であり分断されているというのです。
言語ごとに語彙が生まれたとき その語彙のぜんぶが一気に 語どうしの差異関係のみでつくられていたという説です。
自然たる音素の / n / に 文化たる語義を形成する意義素(このばあい同定相)が――自然的かつ論理的なきづなとして――ふくまれる。・・・こういうふうに批判しています。
☆ この《自然で論理的なつながり――それが あるか・または無いか(恣意的なものか)――》は お約束だとか可変的だとかの問題ではないのです。↓
★ ただのお約束であって、変更することができる。
言葉の意味が変化するのはお約束だから。
お約束というつながりがあることは構造主義の基本。
★ 後はただの寝言だから無視しますけど。
☆ 相変わらず 気位だけ高い。
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