相続人合意の上、会社からの私の負債は亡父の退職金その他で相殺することにしました。
その後 相続人のなかの二人が裁判所に遺産分割について申し立てを行い、遺産分割は終了していないという理由から負債の返還を求められています。
現在負債処理を完了してからすでに10ヶ月経ちます。
そこでお尋ねします。裁判所に申し立てる以前の相続人全員の合意は無効なのでしょうか?
亡父が「退職金は私に遺贈する」と言っていたことは全員が認めておりますが、会社は亡父の会社に対する負債を、亡父の会社へ対する多額の貸し付けから差し引かずに、退職金から差し引いています。税務上、退職金の遺贈を受けた方が有利になりますし、亡父の意思でもありますので退職金は私に支払ったことにして下さいとお願いしていますが、受け入れてもらえません。受け入れてもらえないのが当然なのでしょうか?教えてください。
No.1
- 回答日時:
「会社」とrira7さん、父上とのご関係を教えてください。
ご質問を拝見する限り、rira7さんは「会社」から借入をしておられ、生前の父上は「会社」の役員(取締役or監査役。従業員とは法的地位が異なってきます。)であり、会社から借入をしておられる一方、会社に対して貸付もしておられた、このような理解でよろしいですか。
念のため申し上げますと、結論的には、rira7さんのご希望は難しいのではないかと思います。ただ、ご説明を申し上げるには情報不足で、あるいは逆の結論になるかもしれません。
この回答への補足
亡父は今の会社を興し亡くなるまで代表取締役でした。相続人は4人です。 亡父の遺産は 不動産÷3=退職金+預貯金+貸し付け金-借り入れ金 の分割方法で協議をすすめてきました。生前の父は 退職金を長男にと言っていましたので それを私が相続する事には全員異存はありません。不動産は遺言書により他の3人が相続します。現在代表取締役の長女は 私の会社からの借入金を亡父の貸退職金と預貯金の一部で相殺しました。私の借入金は10数年毎月返済してきているので亡父の退職金で一つ活処理しないで欲しいと頼んでいるのですが ききいれません。その後 長女は残りの遺産について株の配分と特別受益に不服があると言って裁判所に申し立てをしております。 お尋ねします。現在審判の準備中です。財産目録に退職金を入れることを申し立て人は反対していますが 私はいれて欲しいのです。裁判所は認めるでしょうか。
補足日時:2001/10/08 15:20No.2
- 回答日時:
「合意」「認めている」とは、全て、「遺産分割協議書」に記名・捺印していなければ、認められません。
無効以前の問題で、合意が法的には認められません。
また、問題解決には、あなたの相続分は、相続税の負担が重くない範囲で妥協しないと、他の人は納得しないでしょう。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
結論的には、rira7さんのご要望は通らないと考えます。
以下、rira7さんの法的お立場をもできる限り整理して、ご説明しますが、なお補足をお願いしたい点もあります。
1 ご確認ください
私が前提とした本件の流れは、以下のとおりです。ご確認ください。
(1) rira7さんは、会社に対し借入債務を負っていたが、父上の生前から、毎月の弁済額、弁済日は明確に決まっていなかった。ただ、父上は、事実上分割弁済を認めておられたので、rira7さんは毎月支払える範囲で、分割弁済を続けてきた。
(2) 父上の預貯金は、金融機関への預貯金である。また、会社には、役員の退職金支給規定がある。
(3) 父上が残された遺言書には、「rira7さん以外のお三方に不動産を相続させる。」との記載があった。
(4) rira7さんご兄弟は、父上の遺産を、rira7さんが父上の会社に対する貸付金債権・退職金債権、預貯金(以下「退職金債権等」といいます。)を取得し、父上の負債をすべて引き継ぐ、その他のお三方が父上の保有不動産を3等分する、という基本方針で分割交渉を進めてこられた。
(5) 会社は、父上及びrira7さんに対する貸金債権と、rira7さんが相続なさった父上の退職金債権・貸金債権、預貯金とを相殺する旨の意思表示(≒通告)をしてきた。
(6) 今般、長女の方と、ほかお一人が、家庭裁判所に遺産分割審判(調停ではなく)の申立をされ、近々に期日が指定されている。
2 退職金請求権の遺産性(「相続人全員の合意は有効なのか?」)
口頭の約束でも、遺産の全部について分割方法を定めなくても、遺産分割協議は有効です。
ですから、rira7さんご兄弟の間では、会社の株式をどのように分割するかと、rira7さん以外のお三方で不動産をどのように分けるのかのみが協議されており、退職金債権等をrira7さんが相続されることが確定的に(=既定の事項として)合意されていたような場合は、遺産一部分割合意に基づき、rira7さんは有効に退職金債権等を取得しておられることになります。この場合、退職金債権等は、既に遺産から外れていることになります。
会社はrira7さんが退職金債権等を相続したことを前提とする行動(相殺の意思表示)をとっていますから、rira7さんご兄弟の間では、rira7さんのおっしゃる「合意」が遺産一部分割合意として有効であることが前提となっていると思われます。
ただし、以上はご質問を拝見した限りでの判断です。No.2でmaisonfloraさんがご指摘のとおり、遺産一部分割協議書が作成されたといった特段の事情がない限り、rira7さんがおっしゃるような「合意」は、法的効力を有するものではなく、「rira7さんが退職金債権等を取得することを基本とするが、不動産や株式の分割で不均等が生じた場合には、預貯金等をrira7さん以外のご兄弟が取得することで調整を図る」という趣旨の「基本方針」にすぎないと認定されるのが通常だと思います。
つまり、本件でも「合意」の法的効力が否定される可能性は残っている、ということです。
3 rira7さんの債務の弁済期
この項では、rira7さんのおっしゃる「合意」が遺産一部分割合意として有効という前提をとります。
rira7さんと会社の間で、分割弁済の約定があれば、会社はrira7さんの借入債務と父上の退職金請求権とを相殺することはできません。rira7さんの債務が弁済期(民法505条1項)にないからです。
しかし、ご質問を拝見する限り、rira7さんと会社の間には借入債務の弁済期に関する定めがなかったが、父上の生前の会社(=父上)は、純粋に厚意から一括返済を迫らず、分割弁済を事実上容認しており、rira7さんも、その時どきで払える額を返済しておられたのではないかと想像されます。借入総額に比して月々の返済額が少額であれば、なおさらです。
そうすると、法律上は、rira7さんの借入債務も弁済期にありますから、会社の相殺の意思表示は有効です。会社の言い分が正しいことになります。
仮に、rira7さんのおっしゃる「合意」を法的合意と見なければ、退職金債権等も未分割の遺産です。
判例上、被相続人の金銭債権及び金銭債務は原則として遺産分割の対象にはならず、相続開始と同時に、法定相続分に従って各相続人に分割されると解されています(最高裁昭和29年4月8日判決など)が、相続人間の合意で、これらの債権債務をも遺産分割の対象とすることができます。
したがって、rira7さんが、退職金債権等を遺産に含めて欲しいとご希望なら、その旨審判手続中でご主張になればよいのですが、遺産分割審判とは別に、地方裁判所に「遺産確認の訴え」を提起して決着をつけるよう家庭裁判所から示唆されると思います。
4 預貯金について
金融機関への預貯金であれば、会社がrira7さんに対する貸付金と相殺することはできません。
以上、補足いただければ幸いです。
お礼が遅くなって申し訳ありませんでした。
大変参考になりました。いまだ審判準備中です。いろいろの方に、ご相談申し上げましたが、先生のように懇切丁寧に教えてくださった方はありませんでした。
有難うございました。
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