No.3ベストアンサー
- 回答日時:
「人を信じられるという事」。
暴虐な王はメロスが帰ってこないと考えているわけで、間に合う間に合わないはともかく、メロスが帰ってくる姿を見せることで、王自身はともかく、「やはりメロスは帰って来ぬやもしれぬ」と考えているであろう他の皆に対して、帰ってきた事を見せる事で、「この殺伐とした御世(暴虐の王の治世ですから)にも信じられる事はある、人を信じることができる」という事を示す事。それにより何かを起こせるかは別としてです。
それを敷衍すれば「人の誇り」でしょうか。プライド。これは「自分自身のプライド」だけではなく、その国の人間として全体としてのプライド、ではないかと思います。
これは時代背景(走れメロスが書かれたのは1940年)を考える必要があるかもしれません。まぁ、太宰がどのようにその時代に関して考えていたのかは私は詳しくはありませんが。
詳しい回答ありがとうございます。
つまり、メロスはすべての人のプライドを背負って「人は人を信じられるということを証明するため」に走り続けた、ということでしょうか。なるほど。
1940年というのは、戦争のときですね。人としての人権が無視され、貧富の差が激しく、飢えに苦しみはじめた時代。う~ん…、太宰は一体その時代についてどう考えていたんでしょうかねえ……。
No.4
- 回答日時:
ご存知かもしれませんが、この「走れメロス」は作者である太宰治の実体験が元となっていると言われています。
ある時、太宰が熱海の旅館で金が無く困っていたため、太宰の内妻が、友人に旅費込みでいくらか包んで届けさせました。
しかし太宰はその金で豪遊してしまい、たった三日間で使い切ったばかりか、料理屋にツケまで作ってしまいました。
彼は、「足りない分は東京の知り合いに借りてくる」と、友人を料理屋に残して東京へ行きましたが、それっきり全く帰ってきません。
さすがに業を煮やした料理屋の主人と友人が太宰を捜しに行ったところ、太宰はその知り合いの家でのんきに将棋を指しており、あまつさえ友人の怒りの言葉に開き直る始末。
結局、積もり積もった太宰の借金は身内総出で立て替えることになり、彼自身はとうとう一銭も払わなかったそうです。
こういう話を踏まえると、「もっと恐ろしく大きなもの」というのは、太宰のダメ人間ぶりを見てなお彼を助けてくれた周りの人々の心、あるいは彼の抱いていた人間不信の裏返しなのだろうと思います。
物語の内部だけでは読み取れない話ですが、参考にしていただければ幸いです。
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