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フィードバック系をラプラス変換で考えるとに、制御などの本では現在の周期の入力X(S)、出力Y(S)から伝達関数を求めるとき、フィードバックされる1周期前の出力もY(S)と書き1つの式を解いているのですが、1周期前の出力も現在の周期と同じY(s)と書くのはなぜでしょうか?ラプラス空間に変換するときに時間に対して0~∞までの寄与を積分しているからなのでしょうか

A 回答 (2件)

「1周期前」とおっしゃるのが、ループを1周回ることなのか、あるいは入力信号の周波数に対する1周期なのか不明ですが・・・とりあえず考えられそうなことを書いておきます。



■フィードバックのある時、ない時とも同じ記号Y(s)を使っていますが、当然ある時とない時とで出力は違います。そうでないとフィードバックの意味がありませんので。ですからもしその点が引っ掛かるのなら、
Yなし(s)・・・フィードバックのない時
Yあり(s)・・・・フィードバックのある時
と区別して定義することにしましょう。

まずフィードバックのない時ですが(等幅フォントでご覧下さい)

X(s)     Yなし(s)
  ┌───┐
──┤ G (s) ├──
  └───┘

ですから、Yなし(s)=X(s) G(s)となり、当然ですが
 G(s)=Yなし(s)/X(s)  (1)
です。

次にこの回路にフィードバックをかけた場合です。

X(s)      Yあり(s)
 A+ ┌───┐
─○─┤ F (s) ├─┬─
 ↑- └───┘ │
 │ ┌───┐ │
 └─┤ K (s) ├─┘
   └───┘

A点ではフィードバックされてきた出力を、正負を反転させてX(s)と足し合わせるものとします。
全体の伝達関数をG(s)とします。G(s)は未知です。
 Yあり(s)=X(s) F(s)-Yあり(s) K(s) F(s)  (2)
が成立しますから、
 Yあり(s)=F(s) X(s)/{1+K(s) F(s)}  (3)
です。従って全体の伝達関数G(s)は
 G(s)=F(s)/{1+K(s) F(s)}  (4)
です。明らかに(1)とは異なります。またフィードバックのない条件、すなわちK(s)=0と置けば(1)になることも確かめて下さい。


■次に、概念的な問題です。こちらは多少厄介ですが。
1. F(s)やG(s)の具体的なイメージは波形ではありません。(sは物理的には角周波数の次元を持っています)
ですからオシロスコープに出てくるような「波形」を頭に浮かべながら伝達関数を考えると混乱します。
むしろ「周波数特性」と考えた方が理解し易いです。
2. なるほどフィードバックループを1周回るということは、それなりに時間がかかるようなイメージがあります。しかし実際には上で解いたようにループを回る時間は無限小であって、1周くるっと回ったものをもう一度入力に放り込んで、それで出てきた出力をどっこいしょとフィードバックして・・・なんて暢気に動作しているわけじゃないのです*。
入力X(s)と、フィードバックされた Yあり(s)K(s) が重畳されたものがF(s)を通って、出力Yあり(s)として出てくるのです。あるいは上の(2)式で、「この式を満足するようにYあり(s)が決まる」とも言えます。

*もし遅延を考える必要があればK(s)の中に遅延を表す要素を入れれば扱えます。
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この回答へのお礼

丁寧な説明ありがとうございます。
回答の中のもう1点について質問があるのですが。
1周期前、時間T前の出力をフィードバックするときは遅延要素は
具体的にexp(-ST)でいいのでしょうか?
お願いします。

お礼日時:2001/11/11 14:53

yoshihikiさん、改めましてこんにちは。

実は遅延要素の部分が回答の中でちょっと自信のない箇所だったのですが・・・念のため昔の制御工学のノートを引っ張り出してきて再確認しました。

結論から申し上げると、時間Tの遅延要素はおっしゃる通りexp(-sT)でOKです。これはフィードバックのゲイン(K(s))の話に限らず、ラプラス変換全般に通用するものです。
なおexp(-sT)は単に「時間Tだけ遅らせる」という意味しかありません。頂いた返信の中にまだ「1周期」という単語がありますがその考えから早く離れて下さい。ループを1回回ることを「1周期」とは呼びません。入力X(s)を放り込んでF(s)から出てきたものは、瞬時にフィードバックされ、Yあり(s)が回答No.1での(3)を満たす形になるように出力(Yあり(s))が瞬時に修正されるのです。

何となればフィードバックありの図のA点で、フィードバックループからの出力(K(s)から出ているもの)を一度切ってみましょう。

X(s)       Y(s)
 A+ ┌───┐
─○─┤ F (s) ├─┬─
   └───┘ │
 × ┌───┐ │
 └─┤ K (s) ├─┘
   └───┘

この時の出力は、当然
 Y(s)=F(s) X(s)  (5)
になります。それからおもむろに元通りにつなぐと出力は
 Y(s)=F(s) X(s)/{1+K(s) F(s)}  (6)
に変化します。
敢えて言うならつないだ瞬間に、「その時の出力値をフィードバックし、それにより出てきた新たな出力をまたフィードバックし、最終的に出力Y(s)が落ち着くまでその動作を何万回も繰り返している」ということになります。この時その1回のフィードバックを回数で数えると「周期」の考えから抜けられません。回数が何回であろうとそれは瞬時に行われるのです。(もちろん理想上のお話であって、現実の回路ではわずかに時間がかかるわけですが)

制御工学で最初に出てくる線形・連続時間での制御であれば遅延要素はほとんどお目にかかりませんが、その先で学ぶディジタル制御(離散時間)になると急にたくさん現れます。離散時間系であれば今度は「周期」は非常に重要なものになります。
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この回答へのお礼

本当にありがとうございました。
長い間の疑問が解けました!

お礼日時:2001/11/12 13:49

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