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昨日久しぶりに図書館に行ってみたら、以前にrei00さんが紹介して下さった
『暗記しないで化学入門(平山令明 著)』が見つかったので借りてきました。
まだ半分しか読んでませんが、いろいろと理解が深まってきたような気がします。

それでもまだよく解らないのが錯イオンのことなんです。
まずこの中の記述によると、p軌道まで電子が一杯(価電子8個)になると、
安定になるということですよね?

で、Fe2+がd2sp3混成軌道になったり、Coがd2sp3混成軌道になるのは
なんとなくは理解できました。(間違った理解かもしれませんが(^^;

これだとAl3+はsp3混成軌道になりそうだ・・・、と思うんです。
しかし、実際はsp3d2混成軌道になることが多いんですよね?
この”d2”ってのはどうなってるんでしょう??
これだと逆に不安定になっていそうな感じがするのですが・・・。

他にCo2+も、sp3混成・sp3d2混成の両方をするんですよね?
う~ん・・。全く解りません・・・。(T_T)
というか、たぶん最初から何か勘違いしてると思うんです。
今日、学校の物理の先生にこの事を質問してみたのですが、
『大学で習ったけど忘れた』とか言われてしまったんです。(笑
錯イオンのこういったこと↑について、教えて下さい!
よろしくお願いします。m(_ _)m

(いま読んだら何を書いてあるか解りづらいですね・・・すみません。)

A 回答 (2件)

  典型元素だけで形成される安定化合物の多くはオクテット則を満たしているものが多いですね。

オクテットを達成することは安定化のための重要な因子ですが、無条件で何よりも優先されるわけではありません。例えばSi、P、Sなど第3周期の右部分の元素を含む安定な物質の中にはオクテット則を満たしていないものもあります(例えばPF6- など)。これらの化合物の中心元素は水溶液中のアルミニウムイオンと同様に3s、3p、3d 軌道混成しており5配位あるいは6配位の化合物を形作っています。
  遷移金属錯体の安定性を推し量る目安として、オクテット則に似た18電子則というものがあります。これにはオクテット則以上に多くの例外があるので混乱を避けるためにここでは説明しません。

>これだとAl3+はsp3混成軌道になりそうだ・・・、と思うんです。
>しかし、実際はsp3d2混成軌道になることが多いんですよね?
>この”d2”ってのはどうなってるんでしょう??
>これだと逆に不安定になっていそうな感じがするのですが・・・。

まずは「なぜ使われるd 軌道は二つなのか」
Al原子は最外殻電子を3個もっていますからAl3+では最外殻電子はゼロ。そこに6個のアクア配位子が2電子ずつ合計12電子を供与します。ひとつの軌道には2電子収容できますので12電子全てを収容するには6つの軌道が必要です。3s 軌道ひとつと3p 軌道三つ、残り二つ足りません。そこでこの不足分を3d 軌道でまかなおうということです。ここで注意して欲しいのはエネルギー準位が満たされる順序について。化学の授業のどこかで1s →2s →2p →3s →3p →4s →3d と習ったはずですが、今回の話の場合には4sを飛ばして3d 軌道が選ばれます。

「何故sp3ではなくsp3d2か」
配位数や配位様式などの錯体構造は、中心元素の種類や形式電荷だけで決定されるのではなく、むしろ配位子が形作る電場から中心元素が受ける静電的影響により決定されます。すなわち静電場が中心元素の各軌道間に様々なエネルギー差を生じさせ→軌道の混成に影響を与える→分子構造が決定されます。Al3+と水の場合には「アクア配位子が強い静電場を形成し、アルミニウムがその影響を受ける。その中ではsp3四面体構造よりもsp3d2八面体構造が安定となる」のです。

(蛇足ですが周期表でアルミニウムの上に位置するホウ素の場合には対応するd軌道がありません(2d?)。そのため配位子が超強力な電場を形成してもd軌道との混成ができず、アルミニウムのような多配位を取れないのです。対応するd軌道を有している場合でも、配位子が嵩高ければ立体反発による配位数の制限を考えなければなりません。錯体に限らず化合物の安定性を考える場合には、特定の元素のエネルギーのみに着目するのではなく分子全体のエネルギー、系全体のエネルギーを考えねばなりません。今回の場合にも厳密には静電場以外にも考慮しなければならないファクターがあるのです。でも大学に入って好きな学問に費やす時間が出来るまでは「水溶液中のアルミニウムイオンは6配位の状態で安定」と暗記しておくしかない、かな?)


>Fe2+がd2sp3混成軌道になったり、Coがd2sp3混成軌道になるのは
>なんとなくは理解できました。
>他にCo2+も、sp3混成・sp3d2混成の両方をするんですよね?

次は遷移金属ですね。遷移金属錯体に関しては配位子から与えられる電子以外に中心金属イオンが有しているd電子の数およびそれが収まっている軌道にも気を配る必要があります。遷移金属錯体で平面四配位をとる理由の多くは、この「金属イオンが有しているd電子」によって特定の方向から配位子が接近出来ないためです。  さて、本題に戻ります。この金属ならばこの混成、という考え方はやめた方がよいと思いますよ。先ほども述べましたが錯体の構造は配位子の数だけでなく、その種類にも大きな影響を受けます。配位子場が中心金属に与える静電的影響の大きさ(分光化学系列;CN- > NH3 > H2O > OH- > F- > Cl- > Br- > I-)の変化によって正四面体になったり、平面四角形になったりします。例えば配位子に結合している官能基の一部(金属とは直接結合していない部分)を変えるだけで構造が劇的に変化するものもあります。見た目が変化しなくてもd2sp3 → sp3d2への変化とかもありますよ。
  無責任ですが(すいません)詳細は結晶場理論や分子軌道法、無機化学、錯体化学をご自分で学んでください。


<<以上、自信なし!! 以下は自信あり(笑)>>

なににせよ、いろいろ疑問を持つことは非常に良いことです。そしてガンガン質問するのも素晴らしいことです。あなたの質問のセンスも見事だと思います。最近は大学の化学系研究室などでは何も質問しないと同時に教官や先輩から指示されたことだけしかできない学生が増えていると聞いています。あなたのように前向きな姿勢で学問研究に取り組む人が増えてくれたら研究室の活性化が図れてよいのではないか、と思います... 是非化学系に進んで欲しいと個人的には思っています。
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この回答へのお礼

>大学に入って好きな学問に費やす時間が出来るまでは「水溶液中のアルミニウムイオンは6配位の状態で安定」と暗記しておくしかない、かな?

やっぱりそうですか・・・。暗記か~。嫌だな~。(^^;
結晶場理論等の勉強もしたいですけど、大学受験が迫ってきてますしねぇ。高校でやっている無機化学はALL暗記ですから、あまりおもしろくないんですよ。だから「楽しく学ぶためには理論も少しは学んだ方がいい」と思いまして。学校ではVSEPRもVBもやらなかったので、初めて知ったときは衝撃的でした。まさか分子の形が予測できるとは思ってなかったです。この勢いで「錯イオンの立体構造も配位数も予測してやる!」とか目論んでいたのですが、失敗に終わりそうですね(笑)

>この金属ならばこの混成、という考え方はやめた方がよいと思いますよ。

やっぱりそうですか・・・。(爆) そうだと思ったんですよ。
何か間違ってる気がしてたんです。配位子によって変わるんじゃないか・・・とは思ってました。
やっぱりそうなのか~。今のところは暗記しておくしかなさそうですねぇ。

>是非化学系に進んで欲しいと個人的には思っています。

一応、理学部・化学科志望です。
なるべくいい大学に入りたいのですが、化学は大丈夫でも他の教科が・・。
浪人しないように頑張りたいです。(^^;

あと今日、Feの電子配置を見ていて思ったのですが、
Feは↓こうなってますよね。(f軌道は省略)

K (↑↓)
L (↑↓) (↑↓)(↑↓)(↑↓)
M (↑↓) (↑↓)(↑↓)(↑↓) (↑↓)(↑  )(↑  )(↑  )(↑  )
N (↑↓) (   )(   )(   ) (   )(   )(   )(   )(   )

Fe2+のイオンになる時、どこの電子が抜けていくのですか?
エネルギーで見ると3d軌道が高いですが、ここから抜けていくのでしょうか?
それともやはり最外殻のN殻(4s軌道)から抜けていくのでしょうか?
これも学校の物理の先生に質問したのですが、「忘れた」と言われてしまいまして。(笑

>エネルギー準位が満たされる順序について。化学の授業のどこかで1s →2s →2p →3s →3p →4s →3d と習ったはずですが・・・

高校の授業ではオービタルとかは習いませんよ~。
”独学”です!!・・あぁ、なんかいい響きだ・・(ぉぃ

お礼日時:2001/11/17 00:16

>高校でやっている無機化学はALL暗記ですから、あまりおもしろくないんですよ。

だから「楽しく学ぶためには理論も少しは学んだ方がいい」と思いまして。

最近の授業もやはりそうですか... 私が高校生だった大昔からあまり変わってないようですね... もっと学ぶ楽しみを味わえる授業が良いですよね。理系離れの原因の一つだと思いますよ。大人がもっとしっかりしなければ! と再認識いたしました、はい。

>Fe2+のイオンになる時、どこの電子が抜けていくのですか?

鉄の4s軌道の電子が抜けます。鉄(II)の錯体の場合、4s軌道を含むいくつかの軌道が混成し、配位子から電子供与を受けます。

>高校の授業ではオービタルとかは習いませんよ~。

すいません。言い訳になりますが大学合格後に再度各回答を見直していただければ勉強しやすいんじゃないか、という余計な考えも込めてのことです。なにとぞご容赦を。それだけあなたの質問はセンスが良いということですよ。あなたに対する他の方の回答を見ても、簡略化しつつもかなり高度なレベルの話をしていますね。

では他の受験科目の勉強も頑張ってください。
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この回答へのお礼

>最近の授業もやはりそうですか... 私が高校生だった大昔からあまり変わってないようですね... もっと学ぶ楽しみを味わえる授業が良いですよね。理系離れの原因の一つだと思いますよ。大人がもっとしっかりしなければ! と再認識いたしました、はい。

学校の物理の先生が仰っていたのですが、その先生が高校生の時にはオービタルやVB理論も大学入試に出ていたそうです。どうして今は教えてくれないのでしょうねぇ?
そういえば最近は小学校で教わる円周率は”3”になってしまい、そして反比例すら習わなくなっているようです。それでいいのか~?そんなことをしていたら、どんどん日本の学力が低下していくような気がしますが・・・。

>鉄の4s軌道の電子が抜けます。

そうなんですか~。エネルギーの順に抜けていくのではないんですね。
教えていただいてありがとうございますm(_ _)m

>大学合格後に再度各回答を見直していただければ勉強しやすいんじゃないか、と

あ~、なるほど!そういうことでしたか~。
どんどん見直しさせていただきます。(笑

>あなたに対する他の方の回答を見ても、簡略化しつつもかなり高度なレベルの話をしていますね。

回答を読まさせていただいているといつも、
「皆さん、ひょっとして・・・・・天才?」とか思ってしまいます(笑
僕も皆さんのような回答ができるくらいになりたいです!

・・・と、いうわけで他の受験科目も頑張って勉強して、
なるべくいい大学に入らなくてはなりませんね~。(^^;

お礼日時:2001/11/18 00:09

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