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投資の回収と減価償却の関係について教えて下さい。

ある機械Aの購入額が500万円、Aを使用することにより得られるリターンが年間50万円とします。

このとき、Aの償却期間が

 5年の時  5×50-500=-250
10年の時 10×50-500=0
15年の時 15×50-500=250

となり、償却期間が10年超の時、つまり

投資額/リターン<償却年数

の時に投資すべきという考えは正しいのでしょうか?

A 回答 (2件)

投資するべきかどうかの意思決定をする際、その判断の仕方には、主に、正味現在価値法、内部利益率法、回収期間法というのがあります。


質問者さんが説明されているのは、回収期間法に近いものですが、一部適切でない部分があります。

(1)損益ではなくキャッシュ・フローで考えるべき
ご説明では、「投資額/リターン<償却年数」のとき投資すべきとなってますが、投資の意思決定は償却年数や減価償却方法など会計処理の方法に影響を受けることなく行われるべきです。(質問者さんの例で言えば、償却年数が5年ならば投資しないという結論になりますが、6年以降も10年、15年とリターンが得られれば投資するべきですよね。)
そうではなく「投資額を将来キャッシュフローで回収できる期間<投資したことによりプラスの将来のキャッシュ・フローを得られる期間」であれば、投資するべき、と考える必要があります。

(2)ほかの項目についても考慮してみる
法人税等の納税にかかるのキャッシュフロー(リターンと減価償却の分)や、場合によってはその投資案件が終了するときのキャッシュフローについても考慮したほうがより正確になります。

例えば、実効税率40%。その機械の耐用年数が15年で定額法で減価償却を行う。15年経つとその機械は使用不能になる。年間50のリターンは最低15年は継続するものとする。このようなケースを考えるとします。
毎年の減価償却費は30(=500*0.9/15)であり、リターンと減価償却費により毎年の税額は8(=(50-30)*0.4)、15年間のキャッシュ・フローは毎年42(=50-8)となる。
500/42=11.9年 ⇒12年で回収可能
「投資額を将来キャッシュフローで回収できる期間<投資したことによりプラスの将来のキャッシュ・フローを得られる期間」=「12年<15年」
結果として、投資するべきであるという結論になる。

ただし、回収期間法だと投資額の回収期間しか計算されません。投資を行うことによってどれくらいの利益(キャッシュ・フロー)が得られるのか計算する場合は正味現在価値法の方が都合がいいです。計算方法についてはWeb検索してみてください。「投資 意思決定 正味現在価値法」などで検索。
でも回収期間法は、暗算でも計算できるので便利なんですよね。

この回答への補足

とても丁寧な回答ありがとうございました。

実は私が知りたかったのは、一言で言うと減価償却の効果のことなんです。どうして上記のようなまわりくどい質問をしたかというと、減価償却には「投下資本の回収」という効果もあるという記述を見たことがあり、自分なりにその意味を考えてみたからです。ちなみに固定資産の減価額の期間配分や自己金融効果もあるとのことです。

そこでもし分かればあらためて教えて欲しいのですが、減価償却の効果の一つとして投下資本の回収というものがあるのでしょうか?
また、回答者さんの例でもそうなのですが、減価償却が終了したときは、すでに投資の回収は終了していると考えていいのでしょうか。

補足日時:2005/10/19 22:04
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今日の会計制度では、費用の認識については発生主義の原則と費用収益対応の原則を、費用の測定には取引価額主義と取得原価主義、さらに費用配分の原則を摘要していると思います。

これを前提にしていうと。
有形固定資産は、適正な期間損益計算を行うために、費用配分の原則に基づき取得価額をその耐用年数における各事業年度に配分する、としていると思います。いわゆる減価償却ですよね。それで、この減価償却を行うことによってもたらされる経済効果として、固定資産の流動化と自己金融効果の2点が掲げられています。しかし、投下資本の回収というのは掲げられていません。よって、そういう経済効果はないと思われます。
あと、ここからは私の考えですが。
今日の会計制度において、費用に関する認識が発生主義の原則による理由は、投下資本の回収余剰分としての利益の計算すなわち分配可能利益計算という枠内で、可能な限り期間的な経営成績を表示することにあるからと言っています。そして、もう1つの費用収益対応の原則の理由は、期間的な経営成績を表示するため、収益との個別対応または期間対応によって当期の期間費用を決定する必要があるからと言っています。
また、発生主義の原則は費用の発生というものを経済的価値の費消という事実の発生に基づいて認識する原則(確定事実により発生した費用)であるといい、費用収益対応の原則は収益との対応期間を必然的な因果関係ばかりでなく蓋然的な因果関係も含めて広く認め、その対応に基づき、経済的価値費消の原因となる事実の発生を認識し、費用の発生とする原則(必然的もしくは蓋然的な原因事実により発生した費用)であると言っています。
このことから、旅費交通費などの費用は確定事実の発生によるものであると言え、発生主義の原則により認識され、減価償却費は必然的事実により発生するものと言え、費用収益対応の原則により認識されると考えられます。
よって、減価償却費は期間的な経営成績を表示するための期間費用を決定するためのものであり、投下資本の回収が目的ではないため、そのような効果はないと考えられるべきだと思います。
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