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非公開会社において、会社法200条1項に基づき募集事項の決定を取締役に委任した場合で、特別決議を欠いた株主割当以外の方法による有利発行が行われていたり、一部の株主の持ち株比率を著しく下げることを目的とした募集株式の発行が行われたときの話です。

この場合、公開会社と違い株主に対して募集事項の通知・公告がなされませんが、こうなってしまうと株主が募集事項を知る機会が減り、募集株式の発行等の差止請求権(210条)をすることなく、募集株式発行になってしまうと思うのですが、こういった場合は、新株発行・自己株式処分無効の訴えは認められるのでしょうか?またそうなった場合は、何が無効原因となるのでしょう?有利発行の場合は法令違反となる手続き上の瑕疵で、持ち株比率を著しく下げる場合は、「不当に既存株主の利益を害する募集株式発行」であることが理由となるのでしょうか?

A 回答 (5件)

>説明義務は特別決議の後に有利発行を行うとしたら発生するのではないのでしょうか?



 違います。募集株式の数の上限及び「払込金額の下限」を定めて、募集事項の決定を取締役に委任するのですから、実際の払込金額(発行価格)は、取締役の過半数の一致により決定するわけです。(この決定について、あらためて株主総会の特別決議による承認は必要ありません。)ただし、払込金額の「下限」を下回ってはなりません。
 ですから、総会で定めようとする払込金額の下限が、特に有利な価格になるような場合は、それについて取締役に説明義務を課しているわけです。
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この回答へのお礼

今まで回答ありがとうございました。

お礼日時:2006/08/20 11:01

(考えられる見解の1つにすぎないことを前提にお読みください)



<特別決議を欠いた株主割当以外の方法による有利発行の場合>
従来、判例は、総会の特別決議を欠く株主以外への有利発行すら、新株発行の無効事由にはならないとしており(最判昭和46年7月16日)、また、閉鎖会社に対して新株発行の無効事由を拡張することも否定していました(最判平成6年7月14日)。

ただ、立法担当官編著の本(葉玉匡美編著『新会社法 100問』(2005,ダイヤモンド社))を見ると、非公開会社において、総会決議に取消事由があることが、新株発行・自己株式処分の無効原因になるかという点について、肯定的に解しています(同書124頁以下)。

判例を踏まえると、およそ非公開会社一般において、総会決議に取消事由のあることが、新株発行・自己株式処分の無効原因になると解するのは難しいように思えるのですが、非公開会社でも、貴社のような取締役会非設置会社であれば、話は別のように思います。

会社法は株式会社・有限会社を一本化しましたが、従来も有限会社では、社員総会決議に取消事由があることは、資本増加の無効原因になると解されていました。
そうすると、従来の有限会社型の株式会社といえる取締役会非設置会社においては、有限会社とパラレルに考えることが可能ですし、既に挙げた立法担当官の本の記述も、その内容から、有限会社の議論を会社法の解釈に転用しているように見受けられます(但し、同書では、非公開会社一般で、総会決議に取消事由があることを、新株発行・自己株式処分の無効原因とすること前記のとおり)。

総会決議に取消事由があることが、新株発行・自己株式処分の無効原因になるとすると、総会決議取消の訴えと、新株発行・自己株式処分無効の訴えの関係が問題になりますが、従来の有限会社の議論および立法担当官の本によると、新株発行・自己株式処分の効力発生前は総会決議取消の訴えを提起、効力発生後は新株発行・自己株式処分無効の訴えを提起すべきで、後者の場合、総会決議取消の訴えの出訴期間経過後は、無効の訴えにおいて総会決議に取消事由があることは主張できないことになります。

とはいえ、有限会社法では、株式会社で言う新株発行差し止めにあたる制度がなかったため、資本増加の無効原因を広く捉えたと言うところもありました。ですから、会社法では、差し止めがあるんだから、旧有限会社同様の株式会社でも、総会決議の取消事由をもって新株発行・自己株式処分の無効原因とすべきでないとの考えもないとはいえませんので、難しいところです。

<一部の株主の持ち株比率を著しく下げることを目的とした募集株式の発行の場合>
これは、発行差し止めの「著しく不公正な方法による発行」の一態様に当たりますが、従来、判例は無効原因とはならないとしており(最判平成6年7月14日)、前記のようにこれは、閉鎖会社に対して無効事由を拡張することを否定した判例でもあります。
しかし、会社法下における取締役会非設置会社でも同様に考えてよいかについては、そもそも発行差し止め制度がなかった有限会社の議論を参考にはできませんし、議論の分かれるところでしょう。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございました

お礼日時:2006/08/20 11:02

>どの時点の総会決議を取り消すのでしょうか?



 募集事務の決定を取締役に委任する特別決議です。募集株式の数の上限及び払込金額の下限を定めて、募集事項の決定を取締役に委任する特別決議をする必要がありますが、その払込金額の下限が有利発行に該当する場合は、その決議の前提として、取締役がそれに関して説明する必要があります。
 取締役がこの説明義務を果たさずに、取締役に委任する特別決議がなされた場合、その決議の方法に瑕疵があるといえます。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。
説明義務は特別決議の後に有利発行を行うとしたら発生するのではないのでしょうか?決議自体には瑕疵があるのでしょうか?

お礼日時:2006/08/18 01:05

 いろいろな考え方があると思いますので、考え方の筋道だけを述べたいと思います。


 まず、取締役による説明がなされなかった場合、株主総会決議の取消事由にあたると思います。(831条1項1号)
 仮に株主総会決議取消の訴えを認容する判決が確定した場合、既になされた募集株式の発行などはどのようになるかです。
 決議が取り消されると遡及的に無効となりますから、特別決議がないにもかかわらず、募集株式の発行がなされた場合は、募集株式発行等の無効原因となるかどうかです。
 特に非公開会社においては、旧株主の持分比率の維持が重要ですから、これを重視すれば、無効原因になると考えられます。
 一方、特別決議を欠く募集株式の発行等は無効とする立場をとっているとしても、特別決議の無効又は不存在ではなく、特別決議が取り消しされた場合は、遡及的に無効となるとはいえ、取り消しされるまでは有効な株主総会決議だったのですから、それを前提に募集株式を取得した第三者の取引の安全も考慮すると、無効原因にはならないという考え方も成り立つでしょう。
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この回答へのお礼

回答ありがとうございます。
>株主総会決議の取消事由にあたると思います。(831条1項1号)

とは、どの時点の総会決議を取り消すのでしょうか?200条1項の決議を取り消して、新株発行等を無効にしようという方針なのでしょうか?

お礼日時:2006/08/15 22:22

 非公開会社で募集事項を取締役に委任するには株主総会で特別決議を要し、募集株式の数の上限及び払込金額の下限を定める必要があります。

特別決議を欠いているというのは、募集株式の数の上限及び払込金額の下限を定めないで、取締役に委任する特別決議がされたという意味ですか。

この回答への補足

済みません。200条の特別決議があった上で委任され、同条2項の総会での理由説明を欠いた場合でした。

補足日時:2006/08/15 01:43
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