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コーシー列の手前のところの勉強をしています。旧版の「解析学序説(上)」P130(2003年の新版では下巻 P5)です。

[定理] 数列a(n)が、ある有限な値に収束するための必要十分条件は、数列が有界であって、しかもその集積値ただ一つしかないことである。

ちょっと長くなりますが、証明を全体を引用します。

[証明]
必要なことはすでに述べたから、十分なことを証明する。a(n)は有界だから(前出の定理により)集積値があり、それは仮定によりαただ一つである。もしa(n)がこのαに収束しなかったとすると、ある限界ε0(イプシロンゼロ)があって、どんなに先へ行っても|a(n)-α|≧ε0 であるa(n)があるから、a(n)から部分列
a(ni)を選んで、すべてのniについて|a(ni)-α|≧ε0 であるようにできる。(前出の定理により) a(ni)は集積値βを持つが、|β-α|≧ε0 だから、β≠α。しかもβはもとの数列の集積値でもあるから、これは仮定に反する。ゆえにa(n)→α。
(引用終わり)

この中で、|β-α|≧ε0 というのがどうしても導けません、というか分かりません。

線分図というか数直線表示をすると、「すべてのniについて|a(ni)-α|≧ε0 であるようにできる」ので、もしβが(α-ε0,α+ε0) の中に入ってしまうとするならば、すべてのa(ni)が(α-ε0,α+ε0) の中に入ってしまい、矛盾を生じることは分かるのですが、絶対値を含む初歩的な不等式を使うことによって、|β-α|≧ε0 が導けると推測するのですけれども、できませんでした。

よろしくお願いいたします。

A 回答 (6件)

No.2 です。


質問者さんのやり方は(No.1さんも)結論的には正しいのですが、この場合には適当ではありません。
なぜならばa(ni)→βということを利用していますが、
今証明しようとしていることはa(n)が唯一つの集積値αを持つときa(n)→αを示そうとしているのに、a(ni)が一つの集積値βをもつがらa(ni)→βとしてしまっては循環論法になってしまいます。ここで利用してよいのはβはa(ni)の集積値ということです。
私のやり方ですが、
|β-α|≧||a(ni)-α|-|βーa(ni)||
は任意のniについて成り立ちます。
仮定より任意のniに対して|a(ni)-α|≧ε0であり、βはa(ni)の集積値であるから
|βーa(ni)|=ε1とおくとε1はniを適当に取ることにより、いくらでも小さく出来ます。(ε0よりも小さくできる)
|β-α|≧|a(ni)-α|ーε1≧ε0ーε1
ここでε1はいくらでも小さく出来るので
|β-α|≧ε0が成り立つ。

この回答への補足

私の間違いのご指摘とさらに詳しいご説明、どうもありがとうございました。理解できた気がするのですが、一つ教えてください。

> niを適当に取ることにより

というのは、No.5 で書かれているように、

>集積点の定義よりa(ni)の適当な部分列a(nij)をとると

と、ありますので、

部分列a(nij)からとってきた項と解釈してよろしいでしょうか。

補足日時:2006/10/04 05:03
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No.2です。

お返事ありがとうございました。
> niを適当に取ることにより

というのは、No.5 で書かれているように、

>集積点の定義よりa(ni)の適当な部分列a(nij)をとると

と、ありますので、

部分列a(nij)からとってきた項と解釈してよろしいでしょうか。

そうですね。それでいいです。


確かに数学の本は行間を読むことを要求されることが多いですね。著者によると思いますが、著者が当たり前と考えていることはあまり細かいことを書きたがらない人もいます。ページ数の関係もあると思いますが、細かく説明しすぎると全体像が見えにくくなるという人もいます。私の大学の先生はそのように言っていました。細かいことは自分で考えてくれということでしょう。またそうすることで数学の力もアップすると思います。ただしある程度数学書を読みなれた人はともかく初学者にはきびしいかなとは思います。

しかし中には著者が勘違いして自明でないことまでも自明であると書いてしまっている場合もないわけではありません。この場合は困りますね。
私自身も大学で数学を専攻しましたが、(今は卒業してからだいぶたちますが)今も独学で勉強していますが数学を独学で学ぶのは難しいものだと痛感しています。テキストをちゃんと読むのはセミナー形式などがいいのでしょうが一般人はそのような機会は難しいでしょう。根気強くゆっくりと考えながらよみすすめていくしかないかなと思います。
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この回答へのお礼

ご返事を感謝いたします。

>そうですね。それでいいです。

これで安心いたしました。ようやく疑問のすべてが解けた気がいたします。ありがとうございました。

また、数学書の読み方について詳しいアドバイスを書いていただき、ありがとうございました。まとめさせていただきますと、

1 細かく書きすぎると全体像が見えにくくなる
2 紙数の関係もある
3 読者が行間を読むことで力がつく
4 初学者には厳しい面もある
5 著者が自明と勘違いしている場合もある
6 数学書を読むのはセミナー形式が良い
7 そういう機会がない場合は根気強くゆっくりと考えながらよみすすめていく

このようなお話でした。

私もインターネット以前から数学書を独学していますが、疑問が解決できないことがしばしばありました。誰に聞いたらよいのか分からなかったからです。

今はインターネット上でのQ&Aコーナーが確立されていて(この教えて!gooもその最有力の一つですが)以前よりはるかに早くしかも詳しく疑問を解決することができるようになったことはたいへんありがたいことで、いい時代になったことを喜び感謝いたしております。

インターネット上でのセミナー形式勉強会もそのうち実現するかもしれません。いや、すでに存在していてもおかしくありません。ますます、独学者にとっては助かる存在です。SNSがその舞台になるかもしれません。

これからは、著者は自分の著書のホームページを開いて、Q&Aコーナーをのっけるということを考えてもらうとありがたいなあと思うのです。その中で誤植や解答のミスなどをアナウンスしてもらえれば読者はたいへん助かります。

実際、私が質問の時にコメントした本は名著だとは思うのですが、積分計算のところで巻末の解答ミスが多く(旧版です。2003年度の新版は調べていませんが)、初版以来40年近くもそのままということがありました。そろそろそういう時代からお別れできるときが来ているようです。

最後はぼやきですみませんでした。これまで親切にお教えていただき、ありがとうございました。私ももう少し力をつけて、"Pay It Forward"の精神を発揮できたらなあとひそかに思っているところです。

重ねてご教授、ありがとうございました。

お礼日時:2006/10/05 03:54

No.2です。


No.1さんのコメントを読んで思いつきましたが、
βに収束するa(ni)の部分列をとってきてやってもいいですね。a(ni)はβを集積値として持つ。しかしまだ現時点ではa(ni)はβに収束するか分からない。
しかし集積点の定義よりa(ni)の適当な部分列a(nij)をとるとβに収束する。するとNo.1さんに書いているように
|a(nij) - α| ≧ ε0 → その収束先(|β-α|) ≧ ε0
としても良いと思います。

この回答への補足

質問時に引用した証明の中では、|β-α|≧ε0
が成り立つことに対する説明はほとんどありません。

しかし、こうしてお二人からのアドバイス、ご説明を読んでいると、証明のここの部分は説明なしでは初学者にはかわいそうではないかと思います。

説明なしというのは、著者は不要なくらい自明であると考えたのか、実は数行の説明を必要とするところなのだが、紙数の関係で省略しなければならなかったのか(読者自ら説明を試みられたい・・・みたいな)あるいは他にも理由があるかもしれませんが、ともかく、数学の本を読んでいると、自分で「行間を補う」ことを余儀なくされることがしばしばです。

この点についてはいかがでしょうか。読者がそのレベルに達していないというのは別としても。今回のテーマとは直接関係がありませんが、数学の本を読むことについて、いつか一度はお聞きしたいと思っていた疑問ですので、ご意見をお聞かせくださればさいわいです。お時間のあるときで結構ですが。

補足日時:2006/10/04 08:43
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この回答へのお礼

なるほど!!

ご指摘の通り、
>集積点の定義よりa(ni)の適当な部分列a(nij)をとるとβに収束する。

ですから、

|a(ni) - α| ≧ ε0 ではなく、|a(nij) - α| ≧ ε0 を考えることがミソですね。

これでよくわかりました。たいへん時間を取っていただいて、ありがとうございました。深く感謝申します。

お礼日時:2006/10/04 05:21

No.1 です。



間違えていました。
そうですね、a(ni) を、βに収束するように作ったわけではないですね。αをよけるように作っただけで。

確かに、ご指摘の通り、循環論法です。
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この回答へのお礼

コメント、ありがとうございました。私もまんまと間違えてしまいました。循環論法ですね。

お礼日時:2006/10/05 04:01

絶対値を使った評価をすると3角不等式を使うことぐらいしか手がないので使えるよう変形しましょう。


β-α=βーa(ni)+a(ni)-α
一般に|a+b|≧||a|-|b||が成り立つから(三角不等式)
|β-α|≧||a(ni)-α|-|βーa(ni)||
ここで|a(ni)-α|≧ε0であり、 δ=inf_i|βーa(ni)|
とおくと|βーa(ni)|≧δである。
(infを思い出しておきましょう)
従って|β-α|≧|ε0-δ|である。
βはa(ni)の集積値であるから集積値の定義よりδ=0
従って|β-α|≧ε0がなりたつ。

この回答への補足

すばやいご回答に感謝いたします。

上の三角不等式にはうっかりしておりました。

δ=inf_i|βーa(ni)| というのは|βーa(ni)| という集合の下限であると解釈させていただいて、「|βーa(ni)|≧δである。」と、ここまでは分かるのですが、

|a(ni)-α|≧ε0と|βーa(ni)|≧δとから左辺どうしの差≧左辺どうしの差という不等式は出て来ませんので弱ってしまいました。そこで、こう考えてみました。

a(ni)→βですから∀ε>0に対して、ある番号から先のすべてのniに対して、|βーa(ni)|<ε

そこでε=1/2ε0 と置くと、|βーa(ni)|<1/2ε0。両辺にー1をかけて、-|βーa(ni)|>-1/2ε0。これと|a(ni)-α|≧ε0とから|a(ni)-α|-|βーa(ni)|≧1/2ε0 (厳密に言えば≧ではなく、>になりますが)

すなわち、|β-α|≧1/2ε0 が成り立つのでβ≠α

もしお時間があればで結構ですが、私の考えを吟味していただけるとありがたいです。よろしくお願いいたします。

補足日時:2006/10/03 10:11
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おそらく、テキストの少し前に、



a(n) ≧ A(ある定数) → a(n)の収束先≧A

という定理が証明されているのではないかと思います。
故に、| a(ni) - α| ≧ ε0 → その収束先(|β-α|) ≧ ε0
です。
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この回答へのお礼

> a(n) ≧ A(ある定数) → a(n)の収束先≧A

その通りで、定理として載っていました。完全に忘れておりました。眼からウロコという感じです。

どうもありがとうございました。すばやいご回答に感謝いたします。

お礼日時:2006/10/03 09:58

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