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TEM、透過型電子顕微鏡で生物試料の観察をおこなうには通常、試料を包埋した樹脂の薄切切片をグリッドに載せて電子染色し、場合によってはカーボン蒸着などをして、観察しますが、基本的には切片はむき出しです。光学切片のようにカバーグラスの類で覆っていないわけで、とても不安な気になります。うっかり切片の表面にピンセットなんかで触れてしまったり、表側を下にして落としてしまったり、摘むのに手間取ったりするとせっかくの切片に傷が入ったり砕けてしまいそうでいつも戦々恐々としています。
そこでお聞きするのですが、グリッドそのものを何かの保護カバーの類で覆ってしまうというのは不可能なのでしょうか。ようは電子線を透過させればいいのだから重金属を含んでいない樹脂の類ならそういったカバーが作れそうな気がするのですが、TEM関連製品のカタログ等を見てみてもその手の製品が開発されていたりするという話は聞いたことがありません。原理的に不可能なのでしょうか。
また、少し話は変わりますが、TEMで観察するとき、いつもグリッドの格子が邪魔で肝心の観察対象が見れないということがよくあります。グリッドはなぜ金属製なのでしょう。今なら頑丈な合成プラスチックがいろいろありますし、電子線を透過させる性質のグリッドを開発できれば格子で観察範囲が制限されることがなくなると思うのですが不可能なのでしょうか。
私は生物系専門で物理系はよく分かっておらず電子顕微鏡のシステムについても教科書レベルの知識しかないので、的外れなことを言っているかもしれませんが、ぜひこの二つの疑問についてお答えいただけないでしょうか。

A 回答 (1件)

電子は他の物質に非常に強く吸収されてしまうので、厚い試料は観察できません。

(ご存じだと思いますが。)ですから、何かでおおうにしても非常に薄いものでないと電子が通りません。電子が通るくらい薄いものは非常に壊れやすく保護カバーとしての役目をしません。

ということで、試料保護のために他のもので覆ってしまうと観察のじゃまになるだけで何の得もないので、試料を汚さないように慎重に実験してください。

>表側を下にして落としてしまったり、

裏でも表でも、汚れた場所に落とした試料は使うべきではありません。
もしそれで付着した異物が電子線にあたってガスを出すようなものであったばあい、
顕微鏡そのものにダメージを与えないとも限りませんから。

>グリッドはなぜ金属製なのでしょう。

グリッドを絶縁体にするとやってきた電子が逃げる場所がないのでグリッドの上に電子がたまります。電子同士は互いに反発し合うので、グリッド上に電子がたまっているとフィラメントからきた電子に影響を与え像をゆがめます。グリッドが金属なのは、電子を逃がして電荷がたまらないようにしているからです。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。やはり無理なんですね。実際カーボン蒸着でもコントラストが悪くなりますしね。なにか電子線に影響を与えにくい素材とかないのか、と思っていたのですが。残念です。

グリッドが金属なのはそういう意味があったんですね。知りませんでした。勉強になりました。

不器用なものでよくグリッドをだめにしてしまい、のた打ち回っております。うまくなれるように努力します。

お礼日時:2007/01/30 19:52

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