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先日、某英会話学校で「選挙に行かない権利も憲法に保障されているので、それを行使する」と主張する女性に会いました。私には、憲法の参政権について書かれた部分を何度読んでも、選挙に行かないことは単純に参政権の放棄としか読めないのですが、本当に憲法の一般的な解釈として、選挙に行かない権利というものが保証されており、その行使についても何らかの言及が成されているのでしょうか?(その女性によると、権利を放棄する権利についてではなく、国民の権利として選挙に行かない権利というものがあるということらしいのですが)
その女性は芦部信善という人の本を読めば書いてあると言ったのですが、調べてみたら絶版となっているようで、手に入りません。

A 回答 (7件)

芦部信喜先生は憲法上、「国民の権利として選挙に行かない権利というものがある」などとは言っておりません。


さらに、このように考える憲法学者はほぼ皆無であるように思います。
「選挙に行かないことは政治参加の一つの形態であり、決して棄権ではない」ということはわからないでもありませんが、権利として保障されていることとは別問題です。

ただ、選挙に行かないことを憲法上の権利として考えることが不可能であるわけではありません。
他の方がおっしゃっているとおり、日本国憲法は自由選挙を採用しておりますので、その結果として、選挙に行くことを強制されません。
そのため、何らかの形で、国家が国民に選挙にて投票することを強制することは、憲法に違反することになります。(あくまで憲法学界の有力な理解によります。政治的にどうかは別問題です。)
その意味において、国民の選挙に行かない権利は憲法で保障されているということは不可能ではないように思われます。

さらに、芦部信喜先生よりさらに前の憲法学者、宮澤俊義先生のような立場(宮澤先生は亡くなられていますが、憲法学の業界においては依然として強い影響力を持ちます)からすれば、国民の投票に行かない権利を認めることも不可能ではありません。
すなわち、宮澤先生は、表現の自由や財産権というような積極的に法によって保障された権利のほかに、「国法によって制限されていないことから、結果として自由になっている領域」を観念し、この領域に属するものも、国法の不存在による「国民の自由」であると考えています。
このような立場からすれば、国民に投票を強制する国法が存在しないことから、国民には投票に行かない自由が保障されていると言えなくもありません。

ただ、どちらの立場に立ったとしても、国民に投票に行かない自由が保障されていると考える実益はまったくありません。
国民には投票に行くか行かないかを決める権利があると考えれば、それで十分だからです。

ちなみに、選挙権の法的性質に関しては、単なる権利と考える立場(自由に投票に行くか行かないかを決めてかまわないとするもので、通説です)と、権利と公務の性格を併せ持つと考える立場(選挙は純粋な権利ではなく公務としての性格を併せ持つとするもので、辻村みよ子先生、樋口陽一先生などが主張なされています)が存在します。
件の女性はこの議論をミスリーディングしたのかもしれません。
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この回答へのお礼

回答ありがとう御座います。

法解釈としては可能であるが、その様な主張をする集団が存在するわけでもないということがわかり安心しました。
取り敢えず、私のいた高校の先生がやったように、12条(「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。」)を持ち出して、選挙に行かないことと、国民の権利を維持するための努力義務とが本人の中でどう繋がるかを説明させるという手を取ろうと思います。結果的に人格攻撃になることが多いので(件の先生は毎年やっていましたが…)あまり良いとは思わないのですが。

お礼日時:2007/07/26 00:42

何条かわすれましたが、


「公共の福祉に反しない限り自由」
という、自由権の規定があります。
この規定により、「法律に定められた手続きを行わない・権利を行使しない」という自由が保証されているのです。

これを見とめないと、民法の規定で
「両者に同意が合った場合には民法の規定よりも同意を優先する」
という項目が無効になってしまいます。

次に強制法と行政法の問題があります。
強制法は「憲法」「民法」「刑法」「税法」ぐらいで(正確な内容は調べてください)、他は行政法です。
行政法は、国民に対して制限を強制することができないのです(国民主権の原則、専門的知識のない人間は保護の対象となる。ある行為をする側は規制されるが、うける側は規制されないという内容)。制限を課しても意味がありません。
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第15条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。

2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

第31条 何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。



憲法第31条により選挙に行かない(投票しない)自由を奪われる根拠になる法律は無いのです
裏を返せば、国民の権利として選挙に行かない権利もあると言えます


憲法解釈により(まるで9条かいな)その様な自由も主張できるでしょうね


 私もいまだに投票したい人が居ないのが現状なので、そのような主張も一つの参政権の行使だとは思いますが、永久に行使しないのも、日本人として義務を果たしているのか、疑問に思います
 一時期、選挙投票率の低下の為法案で義務化との話が上がったこともありますので投票したい人があれば行使して欲しいとは思います
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大学院卒です。



確かに棄権の自由についてという論点が、手持ちのテキスト(4人組)にありますね。芦部本は、ちょっと研究室に置いたままにしてありますので、調べてないです。

で、結論的には、現在の通説では、選挙に行かない権利、つまり選挙権の不行使=無条件の棄権の自由という論理はとっておりません。
この論法をとるのは、プープル主権論を基礎とする権利一元説と呼ばれる考え方です。
通説は、二元説で、投票行為を強制した場合の不都合から、棄権の自由を事実上やむなく認めるという論法をとっています。

手持ちの本には、一元説の論者が誰かまではわかりませんが、
芦部先生ではないような気がします。
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この回答へのお礼

回答ありがとう御座います。

お礼日時:2007/07/26 00:43

選挙に行かない権利など主張されても何の意味もありません。


世の中に無関心であることや選挙権がないのと同じだからです。

せめて、選挙に行き白紙で投票するなど権利を行使するべきです。
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この回答へのお礼

回答ありがとう御座います。
ただ、向こうは偉い学者の名前を持ちだして、20歳そこそこの若者の前で、選挙に行かないことも立派な政治参加で国民の義務だと主張しているので、どうしたものかなと。

お礼日時:2007/07/25 01:23

芦部信喜の間違いでは??


この方の憲法の本ならたくさん出ていて、大学の指定教科書になっているくらいです。
選挙に行かない権利・・・
すみません、法律に関しては詳しくないのですが(特に憲法は専門外です;)、それは投票を強制されないことを言っているのではないでしょうか?
日本の選挙は任意選挙といって、投票を強制することが憲法理念に反することと考えられています。
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この回答へのお礼

回答ありがとう御座います。芦部信喜の方が正しいようですね。

上でも書きましたが、「選挙に行かないことは政治参加の一つの形態であり、決して棄権ではないということが、芦部信喜などの憲法学者の立場から言われており、それは大学院レベルの憲法知識があれば容易にわかることだ」というのが彼女の主張なのですが、大学の指定教科書になっているということは、学派があるというレベルではなく、ある程度認められた事実だと言うことでしょうか。なんか混乱してきました…

お礼日時:2007/07/25 01:16

日本国憲法で国民に保障される参政権である選挙権については要件が5つ(普通選挙・平等選挙・秘密選挙・直接選挙・自由選挙)あるのですが、このうちの自由選挙により、投票を棄権しても、罰金・公民権停止・氏名の公表などの制裁を受けないことが制度として保障されています。

この回答への補足

回答ありがとう御座います。ただ、その女性は「選挙に行かないことで国民の義務を果たす」みたいなスタンスでしたので、myuzansさんのいうのとは少し違うような気がします。
「選挙に行かないことは政治参加の一つの形態であり、決して棄権ではないということが、芦部信善などの憲法学者の立場から言われており、それは大学院レベルの憲法知識があれば容易にわかることだ」というのが彼女の主張なのですが、そうした説を展開する書籍・学派が存在するのかどうかというのが私の疑問です。

補足日時:2007/07/25 00:46
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この回答へのお礼

回答ありがとう御座います。ただ、その女性は「選挙に行かないことで国民の義務を果たす」みたいなスタンスでしたので、myuzansさんのいうのとは少し違うような気がします。
「選挙に行かないことは政治参加の一つの形態であり、決して棄権ではないということが、芦部信善などの憲法学者の立場から言われており、それは大学院レベルの憲法知識があれば容易にわかることだ」というのが彼女の主張なのですが、そうした説を展開する書籍・学派が存在するのかどうかというのが私の疑問です。

お礼日時:2007/07/25 01:17

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