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No.2
- 回答日時:
ずいぶん前の質問ですが、今このQ&Aをご覧になっている人のためにも回答を投稿しようと思います。
この質問は、何年も前から多くの人が繰り返し質問しておられるものです。それだけ「根の深い」質問なのです。興奮が伝導する仕組みは、高校の生物の教科書では、神経繊維の内外を「活動電流」が流れることで説明されています。しかし、結論を先に言いますと、神経繊維の内側も外側も、どこにも「活動電流」などというものは流れていません。「活動電流」などというもので説明しようとするから理解できない説明になってしまうのです。
神経繊維の中を興奮が伝えられるのは、興奮部に流れ込んだNa+が狭い範囲に集中することによりその周囲に「電位の高い状態」が生み出され、この「電位の高い状態」が波となって周囲に広がっていくからです。空気中を音波が伝わるのと同じ現象です。(Na+がずるずると神経繊維の中を移動していくのではありません。神経繊維の中をイオンが移動することはありません。)
ところで、神経繊維の細胞壁の内側には陰イオンがびっしりと分布しています。高校の生物教科書では、有随神経繊維の場合などではランビエ絞輪の内側の部分だけに陰イオンが存在しているように描かれていますが、そんなことはなく、髄鞘の部分をも含めて神経繊維の細胞壁の内側全体に陰イオンが分布しています。(神経繊維の細胞壁の外側には髄鞘の部分をも含めて陽イオンが分布しています。)
この陰イオンは、上記の「電位の高い状態」が神経繊維の中を伝わるときに、「電位の高い状態」を作っている陽イオンを引き寄せ、「電位の高い状態」が減衰する原因となります。このとき、神経繊維が太いほど、神経繊維の細胞壁の内側と、神経繊維の中心部(軸索の中心部)を伝わる「電位の高い状態」の部分との距離が遠くなり、「電位の高い状態」がこの陰イオンの影響を受けにくくなります。つまり、神経繊維が太いほど、「電位の高い状態」が伝わるときに減衰しにくくなるのです。
隣の興奮部のNa+チャネルが開いてNa+が神経繊維内に流れ込むためには、「閾値」と呼ばれる一定の高さの電位が伝わってくる必要がありますが、「電位の高い状態」が減衰しにくくなれば、それだけ遠くまで「閾値」の電位を維持したまま伝えられるようになります。このことは、隣の興奮部でなく、より遠くの興奮部にすばやく「電位の高い状態」が伝えられることを意味します。すなわち、興奮の伝導速度が大きくなります。
実は、上記の説明にはまだまだ「説明不足」の部分があります。紙幅の都合でこの程度の説明しかできません。
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