プロが教えるわが家の防犯対策術!

宜しくお願いします。
ライゲーションを目的として、2本鎖DNAを平滑化する場合、成書にはクレノーを用いた例が殆どですが、なぜT4DNA polymeraseが第一選択ではないのでしょうか?
以前から疑問だったのですが、この度質問するにあたり、複数の業者に問い合わせてみたところ、クレノーはfill inと同時に1塩基される為不向きなので、T4DNA polymeraseを用いて下さいとの回答でした。
それならば何故、教科書にはクレノーの例ばかりなのでしょうか。勿論クレノーを用いても平滑化が可能な事は、理解出来ますが、第一選択としては、T4DNA polymeraseの強力なエキソヌクレアーゼを考慮したとしても、こちらの方が良いと思われるのですが。
上記の様な理由を、どなたかご存知でしたら教えていただければありがたく思います。

A 回答 (3件)

まあ用途(polish活性も必要かなど)と用法が間違っていなければどちらを使ってもちゃんと出来るんですけれど。

Klenowがfirst choiceになっている成書が多いのはどうしてかという質問に答えるなら、前期のような回答になります。

>↑これですが、失活させるには激しいボルテックスを行う、と説明書にありますが、

説明書にあるならそれでもいいのでしょうけれど、あまり一般的とは言えませんね。フェノールをぶち込んで反応を止めろというのは確かTakaraのkitがそうなっていたと思います。加熱(70℃前後)で止めるというのも割と一般的なようですが、先に書いたようにフェノールが安全だと思います。

>↑温度を下げた場合、T4およびクレノーの反応時間は何分位でしょうか。またdNTPは、標準でもかなり濃いですが、更に2倍3倍入れるという事ですか。入れすぎて問題は無いのでしょうが、どれくらい入れたら良いのでしょうか。

Molecular Cloningによると、T4は100 uM dNTP, 12℃, 15 min、Klenowは50 uM dNTP, r.t., 15 minです。

通常の実験スケールだと酵素過剰になって失敗することが多いので注意です。5 ug以下のDNA量なら通常1 unitもあれば十分です(キットを使うと少量のDNAには酵素が多すぎる場合がある)。DNA量に対して酵素量が多い場合は反応時間はもっと短くていいかもしれません。
Taq polなどと違って、dNTPの濃度は高すぎても問題ないと思います。
ただ、上記の濃度は上記の反応条件の場合ならということで、たとえば反応時間を延ばしたりすると、dNTPがどんどんdNMPに分解されて濃度が下がってきて、削れこみ反応がおこりやすくなる可能性はあります。

>1個人の、1研究室の意見より、メーカーの答えは遥かに信用出来ると思われるんですけどねえ。。

>>これは、いろいろな成書の記載や、経験上からも非常に疑問がある見解だと思います。

と書いたように、決して一個人の意見というのではなく、数々の成書や参考文献から学び、実際にやってみてきたことです。

メーカーの情報も役立ちますが、ちゃんと根拠になる文献がトレースできる実験書(たとえばMolecular Cloning)をそばに置いておくことをおすすめします。

先にも書いたように、Klenowに一塩基付加の活性があるという文献はあります。しかし、だからbluntingにはKenowよりT4 polのほうが優れているということを実際比べてみているわけでもないし、結論わけでもないです。なのにメーカーがそういうことを言っているというのがうさんくさいと思うわけで。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

おはようございます、度々の丁寧な回答ありがとうございました。
当初の質問とその後の質問に対して、当方が知りたかった点について、完全な回答を得られたと思います。ありがとうございました。
また一部失礼な文章がありましたが、それにも関わらず真摯なお返事を頂けた事、大変感謝しております。ただ、決して非難・反論する意図では無かった事を再度記載させて頂きます。
それでは改めて、ありがとうございました。またお礼が遅れました事、申し訳ありませんでした。また何かありましたら、宜しくお願い致します。

お礼日時:2007/10/04 08:28

>すみません、言葉が切れていました。

「1塩基付加される為」です。

これは、いろいろな成書の記載や、経験上からも非常に疑問がある見解だと思います。

たしかに、T社が挙げている参考論文にはKlenowに一塩基付加の活性があることを示していますが、一般的にpolymeraseが一塩基付加をするは普通ですし(proof reading活性がある場合はその頻度が下がるだけ)、Klenowで一塩基付加されるDNA分子はのフラクションは全体としては少数派ですしね。参考論文でも、それがBlunt end ligationに著しく影響を与えるとも、T4 polの削れ込みによる悪影響よりましということも言っていないようですし。P本社でもKlenowよりT4を使うほうがよいということは言っていないみたいですし。
http://www.promega.com/guides/subcloning_guide/_ …

T社のT4 polを使った高価なblunting kitを売っていますから、もっともそうなことを言っているのではないかとかんぐりたくなります(このkit、失敗することが多く私の身の回りでは評判が良くないです)。

Klenowは反応バッファーを選ばず、DNAの純度が低くても活性が落ちませんので、制限酵素消化してそのままbluntingに移しても十分ですし、反応後は熱変性で不活性化できます。使いやすく失敗がすくないです。
T4は反応条件の影響を強く受けますし、失活させるのも熱失活は削れ込みを増進する可能性があり、安全のためには常温でフェノール抽出する必要があるなど面倒があります。

ということで、fill-inでbluntingできるときは失敗の起こりにくいKlenow使用を薦める成書が多いのはうなづけます。

この回答への補足

すみません、幾つか教えてください。

・T4は反応条件の影響を強く受けますし、失活させるのも熱失活は削れ込みを増進する可能性があり、安全のためには常温でフェノール抽出する必要があるなど面倒があります。
↑これですが、失活させるには激しいボルテックスを行う、と説明書にありますが、それでは駄目なんでしょうか。
またライゲーションを目的とする場合カラム精製を行いますが、T4を完全に除去出来ないのでしょうか。

・T4 polを過剰に入れない、反応温度を下げる(12℃位まで下げてやると、exonuclease活性よりpolymerase活性のほうが優位になります)、dNTPを濃いめに入れる、反応後の不活性化を速やかにかつ十分におこなうことが必要です(Molecular Cloning参照)。市販のキットによっては反応温度を37℃にしているものもありますが、そのとおりにやると失敗することが多いです。
↑温度を下げた場合、T4およびクレノーの反応時間は何分位でしょうか。またdNTPは、標準でもかなり濃いですが、更に2倍3倍入れるという事ですか。入れすぎて問題は無いのでしょうが、どれくらい入れたら良いのでしょうか。

以上よろしくお願いします。

補足日時:2007/10/03 08:46
    • good
    • 0
この回答へのお礼

おはようございます。経験的に、Klenowが良いという事でしょうか。
別に僕は業者の回し者でも何でも無いですが、プロメガ、タカラ、ニッポンジーンに問い合わせた所、全て同様の回答を得ました。即ち、T4を薦める。理由は1塩基付加による非効率、等々です。
商品化に当たっては膨大な実験が再三行われていると思われるので、1個人の、1研究室の意見より、メーカーの答えは遥かに信用出来ると思われるんですけどねえ。。
誤解して欲しくないのですが、批判しているのでは無いです。何が言いたいかと言うと、僕は生化学の実験を始めて今だ日が浅いのですが、今回に限らずなにがしかを選ぶ時、では何を信じたら良いのか?失敗した場合、原因をどのように解釈したら良いのか?どうしたら良いんでしょうかね。
それは経験を積む事かも知れないですが、そんな、いちいち体で覚えていたら身が持ちません。時間も足らないです。ちょっと愚痴っぽくなってしまいました。

お礼日時:2007/10/03 08:35

3'突出末端を削って平滑化する場合(polish-up)は、3'->5'exonuclease活性の強いT4 polを使います。

Klenowはpolymerase活性に比べるとexonuclease活性は非常に弱いので不向きです(大量のklenowを使えば実用上全く不可能というわけではない)。

3'陥没末端を伸長して平滑化する場合(Fill-in)のときは、T4 pol,Klenowどちらも使えます。

しかし、T4 polはexonuclease活性が強いので、条件によっては伸長反応より削り込み反応のほうが優位になります。結果として、3'末端を削り込み陥没末端にしてしまうため、平滑化に失敗します。(もうひとつ付け加えると、T4は平滑化された末端からはexoで削ろうとします。末端を削っては埋めるという反応が絶えず繰り返され平衡しているというのがT4 polの平滑化です。平滑化された状態で反応が終了するKlenowより結果が不安定ということは言えます)。

これを防ぐには、T4 polを過剰に入れない、反応温度を下げる(12℃位まで下げてやると、exonuclease活性よりpolymerase活性のほうが優位になります)、dNTPを濃いめに入れる、反応後の不活性化を速やかにかつ十分におこなうことが必要です(Molecular Cloning参照)。市販のキットによっては反応温度を37℃にしているものもありますが、そのとおりにやると失敗することが多いです。

私は、Fill-inのときはKlenow(これも37度ではなく室温で反応させるのが安全)、Polish-upのときはT4 polというように使い分けています。

>クレノーはfill inと同時に1塩基される為不向きなので、T4DNA polymeraseを用いて下さいとの回答でした。

これは?????
    • good
    • 0
この回答へのお礼

早速のお返事ありがとうございます。

>クレノーはfill inと同時に1塩基される為不向きなので、T4DNA polymeraseを用いて下さいとの回答でした。

これは?????

すみません、言葉が切れていました。「1塩基付加される為」です。
以下はメーカーの記載です。
http://www.promega.co.jp/Cre_Html.php?pGMPID=020 …
http://bio.takara.co.jp/catalog/qa.asp?ID=13&c_i …

お礼日時:2007/10/02 19:26

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!