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半導体レーザーを幅広く網羅する良書の購入を考えています。

ダブルへテロ構造といった半導体レーザー基礎から、
量子ドットレーザーといった研究レベルまで
紹介するような本を探しています。


レーザーに携わるお仕事をされている方、レーザーに詳しい方など、
オススメの良書がありましたら、教えて頂けないでしょうか。
何かご存知の方、どうぞ宜しくお願いします。

A 回答 (2件)

[1], [2] は半導体レーザ屋のバイブルです。

今日の半導体レーザの礎を築いたベル研の研究者の著作です。Part A は理論(272ページ)、B はデバイス特性(330ページ)の2分冊になっています。古いので、量子細線/ドットやDVD/HD-DVD用のレーザも出ていませんが、基本的な動作理論が分かりやすく書かれています。Part A の内容をちょっと紹介します。
 1 Introduction
 2 Optical Fields and Wave Propagation
 3 Stimulated Emission in Semiconductors
 4 Heterojunctions
gandhi- さんが不得意とおっしゃる2章ですが、ダブルヘテロ構造の基本構造(クラッド層/活性層/クラッド層)の導波モードを2次元の波動方程式で変数分離法で解くという基本ちゃんと押さえておけば大丈夫です。この他に、5層構造(SCH構造)や横方向の光閉じ込め(屈折率導波)などが書かれています。ここはレーザ光の空間的なビームの質を決める部分です。3章はほとんど量子力学です。アインシュタインの関係、遷移確率、擬フェルミ準位、フェルミの黄金律、行列要素、状態密度などなど(私もあまり理解できていません)。レート方程式や電流-光利得特性など半導体レーザ特有の特性に関わる重要な理論もここで説明されています。4章はヘテロ接合のバンド構造やキャリア輸送に関するもので、HEMT屋さんならここはお手のものでしょう。ただ、半導体レーザの場合、電流密度が高く、キャリアのオーバフローを考えなければならないので重要な部分です。Part B は混晶の物性やエピタキシャル成長、作製プロセス、動作特性、劣化に関するもので、実際にこの部分の経験がないと読んでも身につかないと思います(私はこちらのほうの人種です)。

日本語だと [3] が良いと思います。私は初版本で勉強しましたが誤植が結構多かったです(今は直っているのでしょうか)。内容的に[1], [2] を超えるものではありませんが、[1], [2] と平行して読むと理解が深まると思います。比較的新しい本なので、応用に関する特性(戻り光雑音、変調、高出力化、光通信、光記録)が豊富です。[4] はさらに新しく、量子細線、量子ドットレーザ、面発光レーザ(編著者はその発明者)、可視レーザ(赤/緑/青)、分布帰還(DFB)・分布反射(DBR)レーザ、光集積回路など)が出ています。応用の記述が増えると相対的に理論が簡単化されるので、理論をしっかりやるにはやはり [1] です。

もう1つ紹介します。[4] は理論ですが、Appendixが充実していて、なんと200ページが17個のAppendixに割かれています。これは式の導出をちゃんと理解するのに役に立ちます。Appendixの内容は以下の通りです。
 1 Review of Elemntary Solid-State Physics
 2 Relationship between Fermi Energy and Carrier Density and Leackage
 3 Introduction to Opticak Waveguiding in Simple Heterostructures
 4 Density of Optical Modes, Blackbody Radiation, and Spontaneous Emission Factor
 5 Modal Gain, Modal Loss, and Confinement Factors
 6 Einstein's Approach to Gain and Spontaneous Emission
 7 Periodic Structures and the Transmission Matriz
 8 Electronic States in Semiconductors
 9 Fermi's Golden Rule
 10 Transition Matrix Element
 11 Strained Bandgap
 12 Threshold Energy for Auger Process
 13 Langevin Noise
 14 Derivation Details for Perturbation Fomulas
 15 The Electro-Optic Effects
 16 Solution if Finite Difference Problems
 17 Optimizing Lase Cavity Designs

[6] は高度な理論です(私はほとんど分かりません。なぜこの本を買ったのかも)。なお、光導波路をしっかり勉強したいのなら[9]をお薦めします。半導体レーザの導波路の解析も出ています。導波路屋さんの本ですが、数値計算法が詳しいので実際に計算するのに役に立ちます。

[1] H.C.Casey,Jr and M.B.Panish, Heterostructure Lasers: Part A Fundamental Principles, Academic Press, 1978.
[2] H.C.Casey,Jr and M.B.Panish, Heterostructure Lasers: Part B Materials and Operating Characteristics, Academic Press, 1978.
[3] 伊藤良一、中村道治「半導体レーザ」培風館(1989)326ページ
[4] 伊賀健一編著「半導体レーザ」オーム社(1994)396ページ
[5] L.A.Coldren and S.W.Corzine, Diode Lasers and Photonic Integrated Circuits, John Wiley & Sons, Inc.(1995) 594ページ
[6] W.W.Chow, S.W.Koch,and M.Sargent III, Semiconductor-Laser Physics, Springer^Verlag(1994)497ページ
[7] 岡本勝就 「フォトニクスシリーズ13 光導波路の基礎 」コロナ社(1992)361ページ
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この回答へのお礼

非常に参考になる回答を有難うございます。
早速挙げて頂いた本を幾つか図書館から借りてきました。
光学関係は知らないことばかりなので、どの本も参考になりそうです。
新しいことを学ぶときの最初の壁は高いですが、
頑張って光デバイス屋になりたいと思います。
丁寧な回答ためになりました。有難うございます。

お礼日時:2007/10/16 14:39

元・半導体レーザ開発者です。


学びたいのは理論でしょうか、それとも作製技術でしょうか。
半導体レーザは理論がものすごく難しいです。量子力学や光導波路や半導体物理はあるマスターされていますか?英語の論文が辞書なしでだいたい読めるのであれば英語の書籍を紹介します。

どれが良書か判断しかねますが、手元に10冊程度ありますので、gandhi-さんの力量に合った書籍を紹介できるかもしれません。

この回答への補足

すみません、書き忘れました。
学びたいのは、理論です。
もし作製技術が簡単に概説されているような本があれば、
それも教えていただけると幸いです。

補足日時:2007/10/16 07:19
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この回答へのお礼

回答有難うございます。なかなか回答が無かったので嬉しいです。

そうですね、当方の基礎知識についてですが、
まず量子力学の基礎的なことは学んでいます。
(量子論が専門ではないので、系を簡単化した
シュレーディンガー方程式の解、トンネル確率計算などに限り、
立ち入った議論はちょっと難しく感じます)

半導体物理については、大学院レベルまで
マスターしているので、問題ないかと思います。

光導波路関係については、恐らく素人同然です。
ファブリペロー共振器といった用語などは
聞いたことがある、といった程度です。

こうやって書いてみると光関係は全く素人かと思います。
実際のところ、現在の私の専門は電子デバイス(主としてHEMT)でして、
光関係にこれから挑戦しようといった感じです。
半導体デバイスで説明されるレーザーの基礎原理は、
量子力学や光導波路の厳密な議論を無視して、
簡単に説明されているだけですからね。

英語に関しては、良書であれば洋書でも構いません。
当方初心者なので、やはり入門は和書のほうが嬉しいですが、
おススメが洋書であれば、そちらも参考にしたいと思います。

お礼日時:2007/10/15 23:43

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