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知り合いのことで相談します。

事情があって入籍はしていませんが、夫婦同然の生活を20年以上しています。男性が先に死亡した場合はいっしょに暮らしている女性には相続の権利はあるのでしょうか?

以前、なにかで読んだもので、入籍していなくても夫婦同然の生活を長期間継続していると相続権が発生するというものがありました。これは真実なのでしょうか?
ほかで聞いた話では、あくまで入籍していないと何年も内縁関係があっても相続権はありえないというものもありました。

どちらが正しいのでしょうか?
詳しい方いましたらご教授願います。

A 回答 (5件)

判例実務上、内縁の場合には相続権はありません。

例外を認めた判例も聞いたことがありません。元々、内縁に相続を認めないのは、財産関係の移転が第三者に対しても影響を与えることから、外形から形式的画一的に判断できる処理をする方がいいということが理由であるのに、安易に「例外」という画一的でない処理をするのは第三者を危険に晒し、法理論的にも矛盾をはらむものですから、絶対とはいいませんがまずほとんど確実に例外はありません。推測ですが、どうしても内縁配偶者に財産を与える必要があれば裁判所は「相続以外の法律構成」を使うでしょう。例えば「内縁夫婦の共有物の使用」に関しての判例(最判平成10年2月26日)のように。

最判平成12年3月10日は死亡による内縁関係の解消に対して財産分与に関する民法768条の類推適用を否定したものですが、この問題はその前提として死亡による内縁関係の解消の場合には相続が発生しないから起きた問題です。相続が発生するなら財産分与など考える必要は全くありません。

対策としては、既に回答のあるとおり、遺言により遺贈する(これは相続と非常に似ていますがあくまでも遺贈であり相続ではありません。遺言により相続ができるというのは法律的には間違いです)あるいは死因贈与契約を結んでおくのが一番適当です。
もし「どうしても相続したい」というのなら「婚姻届を出すこと」が確実と言いますかほぼ確実に「唯一」の方法です。それ以外に「相続する」方法はありません。

なお、特別縁故者に対する財産分与は相続ではありません。特別縁故者に対する財産分与は958条の3を見れば明らかな通り、相続人が不存在の場合の話ですが、これを相続人が存在する場合にも類推適用するという話は聞いたことがありません。仮に類推適用する場合があることを認めるとしても単なる内縁関係の存在だけで一般的に認めるのならば、上記判例は意味がほとんどありません。768条を類推適用しないでも958条の3の類推適用で分与ができることになるからです。とすれば、絶対にないとは言いませんが、仮にあるとしても内縁一般に通用する話ではないでしょう。ならばやはり、「遺贈か死因贈与」を利用する方が確実であり賢明であると言っておきます。


以下はおまけです。
立法論あるいは解釈論として「相続あるいは財産分与を認めるべきだ」という主張は確かにあります。しかし、少なくとも実務が最判を基準に動いている以上、最判に反する解釈論は「実用的には全く通用しない」のですから、理論的な議論としてはともかく実用的な議論としては最判に従うしかありません。時には判例変更になる場合もありますから最後の手段として訴訟で争うということも選択肢の一つとはなり得ますが、そんな冒険をするよりは初めから予想できる問題には対策を講じて未然に防ぐ方が利口というものです。
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。
お詳しいのでご専門なのでしょうか。

立法論あるいは解釈論として「相続あるいは財産分与を認めるべきだ」という主張はある…とのことですので、やはりそういう考えを支持する人はいるんですね。

たいへん参考になりました。

お礼日時:2007/10/30 18:11

>入籍していなくても夫婦同然の生活を長期間継続していると相続権が発生するというものがありました。

これは真実なのでしょうか?

 間違いです。配偶者は常に被相続人の相続人になりますが、この配偶者とは法律上の配偶者(つまり婚姻関係にある配偶者)を指し、内縁の配偶者は含まれません。
 もしかしたら、特別縁故者に対する相続財産の分与のことをいっているのかもしれませんが、これは特別縁故者に相続権を与えたものではありません。
 被相続人の相続人が全くいない場合で、かつ、家庭裁判所が審判により相当と認められた場合に相続財産の「全部又は一部」を特別縁故者に分与するのであって、内縁関係にあるからといって当然には特別縁故者として分与されるわけではありません。
 なお、内縁夫婦の一方の「死亡」により内縁関係が解消した場合、法律上の夫婦の離婚に伴う財産分与に関する民法第768条の規定を類推適用することはできないというのが最高裁判所の判例です。(最高裁判所決定平成12年3月10日民事判例集54巻3号1040頁)
 ですから、その内縁の配偶者に対して財産を遺贈する旨の遺言をすることが必要です。なお、遺言は一定の要件を満たさないと無効になりますので、公証人という法律の専門家が関与する公正証書遺言による遺言をお勧めします。
 余談になりますが、ある人が亡くなったからといって、全て民法の相続に関する規定で法的な処理がされるわけではありません。たとえば、遺族年金は内縁の妻だとしても受け取ることができます。遺族年金は、亡くなった人の収入によって生計を維持されていた人の生活を保障するというのがその制度の趣旨なので、実体として同一の生計にある夫婦であったかどうかが重要であり、単に法律上の夫婦であったかどうかという形式だけで判断するのは妥当ではないからです。
 別の例を挙げれば、保険者兼被保険者が内縁の夫、受取人として内縁の妻が指定されている生命保険契約の場合、被保険者である内縁の夫が死亡すると内縁の妻が保険金を受け取ることができます。この場合の生命保険金は相続財産ではく、保険契約によって生じる受取人固有の財産だからです。もっとも、相続税法上は、相続財産とみなされますが、相続税法を適用するため相続財産としているのであって、民法上は相続財産ではありません。(もし、本来的な相続財産であるならば、わざわざ相続財産と「みなす」必要はないのです。)
  
参考条文

民法
第八百九十条  被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。

(権利を主張する者がない場合)
第九百五十八条の二  前条の期間内に相続人としての権利を主張する者がないときは、相続人並びに相続財産の管理人に知れなかった相続債権者及び受遺者は、その権利を行使することができない。

(特別縁故者に対する相続財産の分与)
第九百五十八条の三  前条の場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることができる。
2  前項の請求は、第九百五十八条の期間の満了後三箇月以内にしなければならない。 
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。
お詳しいのでご専門なのでしょうか。

本件の場合、内縁の妻には相続はいかないようにしたいと周囲は考えています。再婚同士であるため、入籍することによる影響が非常に大きいからです。そこで、質問した内容のことが気になりました。

特別縁故者というケースもあるんですね。たいへん参考になりました。

お礼日時:2007/10/30 18:08

内縁の夫婦であっても、法律上の夫婦と同様の社会的実態があり、単に婚姻の届出をしていないだけなので、できる限り法律上の配偶者と同様の法的地位を与えるべきことはいうまでもありません。


 
法律上認められた権利としては、亡くなった人に相続人が存在しない場合、家庭裁判所が生計を同じくしていた者に、相続財産を与えることができるという、いわゆる特別縁故者への分与です。

とのことです。

参考URL:http://www.matsui-sr.com/igon/qa-27.htm
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。

URLのほう拝見しました。参考になりました。

お礼日時:2007/10/30 18:04

冷たいようですが、内縁関係の方には相続の権利はありません。


但し、例外もあるのですが、かなり難しい様です。
尚。遺言で相続出来るので、その点を考えてみてください。
いずれにしろ確実に相続を考えるなら弁護士の方に相談することが良いと思います。
参考になりそうな頁を示しておきます。
https://www.slownet.ne.jp/sns/area/zai/reading/s …
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。
参考になりました。

お礼日時:2007/10/30 09:16

内縁の配偶者は相続ができます。

(特別縁故者といいます)

内縁関係の配偶者に戸籍上(法律上)の相続人がいる場合でも、
裁判所は、「死亡による内縁共同体の解消に基づく財産分与は可能である」と、相続人に対して財産分与の請求をすることを認めています。
 
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この回答へのお礼

ご回答ありがとうございます。
参考になりました。

お礼日時:2007/10/30 09:16

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