「公知の事実」ということで、出願した特許が成立しないという場合が有るかと存じますが、あるAという商品を特許申請を行なった後、その特許の成立まで(約18ヶ月以内)に、その特許申請を行なった商品「A」を発売した場合、それが「公知の事実」として出願した特許そのものが成立しえなくなるというケースがあると聞いております。これは、本当でしょうか?(過去事例としてあるのでしょうか?)
よく「特許申請中」とか「特許出願中」と記載された商品をお見かけいたしますが、あちらは、どういった様で発売しているのでしょうか。
素人の質問で恐縮でございますが、ご回答をお願いできれば幸いです。
A 回答 (3件)
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No.3
- 回答日時:
Ano.2の訂正です。
「自分が販売する場合だけではなく、特許発明の商品を期せずして他の人が同じ物を販売した場合・・・」
と書きましたが、厳密には、「特許発明」と言う用語は特許登録されている発明ですので、"特許出願した発明と同じ商品"と訂正いたします。
ちなみに、特許は、特許出願、審査請求をし、特許庁から特許査定を受けて、さらに年金を納めて、特許登録されないと、特許発明とはなりません。
No.2
- 回答日時:
色々混同されているようにお見受けしましたので、確認も兼ねて書かせていただきます。
まず、18ヶ月とは、特許の成立までの期間ではなく、特許出願から出願公開までの期間(1年6ヶ月)かと思われます。
また、商品「A」の販売ではなく、タッチの差で他の人も同じ特許出願をしていた場合ではないでしょうか?
商品を販売したからといって、特許出願後であれば、公知の事実とされる事はありません。
自分が販売する場合だけではなく、特許発明の商品を期せずして他の人が同じ物を販売した場合でも大丈夫ですので、安心してください。
ただ、特許出願の前に商品を販売したり、広告を出したりすると、たとえ相手が1人だったとしても、「特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明」(29条1項1号)または、「特許出願前に日本国内又は外国において公然実施をされた発明」 (29条1項2号)に該当すると判断されて、拒絶の査定(49条)をされます。
蛇足ですが、"実施"には、譲渡(販売)や、譲渡等の申出(広告)が含まれます。(2条3項)
また、秘密保持契約をして譲渡(販売)したなら、"公然知られた発明"にも"公然実施をされた発明"にもなりません。(判例による)
ただ、同じ特許出願を他の人が自分より先に出願した場合はチョット複雑です。
特許出願は出願から1年6ヶ月経たないと出願公開(64条1項)されないので、たとえば、自分の特許出願が2日遅れだったとすると、まだ他の人の特許出願は公開されていません。
だから、他の人の特許出願は公知ではありませんね。
従って、「特許出願前に日本国内又は外国において公然知られた発明」(29条1項1号)には該当しないので、この規定では拒絶されないのです。
このパターンへの対応の為に、"いわゆる拡大された先願の地位"と呼ばれる規定(29条の2)が別にあって、先に出願された他の人の特許出願が特許庁からの出願公開公報に掲載されるのを待って、後願の自分の特許の方は拒絶されます。
29条の2はとても複雑で、"出願公開公報に掲載されたら"という要件があるのは、特許出願したけど取下げたな~んて場合には、出願公開公報に掲載されず、日の目を見ること無く消えて行く特許出願があるからです。
以上、推定して回答しましたが、当たっているでしょうか?
それから、「特許申請中」とか「特許出願中」と言う表記は、何ら法的根拠はありません。
箔をつけたいか、審査請求しても審査結果が出るまでに通常2年以上待たされるので、痺れを切らして表示しているのでしょう。
嘘じゃないから違法じゃないってとこでしょうね。(笑)
特許されているなら、"特許表示に努めなければならない"という規定(187条)はあります。
特許発明だと知らずに、他の人が真似して侵害行為にならないようにとの配慮です。
当然ですが、特許発明ではないのに、特許の表示や、紛らわしい表示をするのは禁止(188条)されており、3年以下の懲役又は、300万円以下の罰金(198条)の刑事罰があります。
No.1
- 回答日時:
harapanさん。
そういうことはありません。
先ず、貴方のいう「公知の事実」とは新規性(特29条1項)を意味します。特許出願の新規性は、特許出願の時を基準に判断されますので、特許出願の後にその特許出願に係る商品Aを販売したとしても、その販売した「時」は、特許出願の「時」よりも「後」なので、新規性が失われることはないのです。
なお、特許の成立まで(約18ヶ月以内)と書かれていますが、それはおそらく「出願公開(特64条)」のことを指しておられることと思います。出願公開制度は、全ての特許出願に適用される一律の公開制度であり、単に出願が公開されている状態であって、特許が成立しているわけではありません。
特許の成立には、特許出願から3年以内に出願審査請求(特48条の3)を行い、その後、特許庁の審査官による実体審査を経たのち、特許査定を得ることによって初めて成立します。現在、審査の待ち期間は、分野にもよりますが、おおよそ2年半程度となっております。
「特許申請中」または「特許出願中」という表記は、その商品Aについて既に特許出願を行っているが、いまだ審査に継続中であって、特許権成立には至っていないことを意味します。これらの商品は、harapanさんがおっしゃるように、特許出願後に販売されています。なお、これらの表記には何ら法的効力はなく、各企業の判断で独自につけています。やはり、これらの表記があるとブランド力が増しますからね。
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