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犬から人へ感染する病気(人獣共通感染症か人畜共通感染症だったと思います。)の中で特に危ない、不治の病や死に至ってしまう病気はいくつくらいあり、それらは何という病気、症状、感染経路ですか?

また、それらの病気は手洗い等で予防できますか?
その手洗いはせっけんを使った方が良いのでしょうか?
いろいろ質問しましたが、気になることだらけなので宜しくお願いします。

A 回答 (2件)

 獣医師です。


 犬とヒトの人獣共通感染症をいくつか挙げておきます。

・狂犬病
 狂犬病ウイルスは犬だけではなく全ての哺乳類に感染するので、ヒトへの感染源は犬だけというわけではないのですが、ヒトと最も濃密に接触する動物が犬なので、疫学的には犬が最重要動物となっています。
 感染動物は唾液に大量のウイルスを排泄しているので、噛まれた場合に傷口から感染します。
 発症すれば致死率は100%ですが、潜伏期間が長いため感染後にワクチンによって発症を予防することができます。

 日本では1956年以降発生がありませんが、諸外国では毎年50,000人以上が本病によって死亡している重要な疾病です。
 日本では野犬の捕獲、飼い犬へのワクチネーション、輸入検疫によって侵入防止が図られていますが、検疫は完全ではありませんし最近は飼い犬のワクチン接種率が極端に低下しているので、けっこう危険な状態と言われています。

 狂犬病に関しては町の動物病院では検査できません。診断は基本的に脳の病理組織所見によるので、犬が生きている間はできませんし、唾液からウイルスを分離またはウイルス遺伝子を検出することも可能ですが、唾液を採取するのもそれを検査するのも"命がけ"の仕事になります。バイオセーフティレベルも3ですから、狂犬病のウイルス検査ができる機関は都道府県にほとんどないでしょうし、あっても普通の依頼検査は受けてくれません。
 基本的には犬の検査はせず、犬に咬まれたらワクチン咬まれた人の方にワクチンを接種する、という防御方法しかないでしょう。

・ブルセラ病
 持続的あるいは間欠的な発熱、倦怠感、衰弱などの臨床症状が見られる疾患です。致死率はたいしたことはなかったと記憶していますが。不顕性感染も多く、抗体検査で初めて感染が判ることも多い疾患です。
 動物の排泄物や分泌物に病原菌が含まれるため、牛のブルセラ病は公衆衛生上重要な疾病ですが、日本ではほぼ清浄化された状態です(数年に1頭くらいの割合で出たりしますが)。
 ただ、犬のブルセラはまだけっこう出ています。昨年の大阪で犬のブリーダーが飼育していた約260匹の犬の内118匹が感染していたという事件は記憶に新しいところです。
 家畜伝染病予防法という法律では、牛や山羊などの家畜に関しては抗体検査で陽性となったものを殺処分すると決められていますが、もちろん犬に対してはこの法律の効力がありません。犬に対する投薬を続けながら飼うということになるでしょう。
 検査は抗体検査が最も容易だと思います。犬の抗体検査をどこで実施しているのかは私は知りませんが、動物病院に頼めば外注になるかも知れませんがやってくれるとは思います。
 これも菌分離等の病原学的検査は、バイオセーフティ3以上の施設が必要なため、各都道府県の衛生研究所などでしかできないでしょうし、依頼検査は受けてくれないと思います。

 他にはレプトスピラ、エルシニア・エンテロコリティカ感染症、犬回虫、パスツレラなどいろいろあります。ありすぎて書ききれません。
 なんせ日本で発生が見られる人獣共通感染症だけで100種くらいはあるといわれていますから。
 むろん、そのほとんどが軽微であまり問題にならない程度の疾患なのですが、その中で比較的重度になりやすいものが、ここで挙げたいくつかの疾患でしょうか。他にもまだまだありそうですが。

 犬の検査については、100種もありますから動物病院に行って「何と何の検査をしてくれ」と言わないともちろん難しいでしょう。ヒトだって「何か感染症にかかってないか検査してくれ」なんて医者に行っても相手にされないでしょうし。
 また、当然のことですが「人獣共通感染症」でヒトに重篤な疾患を招くものは、検査をすることが従事者に多大な危険を招くので、それなりの施設でなければ検査できません。それはヒトの方も事情は同じです。
 ですからこれらの疾病については、きちんとした高精度な検査は日常的にはできないものも多々あります。抗体検査でスクリーニングするくらいのことしかできないでしょう。

 予防については、手洗いなどの日常的な注意で予防できるものも数多くあります。できないものも多いですが・・・
 他には犬に口移しでものを食べさせたり同じ布団で寝るような濃密な接触は避けた方が良いことは確かです。そのあたりはそれぞれの価値観ですので、私はあまり気にしませんが。

 最後に人獣共通感染症について勉強できるサイトを紹介しておきます。

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/douso/kan …
 東京都保健局のページで、情報量は極端に少ないですがとりあえずどんな病気があるのかくらいは概ね掴めます。

http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsvs/05_byouki/ProfYamau …
 東大名誉教授の山内先生の講演集で、BSEなど一部の疾病に話が偏っている感はありますが、それぞれはとても詳しいですし読み物としても面白いです。ただ、テキスト量は膨大です。
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この回答へのお礼

とても勉強になりました。ありがとうございました。

お礼日時:2008/04/14 21:11

いろんな疾患がありますが、家の中で飼育されているのなら、動物病院で相談され犬の検査をなさった方がいいかといいかと思います。

ここで日本で数例しか報告がない病気の話を聞いていろいろ対策をたて心配するより、確実で安心です。
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この回答へのお礼

ありがとうございました。参考にさせて頂きます。

お礼日時:2008/04/14 21:12

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