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例えば、AB間で不動産の売買が行われ、BがCにそれを転売したケースにおいて、実はAB間で詐欺が行われた場合を想定してみる。この場合、Aは詐欺による売買契約の取り消しを求めるのが普通であるが、その主張が認められ、AB間の売買契約が取り消され、遡及的に無効となる。とすると、B→Cへの転売時には、Bには実際は所有権がなかったこととなり、560条以下で規定する他人物売買にあたるはずである。そこで、詐欺による取り消しがなされるまでは債権的にも物権的にも有効であったBC間の売買契約が、債権的にのみ有効な契約となり、CはBに対して、契約の解除はもちろん損害賠償を求める可能性もある。ところで、詐欺には96条3項に第三者保護規定がある。よって、上記のような事例の場合、Cはそれによって取引の安全を守ることができうる。
わたしが思うに、詐欺だけでなく、錯誤、虚偽表示、強迫などの原因によって、もとの売買契約が無効とされ、あるいは取り消された場合、後の売買契約は基本的には他人物売買の問題として法律構成をなすべきである。しかしながら、錯誤や虚偽表示、詐欺のように、原所有権者(上記でいうA)に少なからず帰責性が存在する場合には、静的安全を害してでも動的安全を保護する必要性と許容性が生じる事態も起こりうる。つまり、他人物売買の規定以上に動的安全を保護しなければならないこともある。そこで、民法はそういった場合、つまり虚偽表示・詐欺の場合には直接の第三者保護規定を置き、錯誤の場合には94条2項を類推適用(動産の場合には192条即時取得)することによって、動的安全を保護するのである。そして、もしこのような第三者保護規定が適用されなくとも、最低他人物売買の問題として処理すればよいのである。
一方、強迫の場合には原所有権者には帰責性が認められないので、静的安全を害してでも動的安全を保護する必要性と許容性は認められないために、第三者保護規定が置かれていないと解すべきであり、第三者の保護は他人物売買の問題として法律構成するしかない。
また、取消後に新たに独立の利害関係人となった者の保護についてだが、この問題も最終的に他人物売買の問題に帰着させることができ、ただ、取消後登記を速やかに戻さなかった等について帰責性を問われ(強迫の場合であってもこの部分の帰責性は生じうる)、例外的に177条説(復帰的所有権変動)あるいは94条2項類推適用によって第三者保護が図られると理解すべきである。取消的無効である錯誤も同様である。

と私は考えているのですがどうでしょうか?私は他人物売買と詐欺とか強迫は上記のように密接に関係していると思っているのですが、私の思い違いだったら、ご指摘ください。

A 回答 (2件)

質問者の方のお考えが充分に理解できているか分かりませんので、的外れは回答かもしれません。

その点はご容赦ください。

質問者のおっしゃるように詐欺取消等の後に相手方・第三者間の契約が他人物売買になることはあると思います。

ただ、詐欺取消等は全ての債権債務関係に共通する総則規定ですが、他人物売買は売買の規定でしかありません。ですので、全てを他人物売買に帰着することが出来るわけではありません。
また、他人物売買は、質問者の例をお借りすると、BC間の売買契約の有効性等の問題です。これに対し詐欺取消等はAB間及びAC間の利益の調整の問題です。なので、他人物売買よりも詐欺取消が優先する(こうはおっしゃってませんが)という関係にはありません。

第三者Cの立場からすれば、売買の目的物を確保するためには、自己が94条2項、96条3項の第三者であることをAに主張することが考えられます。また、目的物の確保を必要としなければ、BC間の契約を解除し、損害賠償請求をすることが考えられます。

確かに他人物売買と詐欺取消等は、一つの目的物の所有権移転の流れの中で、例でいうCの保護が問題となる場面に現れる点では密接な関係にあるということも出来るかもしれません。しかし、これは単にCの立場からA又はBにおのおの主張が可能であるということにすぎません。他人物売買と詐欺取消との間にはなんら優越関係が無いのですから。(もし優越関係があるとすれば、一般的には総則規定よりも各則規定が優先しますので、この場合他人物売買の規定が優先することになるでしょう。)

私の考えとしては、他人物売買と詐欺取消とはある意味密接な関係にあるが、それ以上特に意味は無いのではないかと思います。
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この回答へのお礼

なるほど、確かに権利の移転の流れの中では関係する部分はあるが、特にどちらか一方が優越するとかもないため、必要以上に相関性を求めるのはよくないですね。
ご教授ありがとうございました。

お礼日時:2008/07/20 01:28

 それぞれの制度に関係があるのは確かですが,majestic7さんのような考え方は,必要以上に関連性を強調していて,あまり適当でない印象を持ちます。


 majestic7さんが書かれた内容を見ていると,それぞれの条文や制度が,誰と誰の間の何を規律しているのか,ということについて混乱があるように感じます。

 A→B→C という取引において,他人物売買の話は,BC間の債権的な関係についての規律です。一方,詐欺とか強迫は,基本的にはAB間の意思表示の有効性についての一般的な規律です。
 そして,それぞの制度が規律している以外の部分について,別の条文や制度による定めがあれば,それによって規律されるのは,ある意味当然のことです。
 また,他人物売買の問題は,当事者間の関係であるのに,なぜ,第三者保護の問題が出てくるのかが,意味不明です(気持はわかりますが)。他人物売買の規律でCが保護されるのは,対Bとの関係であって,対Aとの関係ではありませんから,第三者としてCが保護されるわけではありません。

 それと,取消事案において,取消前のCとBの関係が,いわゆる他人物売買の関係と本当に同じでしょうか。
 確かに,取消によって遡及的にAB間の売買契約が無効になるために,Bははじめから無権利者だったことになりますから,他人物売買と同様とも思えます。
 しかし,取消事案の場合は,BC間の契約時点でBは有効な権利を有していて,その権利を買主であるCに移転したわけですから,通常の他人物売買が想定している,状況とは異なります。少なくとも,AB間に取消し要因があったとしても,実際に取消されるまでは,CにはBC間の契約の解除権はないでしょう。そして,後からCが得た権利がなくなってしまう可能性があるわけです。この点を考えると,状況的には他人物売買よりむしろ,瑕疵担保責任(567条1項)の方が近いようにも感じます(いずれにせよ,Cは契約の解除と損害賠償請求ができます)。
 

 さらに,取消後の第三者の問題については,他人物売買は直接関係しないと言ってよいでしょう。「他人物売買の問題に帰着させることができる」というのが,具体的にどのようなことを想定されているのかもうひとつ分かりませんが,他人物売買の問題は,BとCの関係における問題(契約の解除や損害賠償等)で,AとCの関係における問題(所有権の帰属について)の解決には直接関係しませんから,取消後の第三者の問題を他人物売買の問題に帰着させることはできないと思います。
 もし,CがAに対抗できない時のCの保護について書かれているなら,他人物売買に帰着させることが「できる」のではなく,そもそもBとCの関係が他人物売買の関係(Cに売る時点でBは無権利者)だから,その規律が適用されるにすぎないのではないでしょうか。
 
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この回答へのお礼

様々なご指摘、ありがとうございます。
初学者ゆえにいたらなかったことがよくわかりました。
あなた様も、No.1様も私にとっては目の覚めるような素晴らしい指摘をしてくださったので、どちらにも良ポイントを差し上げたいのですが、システム上できないので、申し訳ないですが、先に回答してくださったNo.1様に良を進呈させていただきます。ご容赦ください。
ご教授ありがとうございました。

お礼日時:2008/07/20 01:34

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