ローレンツ分布について質問です。
ローレンツ分布は電子に寿命があり、不確定性原理により
生じるものであると書いていました。
他の本に、exp(-lkxl)のフーリエ変換により、
ローレンツ分布になると書いていました。
g(x)=(1/2π^0.5)∫(∞,-∞)exp(-lkxl)*exp(iyx)dx
=((2/π)^0.5)*(k/(k^2+y^2))
exp(-lkxl)の部分について、減衰の式;y=exp(-kx)で表されるので、関係があるのかなと考えますが、絶対値の(-lkxl)が納得いきません。
(なぜなら、時間のマイナス方向にも減衰曲線を引くことになるから)
だれか、教えて下さい。
No.3ベストアンサー
- 回答日時:
guiterさんが丁寧に解説されているので、
減衰の非対称性についてアドバイスです。
ある状態からの遷移というとき、二つの場合があると思います。
一つは状態が有限なときでこの場合はエネルギーが保存されて、
普通、いくつかの状態を行ったり来たりして、
時間に対する対称性をもっているのではないでしょうか?
量子力学的な定常状態(固有状態)としては、
その有限の状態が混ざった状態が実現されるはずです。
(外力が働くときは当然外部に自由度を考えるので
この限りではありません。)
もう一つは系の自由度が非常に大きい場合で
ある有限の状態を見ている場合で1つの状態からの減衰は
大きな自由度へのエネルギー/情報の拡散を表していると思います。
したがって、時間に対して対象ではなく、ある方向に変化します。
ローレンチアンであらわされている寿命は
しばしば他の状態との状態の重なりで計算されると思いますが
他の状態に遷移したあとは、もとに戻るものと、
もっと違う状態にいってしまうものとがあって、
系の自由度がとてつもなく大きいと2度ともとには戻らないものが
ほとんどとなって、
それが減衰に見えるということなのではないでしょうか?
ちなみに、ある量からf(0)=1から初めてx後にf(x)に減衰して
さらにy後にf(x+y)に減衰するのと、g(0) = f(x)から初めて
g(y)=g(0)*g(y)=f(x+y)となるような関数を考えると
f(x)=exp(-kx)の形が導かれます。
しかしながら、量子力学によれば、どんな遷移も原点付近では
exp(-a*x^2)型になってしまいます(量子ゼノン効果)。
というわけで、自然な減衰と量子力学の減衰の間は簡単には結べないのではないでしょうか。
No.2
- 回答日時:
>exp(-lkxl)はどのような物理的な現象を表現しているのでしょうか、
物理的な現象ではなく電子などの量子的な状態を表しています。
このあたりを詳しく説明するとなると
波束やシュレディンガー方程式の導入など
量子力学の講義のようになるのでここでは少し大変です。
大まかな流れとしては
ミクロな世界では粒子と波動の2重性を持つことがわかり、
これら両方の性質を持った基礎方程式が必要になってきました。
そこで、粒子的描像から波動を作るのは難しいので
波動的描像から粒子の振る舞いを説明しようとしたわけです。
具体的には平面波 e^(ikx-iωt) を異なる波数 k による重みをつけて
重ね合わせることにより局所的に強めあい、
そのほかの場所では打ち消しあう波束という波の塊を作ることで、
粒子的な振る舞いを表そうと考えられました。
そのような波束は一般的に
ψ(x,t) = (2π)^(-1/2)∫g(k)*exp(ikx-iωt)dk …(1)
のように書けます。
ここで、積分範囲は -∞~∞ で、ωは k の関数 ω(k) となっています。
この波束は時刻 0 で
ψ(x,0) = (2π)^(-1/2)∫g(k)*exp(ikx)dk
となり、Fourier の逆変換により
g(k) = (2π)^(-1/2)∫ψ(x,0)*exp(-ikx)dk
と書けます。
したがって、時刻 0 での波束の形( ψ(x,0) )を与えることによって
g(k)が決定するので、それを(1)式に戻すことで任意の時刻の
波束の形が得られることになります。
計算がやりやすい例としては
ψ(x,0) = exp(i*k0*x)*exp(-x^2/a^2)
などが量子力学の教科書などで見られるものです。
ご質問の場合は
ψ(x,0) = exp(-|kx|)
という形に電子の波が広がっているとしています。
このようにして作られた波束について
もう少し考察を進めた結果シュレディンガー方程式が導かれました。
ここで全部やるのは大変なので量子力学の教科書を見てください。
誤解があるといけないので。
導かれたと書きましたが、基礎原理から導かれたということではないので、
いまからシュレディンガー方程式は実験の検証に耐えなければいけません。
このように、exp(-|kx|) は電子の波が
どのように広がっているかという状態を表しています。
No.1
- 回答日時:
少し数式に誤りがあるようなので訂正しておきます。
g(x)ではなくg(y)ですね。
それから、x は位置の次元を持つ変数
k,y は波数の次元を持ち k は定数、y は変数とします。
すると、仰るように
g(y) = (2π)^(-1/2)∫(∞,-∞)exp(-lkxl)*exp(iyx)dx
を -∞<x<0 と 0≦x<∞ に分けて積分することで
g(y) = (2/π)^(1/2)*(k/(k^2+y^2))
というローレンツ分布の式を得ます。
この結果を見ると、y=0 のピークを中心に
半値幅 k の広がりを持った波束であることがわかります。
したがって、時間のマイナス方向に減衰しているわけではなく、
ご質問の波束は、波数 0 を中心に k 程度の重みをもって
平面波を重ね合わせて得られたものであるということです。
y0 を定数として
g(y) = (2π)^(-1/2)∫(∞,-∞)exp(-lkxl)*exp(iyx)*exp(-iy0*x)dx
= (2/π)^(1/2)*(k/{k^2+(y-y0)^2})
とすると、波数 y0 を中心に分布しある方向に進む電子を表現できますね。
丁寧に教えていただきありごとうございます。
この説明でg(y)はわかったのですが、
exp(-lkxl)はどのような物理的な現象を表現しているのでしょうか、
例などを挙げて、具体的に説明して、どうか教えて下さい、
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