不遡及の原則について教えてください。
地方公務員が、地公法違反等で減給の処分を受けるとします、例えば1ヶ月10%の減給が決定し、平成15年3月5日に処分が実施された場合、3月1日から1ヶ月間の10%の減給が出来るのでしょうか。
3月5日の処分で、3月1日までの給与に遡ることになりますので、不遡及の原則によって、それは出来ないという事になるのでしょうか。
公務員の場合は、退職してしまえば処分は関係ない訳ですよね、先の職員が、3月31日で退職すると仮定した場合に、2月28日(3月1日)にしか処分は出来ないのですか。
教えてください。
No.4ベストアンサー
- 回答日時:
地方公務員の減給処分の実際については#3の方の説明で良いと思います。
しかし、これは「不遡及の原則」とは無関係で、その意味では#2の方の見解が正しいと思います。ある違法行為に対して財産的不利益を課す場合、その財源をどこに割り当てるか、という計算上の問題を想定してみて下さい。
それを、今後の働きから徴収する場合、これを「(地公法上の)減給」と呼び、過去の働きから徴収する場合、「罰金」と呼ぶことになっています。
つまり、「不遡及の原則」によってではなく、地公法の「減給」という言葉の定義によって、遡って減給処分を課すことはできないわけです。
そして、「罰金」が「不遡及の原則」に反しないことは明らかであり、理論的には遡って減給することも可能です。
実際、単純労務の公務員に適用される労働法91条の「減給」の場合、地公法28条の「減給」と異なり、その月の給料から一定額の「罰金」を差し引くというものですから、給料日前に何回かの減給処分を受ければ、計算上は遡って減給したことになります。
また、国家公務員に適用される人規12-0における「減給」は、「今後の働きから徴収する」という意味で地公法の「減給」と同じ意味ですが、国家公務員の場合、日割りで計算されないため面白い問題が生じます。
例えば、国家公務員が3月5日に2ヶ月間の減給処分を受けたとします。この場合、3月20日と4月20日の給料から減給され、5月20日から通常の給料を受け取ることになります。
ここで、彼が3月21日に退職してしまったとします。そうすると、彼は処分から16日しか在職しないのに、3月20日に1ヶ月分の減給を受けた給料を受け取ったことになってしまうのです。こうして、一見、遡って減給処分を受けた、あるいは、退職後も減給処分を受けた、と解釈することも可能な現象が生じてしまうのです。
いずれにせよ、「財源をどこに割り当てるか、という計算上の問題」に過ぎないということでしょう。
なお、遡った減給処分が「不遡及の原則」に反しないとしても、これを懲戒処分として課すことが可能か、あるいは現行法上可能か、という問題が別に生じることは当然です。
No.7
- 回答日時:
不遡及の原則とは例えば今回の不祥事に対して昨年の12月分の給与をカットするというような過去に遡っての処分を課さないということですので、3月5日に処分が決定しても3月分の給与はこの時点で支払われるわけではなく、あくまでの給与計算上1日~4日までの計算根拠として成立されているわけでして、3月分給与の処分はできると考えます。
しかしこれはあくまでも原則ですので詳細はその地方の地方公務員法等に制限事項があればその限りではありません。
No.6
- 回答日時:
論争になってしまいましたが、
>公務員の懲戒処分に「罰金」という制度はありませんけど、どういう意味でしょうか
これは説明の仕方がまずかったかもしれません。言いたかったのは、現行の減給処分が遡及しないのは、不遡及の原則があるからではなく、減給処分とはそういう制度だからだ、ということです。
そして、「罰金」について言及したのは、減給処分が遡及したとしても、それが法律不遡及の原則「には」反しないことの実例として示したまでです。これが現金罰としての懲戒処分で課し得ないことは、#4の最後に付言した通りです。
>月の中途の減給処分の場合は、減給期間を明示し、3月、5月は日割り計算により給料を計算するのではないですか。
行政実例(昭和35職職-1271)によれば、日割り計算はしないことになっていますが。
>ちなみに、公務員の世界では、法律用語の厳密な意味での「不遡及の原則」でなく、不利益な処分は遡って行わない、という意味で「不利益不遡及の原則」という用語の使い方をします。
#2の方の回答に引かれて、一般的な法律不遡及の原則を前提に回答してしまいましたが、労働法に関する不利益不遡及原則に照らしても、遡及する減給処分は、これに反しないと思います。
というのも、#1の方が言うように、賃金債権は期末に発生するのであり、期末以前に減額調整しても遡及とは言えないと言えるからです。実際、判例(最判平8.3.26)も、不利益不遡及原則について「具体的に発生した賃金請求権を、事後に変更された労働協約や就業規則の遡及適用により処分又は変更す
ることは許されない」としており、具体的に発生していない賃金債権については、これを適用していない解することができます。そして、これは前記行政実例や労働法91条の前提するところであるはずです。
No.5
- 回答日時:
#4さんのご意見に一言
>過去の働きから徴収する場合、「罰金」と呼ぶことになっています。
公務員の懲戒処分に「罰金」という制度はありませんけど、どういう意味でしょうか。
>国家公務員が3月5日に2ヶ月間の減給処分を受けたとします。この場合、3月20日と4月20日の給料から減給され、5月20日から通常の給料を受け取ることになります。
月の中途の減給処分の場合は、減給期間を明示し、3月、5月は日割り計算により給料を計算するのではないですか。
ちなみに、公務員の世界では、法律用語の厳密な意味での「不遡及の原則」でなく、不利益な処分は遡って行わない、という意味で「不利益不遡及の原則」という用語の使い方をします。
「人事院のマイナス給与改定は、不利益不遡及の原則により、民間給与との比較時点である4月に遡らず将来に渡って行う。」といった使い方がされますが、これと同じ意味です。
No.3
- 回答日時:
通常、過去に遡った処分は行いません。
将来に向かって処分することとなります。
3月5日に減給が決定した場合、4日分は問題なく勤務しておりますので、給料を減給することはできません。
昔行った行為(4日分の勤務)が、現時点(5日の時点)で新しい法律の制定や改正(今回の場合、懲戒処分)で違法(減給)となった場合、それは違法(減給)とされない、ということです。
あなたの言っているとおりです。遡った処分はできません。
もちろん、退職後の処分もできません。
No2さん、残念ながら不正解です。
No.2
- 回答日時:
法律の不遡及とは、昔行った行為が、現時点で新しい法律の制定や改正で違法となった場合、それは違法とされない、ということです。
あなたの言っていることとは、全く別です。さかのぼれます。
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