心について科学哲学の立場で勉強していますが、壁にぶつかってしまいました。
それは、心について、哲学の立場で説明することと、科学の立場で説明することの違いが判らなくなってきたのです。
哲学では、心に関する「概念」を論理分析していくことだ。科学では、「仮定」と「実験」で理論を実証していくことだ。との説明がありました。しかしながら、哲学での「概念」は当然のこととして科学理論をも踏まえたものであります。
そうすると、哲学の概念の中にも科学理論が内包されているわけで、そのような概念とは、科学理論とどのような違いがあるのだろうか、という疑問に突き当たってしまったわけです。
これは、哲学するとはどのように思考展開していくのかという疑問にも通じることです。アドバイスと参考文献の紹介をお願いします。
No.3
- 回答日時:
概念というものは、飛躍的なイメージのようなものである場合が結構あると思います。
そのイメージは極めて個人的であったり、地域や集団が持っているものであったりすると思います。なぜ、そのような概念を持つに至ったのか、イメージの発生源を解明したり、根拠を解明する作業が哲学ではないかと思います。そういうところは科学とは違うと言えるのではないでしょうか。何か間違っていましたらご指摘下さい。概念と哲学という見地からのアドバイスありがとうございました。
哲学で求めている「概念」は、私は、「真理」ではないかと思います。そういう意味での根拠を明確にする作業が哲学ではないか、という意見には同意できます。
No.2
- 回答日時:
「科学哲学」をどういう意味で仰ってるのか、ちと見当が付きませんが、科学が哲学の一分野であるという認識を持っていらっしゃるのなら、さほど難しい話ではないと思います。
テーマが何であれ科学のプロセスを簡単に並べてみると、
(0)観察をする。
(1)仮説を立てる。
(2)仮説から演繹される予想を立てる。
(3)予想が既知の事実と矛盾しないか先ずチェックする。
(4)予想を実験で検証する。繰り返し実験を行って再現性を確かめる。
(5a) 実験が予想に反するなら仮説を棄却する。あるいは
(5b) 実験が予想に良く合うなら、ひょっとしたら仮説は正しいのかもしれない。
ということですが、(0)(1)(2)(3)までで終わればまだ「科学」の体をなしていない。
(0)(1)(2)(3)(4)まででもまだ中途半端。
(0)(1)(2)(4)(5b)というのは、しばしば勘違いの誤謬を含む。
(0)(1)(2)(3)(4)(5a)となれば、これは立派な「科学」で、失敗報告という論文が書けます。既にある理論に対立する理論を構築し、検証したが否定された。これは重要な価値を持っている。
(0)(1)(2)(3)(4)(5b)の場合、形而上学的に(1)を認めちゃうという短絡をやらかすと「科学」ではなくなるし、哲学としてもお遊びレベル。この場合(1)は「一応の仮説」として提言されるべきで、何度も(2)~(5b)のサイクルを回った上でようやく「一応最もらしい学説」に昇格する。でも反例が一つ出たら瓦解します。だから、哲学としては(0)を追加するなり、(1)を精密化するなり、(2)のバリエーションを作るなりして一層深い研究を進めるべきです。
かくて、(0)(1)(2)(3)ぐらいのレベルをいろいろ検討して(手間とコストを掛けて実験してみる価値のある)良い仮説を構築するところまでは間違いなく哲学で、ことに(5a)(5b)の次のサイクルを方向付ける、(0)(1)(2)(3)こそ哲学の仕事です。その指針として(検証不可能であるところの)形而上学があったって、それは構わない。どの仮説から手を付けようかサイコロ振って決めるというのよりも、人間の洞察力を信じたいですね。(しかし何度か旨く行った形而上学が、だからといって信仰に化けてしまうのは感心いたしません。)
「心」というテーマは、現在その手法を著しく拡大しつつある認知科学の対象分野であり、心理実験・官能検査等のほかに、生理・解剖・病理、また仮説に基づいて人工知能を構成し、実際の「心」と比較して違いを探る、というアプローチもあります。
一方、内省的な「心」の検討は、もともと主観的なものですから、大体が我流用語のこんがらがった寝言のような代物になってしまいがち。このため全てが(2)のレベルにまで洗練できるとは限りません。でも(ムカシの哲学者の寝言などほっといて)認知科学的観点との矛盾のチェック(3)を怠らず、かつ認知科学のカバーしていない領域をこそ(0)(1)していくことこそが「科学でない哲学」の部分の使命と言えるんじゃないでしょうか。
私の使用している「科学哲学」は、哲学的諸問題を科学との関係で論じていく、という程度のもので、明確な定義を持ち合わせておりません。
さて、明快なアドバイスありがとうございました。特に、認知科学に対する哲学の使命を示唆していただいたことに感謝申し上げます。そもそも私の疑問は「心の科学は可能か」(土屋 俊 認知科学選書)からきています。ここでは哲学的問題を科学として論じようとしています。そこで、私は、哲学と科学の論じ方(説明の仕方)に違いがあるのかに疑問をもったわけです。
勉強の視点が出来たように思います。ありがとうございました。
No.1
- 回答日時:
>心について、哲学の立場で説明することと、科学の立場で説明することの違いが判らなくなってきたのです。
「心」については確かに哲学が着目した命題ではありますが、哲学は「解明」を旨としてテーゼしたのであって「説明」を目的としたのではないと思います。
最近「○○の立場で・・・」とおっしゃる方が多くて困るのですがこの「立場」のないものが「哲学」することであるため「哲学の立場で説明すること」というのは不可能かと思います。「科学」についても同様かと。
>哲学の概念の中にも科学理論が内包されているわけで、
「科学理論」とおっしゃいますが{科学では、「仮定」と「実験」で理論を実証していくことだ。}とおっしゃっているではありませんか?
「内包」とはどのようなものを指しておられるのか?
>哲学するとはどのように思考展開していくのか
これは「哲学」とはなにか?という意味ですか?
この回答への補足
早速のご回答(補足要求)ありがとうございます。
1「説明」について
心という現象(これが存在するかどうかも問題ですが)の法則性について推論すること、として使用しております。
2「立場」について
論ずる際に、その立場を明らかにしないで論ずることは出来ないと考えております。例えば、「立場のないものが哲学することである。」は、立派な立場ではないでしょうか。この立場に立つということは、その立場に見合う論理展開の方法があると思うのですが。さらに、心に関する哲学のジャンルだけをとっても、「心身二元論」、「論理的行動主義」、「観念論」、「唯物論」、「機能主義」・・・と際限となくあります。
3「内包」について
「心について哲学する」ということを、「心の概念分析をすることである」とした場合、心についての概念を「理解」するためには「経験的知識」が必要とされます。この「経験的知識」は「科学」によって得られる知識である、ということです。
4哲学の思考展開について
哲学も科学も説明は「理論」によります。2項で述べたように、哲学と科学はその理論の展開の仕方が異なるのではないかと考えております。科学では、「仮定」、「実験」により推論を進めることにより「論理性」が担保されています。
哲学では「概念分析」だけです。しかし、その概念は科学の知識をも根拠としております。
ここまでくると、私は「自己矛盾」に陥ってしまいます。哲学と科学はその説明の方法(論理の進め方)に違いがあるはずだ。でも、その違いがよく判らない。というところにです。
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以上、補足させていただきます。つたない説明のために、多くの理解困難な内容を提供していることをお詫び申し上げ、再度ご教示をお願いします。
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