No.4ベストアンサー
- 回答日時:
No.2です。
たしかにNo.1&3様が御指摘の通りですね。数値からみると普通は断熱圧縮での温度の上がりによる圧上昇が、その温度上昇での平衡蒸気圧上昇に負けるので、液化は非常に厳しいですね。数値にあたるのをうっかりしておりました。その可能性を求めるとするとTfとTiの差は大きくないのにTf/Tiが大きい(つまり低温)、そして凝縮熱ΔHが小さいもの、ということです。ここでHeが考えられます。
低温すぎて扱いに問題があるかというと10^(-6)Kに対応するkTでも10^16の量子状態がその幅にあるので古典的に取り扱えます。
-268.9℃での凝縮のエンタルピー変化はΔH=-84 J/molです。
これで、4.22 K(沸点)から5 Kへの変化を考えます。
ここでγ=5/3≒1.667で、γ/(γ-1)=2.5です。
断熱圧縮では
Pf=[(Tf/Ti)^(γ/(γ-1))]*Pi=(5/4.22)^2.5Pi=1.528*Pi...(1)
となります。
一方平衡蒸気圧の上昇は、
Pf'/Pf=exp(ΔH/R(1/Tf-1/Ti)=exp(-(84/8.314)(1/5-1/4.22))=1.452
すなわち
Pf'=1.452Pi'...(2)
です。やっと平衡蒸気圧の上昇の係数が断熱圧縮の係数よりも小さくなってくれました。そこでもしPiを0.99Pi'(飽和蒸気圧の99%)とします。この時(1)より
Pf=1.528*0.99Pi'=1.512Pi'...(3)
(3)と(2)を比較するとPf'<Pfとなります。即ち飽和蒸気圧よりも大きくなります。これなら断熱圧縮で液化がおこります。まったくむきになってやった子供じみた計算ですが、一応不可能ではないという例です......m(__)m
No.3
- 回答日時:
#1です。
#2様が計算してくれました。
でも残念なことに式の上だけです。
断熱圧縮による温度上昇と圧力上昇、温度上昇による飽和蒸気圧の上昇の大きさの比較がされていません。
飽和蒸気圧の上昇は温度の指数関数で決まります。断熱圧縮による圧力上昇は温度のべき乗です。
飽和蒸気圧の上昇の方が大きいのです。断熱条件のままでは液化は起こらないということとになります。
数字を入れて計算してみます。
300Kの水蒸気で考えます。
理科年表で見ると300Kでの飽和蒸気圧は3.5kPaです。
比熱比の値は100℃でのものしか載っていません。その値を使います。γ=1.33です。
体積が半分になるように圧縮したとします。
断熱圧縮の時の温度変化の式に入れるとT'/T=1.25になります。T'=375Kです。
この時の飽和蒸気圧は108kPaです。
断熱圧縮された時の圧力変化は状態方程式に入れるとP'/P=2.5です。
飽和蒸気圧の変化の方が圧倒的に大きいことが分かります。
300Kで飽和であっても体積が半分になるような断熱圧縮では飽和蒸気圧の1割以下という状態になってしまいます。これは300Kで少し液体の水があっても全部蒸発してしまうだろうという結果です。
圧縮によって液化を実現しようとすれば
圧縮によって生じる熱を外部に移動させる操作(冷却)が必要であるということです。
ボイルの法則を使うときにも「等温線に沿って圧縮していく」という変化が出てきます。この変化は「圧縮と冷却の繰り返し」によって実現しています。
ただ、臨界温度よりも高い温度であればいくら圧縮しても液化は起こりません。
空気を常温付近でいくら圧縮しても液体にはなりません。
空気の臨界温度は-141℃です。
No.2
- 回答日時:
気体でなくても圧縮すれば温度は上がりますが、理想気体の断熱系の例でいえば
dU=q-pdV
で、断熱ですからq=0、体積が縮めば-pdVのエネルギーを貰いますから内部エネルギーは上がります。理想気体の内部エネルギーは温度のみに依存しますから、温度が上がっています。
一般に独立変数をV、Tとすれば
dU=(∂U/∂V)_vdV+(∂U/∂T)_tdT
と書けますが理想気体は(∂U/∂V)_t=0ですから、
dU=(∂U/∂T)_tdT=CvdT
となります。気体を断熱圧縮したら系は仕事を貰います。その関係は
-pdV=CvdT
-(RT/V)dV=CvdT
-(R/V)dV=(Cv/T)dT
とやって初期(i)から終点(f)まで圧縮します
Rln(Vi/Vf)=Cvln(Tf/Ti)
(Vi/Vf)^c=Tf/Ti...(1)
です。ここでc=R/Cvです。c=(Cp-Cv)/Cv=γ-1です。(Cp-Cv=R, Cp/Cv=γを使っています。)
Tf=Ti*(Vi/Vf)^(γ-1)...(1)
になります。この時圧力は
PiVi^γ=PfVf^γ
ですから(1)より
Pf=Pi*(Vi/Vf)^γ=Pi*(Tf/Ti)^(γ/(γ-1))...(2)
となります。これで系の圧力変化をTで表わせました。
ここで液体の飽和蒸気圧を考えます。最初の圧Piは飽和蒸気圧以下であることは明らかです。しかしもし、Pfが飽和蒸気圧以上になっていたらガスの一部は凝縮しなければなりません。最初の温度Tiの時の飽和蒸気圧をPi'(Pi'>Pi)とします。温度がTfになったとして、この温度での飽和蒸気圧Pf'がPfよりも大きければ液化は起きません。しかしもしこの温度の飽和蒸気圧が(2)で算出されたPfよりも小さかったら、凝縮が起きるということです。
飽和蒸気圧の温度変化はClapeyron-Clausiusの式から出します。途中省きますが、結論は
lnPf'/Pi'=(ΔH/R)(1/Tf-1/Ti)...(3)
です。ΔHは凝縮のエンタルピー変化(発熱だから負)です。Rは気体定数です。
即ち飽和蒸気圧Pi'より小さい圧Piであったガスを断熱圧縮したPfにした時に温度がTiからTfに上昇したとします。この時(2)で計算される圧Pfが(3)で計算されるPf'よりも大きくなると、気体ではいられなくて液体になります。
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