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19世紀のフランスについて学んでいたのですが、
途中でルイ・ナポレオンなる人が出てきました。

この人は大統領に選ばれてから国民投票で皇帝になったと学びました。

そこで疑問です。大統領と皇帝の違いってなんでしょうか?

大統領も皇帝もどちらも位は高そうですが、
大統領から皇帝へと言うことは皇帝の方が位は上なのでしょう。
しかし明確な違いがわかりません。

教えてください。

A 回答 (4件)

ルイ・ナポレオンの時代に限って説明すると、大統領は三権分立の一角に過ぎないのです。

つまり立法権を握る議会、司法権を握る裁判所と同列に行政権を握るのが大統領で三権は相互牽制の関係で、どれも独走できないのです。これに対して、皇帝は三権の上に君臨するのです。皇帝になると行政権も立法権も司法権も持つのです。行政府、立法府、司法府は皇帝に逆らえない。強大な権力です。だからルイ・ナポレオンは皇帝になるとクリミア戦争、アロー戦争、イタリア統一戦争、普仏戦争と何にでもやみくもに首を突っ込むことができたわけです。誰も反対できないのです。

以上は国内だけの話ですが、皇帝には対外的に別な意味もあります。皇帝は国王を臣下にできるということ。皇帝は国王より格上なのです。だからイタリア統一戦争に介入できたわけ。サルデーニャ王国の国王であるヴィットーリオ・エマヌエーレ2世の主君となってイタリア統一を支持すると称して軍を派遣できるのです。主君だの臣下だのといっても名目だけの話ではありますが、それでもルイ・ナポレオンにすればイタリア統一戦争に介入する大義名分になるわけで、その見返りにサヴォワとニースを欲しかったわけです。イタリア統一戦争というのは何かというと小国に分裂していたイタリアの諸王国を統一する戦争です。それがどうして戦争になるかというと、分裂していたイタリア諸王国の国王がオーストリア皇帝の臣下という関係があったからなのです。イタリアを統一する為には、オーストリア皇帝との関係を断ち切るしかないのです。当然、オーストリアは黙っていない。だから戦争になるわけです。ちなみにサルデーニャ王国もクリミア戦争に参戦しています。サルデーニャ王国にすればフランスの手伝い戦みたいなものだったのです。イタリアを統一する際の軍事支援を期待してルイ・ナポレオンに媚を売ったわけです。ルイ・ナポレオンが皇帝になるというのは、フランスがロシアやオーストリアに対抗する為に、ロシア皇帝やオーストリア皇帝と同格だぞと主張している意味もあるわけです。皇帝と国王の関係は東洋も同じです。清の皇帝が主君で李氏朝鮮の国王が臣下です。李氏朝鮮で農民反乱が起きる。ピンチだ、助けてくれと李氏朝鮮の国王が清の皇帝に泣きつく。そうなると皇帝は反乱鎮圧の軍を送るわけです。同じことなんです。

ちなみに普仏戦争はプロイセン王国が勝利し、ヴィルヘルム1世がヴェルサイユ宮殿で初代ドイツ皇帝として戴冠します。これはドイツ諸王国の国王の主君であるルイ・ナポレオンに対して、これからはヴィルヘルム1世がドイツ諸王国の新しい主君だから、フランスはもう余計な干渉はするなよという宣言と同じことなのです。すなわち普仏戦争はドイツ統一戦争でもあり、それがドイツ統一なのです。

これが皇帝は国王より格上という意味です。皇帝だから国王を臣下にしなければならないというわけでもなくて、国王だから皇帝を主君に仰がなければならないというわけではない。そういう意味ではなくて王国を支配下に納めるには皇帝にならないと正当化できないという意味です。

これがルイ・ナポレオンが国民投票で皇帝に就任した意味です。フランス国民にすれば、ルイ・ナポレオンをナポレオン一世の再来と信じ、ナポレオン時代の栄光を取り戻したいという意味があった訳です。
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皇帝というのは二つの違う文化で利用されています。

ひとつはヨーロッパの皇帝(エンペラー)もうひとつは中国の皇帝です。この二つはまったく概念がちがいますので、エンペラーのほうを説明します。

エンペラーの始まりは古代ローマ帝国にあります。ローマは王政を廃止して長い間共和制だったのですが、ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)の発明により、アウグストスが初代エンペラーの地位に就きます。カエサルが初代でないのは途中で暗殺されたからです。

古代(紀元前)であってもギリシャなどには共和制(民主制)の国はいくつもありました。ローマもそれに習って王政を廃止した後、共和制で国を運営していたのですが、他の民主的な国家と違って元老院という貴族や有力者だけが参加できる政策決定機関があり、それに対抗する市民集会と指導者としての「執政官」があったことです。
ローマがまだイタリア半島だけの都市国家だったときならそれでもよかったのですが、ローマは次第に地中海世界全体の覇者となっていき、そのため政策決定を元老院による寡頭制で行っていたのでは無理になってきたこと、地中海全体に散らばる選挙民全体が投票できる選挙が不可能になったこと、の解決策としてカエサルはエンペラーの地位を考え出します。

このエンペラーに与えられた権限は
・終生護民官であること(拒否権の行使ができ、不逮捕特権が与えられる)
・終生司祭長であること(祭りや暦などの行事の主催権がある)
・軍事指揮権を持つこと
・元老院で最初に発言できる第一人者であること
でした。
これにより、アウグストスはローマの政治体制を(既存の元老院などは残したまま)実質的な独裁制に変革することに成功したのです。
このとき、アウグストスはエンペラー制を考え出し道半ばで暗殺されたカエサルの名前を受け継ぐとともに、以後の皇帝は「カエサル」と名乗るようになったことから、皇帝=エンペラー=カエサル、という伝統ができたのです。

基本的にエンペラーの称号はドイツやロシアなどで用いられた称号(カイザー、ツァーリ)の語源であり、「カエサル」姓を名乗るものだけが利用できるのです。

ナポレオンはこのカエサル姓を襲名しておらず、本来ならエンペラーを名乗ることはできないのですが、国王を廃してその後の国民投票を通し、民主的に独裁的地位に就いたという実質的な部分をローマの歴史から引用して(本質はまったく違います)エンペラーを名乗ったものだと思います。
もともとローマが国王を排斥し長い間王政に戻ることを嫌ったことを故事として、フランス国民に「私は独裁的地位に就くが、国王ではない」というメッセージを送ったという意味ももちろんあります。

これがナポレオンをして皇帝を称した理由です。

これに対して大統領は、アメリカ合衆国の建国時に国家元首を意味する言葉、それも歴史上初めての王国(イギリス)の植民地が独立近代民主国家になる、ということからなるべく「王」とか「貴族」「元老」のような意味のない、それでいて首長を表す言葉を捜してPresidentを選んだものです。
Presidentというのはご存知のとおり「社長」などの意味でも利用される一般的な指導者の意味しかなかったのです。現在ではすべて大文字でPRESIDENTと書くと大統領の意味になります。

そしてアメリカ大統領の権限は
・民主的に選ばれ、任期中の不逮捕特権を有する
・拒否権を持つ
・軍事的な指揮権をもつ
ことが特徴的ですので、ローマのエンペラーの機能を十分に研究し利用しているといえます。

ナポレオンが大統領と名乗ることができなかったのは、ひとつには「王政復古派」をなだめつつ(つまり、王とは言わないがオレが新しい国王だ、とにらみを利かす)民主派に対しては民主的なルールを守る、というメッセージを出したかったこと。
さらに、たぶん一番大きいのは近隣の王国との戦争・交渉時に(民主的でありながら)国王と同等かそれ以上の権威を必要としたからだと思います。

いまでこそアメリカは巨大国ですが、ローマ帝国時代からの西洋式の国際マナー(ということは現在の国際儀礼のマナー)は皇帝>国王>貴族>平民であり、あくまでも大統領は平民の代表ということで国王が並ぶ国際会議だと常に末席になってしまうからです。

ですから、現状から見るとナポレオンの皇帝もアメリカ大統領も機能としてはほとんど差がありませんが、もろもろの制約や必要性から違う名前があるということです。
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皇帝


皇帝を君主とする国を帝国、皇帝を戴く君主政体を帝政と呼び、皇帝の地位は世襲の場合が多い。もっとも、「帝国」は異なる意味で用いられることもある点、世襲ではない場合もある点について留意を要する。
(神聖ローマ帝国やドイツ帝国では選挙制である)

秦の王・嬴政が、他の王国を滅ぼした後、王の尊称として「皇帝」を名乗ったのである。これがいわゆる秦の始皇帝である。続く漢朝においては王号の上級の称号として皇帝号が位置づけられ、現在に至っている。

ナポレオン・ボナパルトが、1804年に国民投票によってフランス皇帝となるまで、ヨーロッパにおける皇帝の称号は(若干の例外を除いて)ローマ皇帝の後継者としての称号であった。ヨーロッパ諸国で皇帝を意味する単語は、ローマ帝国の支配者の称号が起源である。


国王
君主の称号(君主号)の一種である。皇帝のような特別に高い地位を有さない、標準的な君主号の訳語として用いられる。特に男性である場合(男王)を指す。


大統領
国民による直接選挙や国民が選んだ議会によって選出される民主共和制の国家元首


国家主席
政党主権など国民によって選出されない寡頭共和制の国家元首
(しかし、英語や中国語では、民主共和制と寡頭共和制を区別せず、President や総統と呼ぶ。)


皇帝というのは王の上位者の意味ですが、ローマやフランスのように王国から共和制に移行した国では王に忌避があったため皇帝を名乗りました。
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世界の主要国の政治的指導者が集まって政治・経済の方針を決めるサミット、主要国首脳会議というやつ。


このサミットに一回目 1975年から日本は呼ばれているので日本車世界の主要国になったよねといわれているやつです。
そこで、このサミットの出席している出席者の肩書きを見てみます

日本 首相 < 天皇がいますが
フランス大統領< 首相もいます
ドイツ 首相 < 大統領もいます
アメリカ 大統領
イギリス 首相 < 女王がいますが
カナダ 首相 < 元首はイギリスの女王といっしょ
イタリア 首相 < 大統領もいます
ロシア 大統領 < 首相のプーチンのほうが偉いとも言われていますが

フランスの話をする前に、サミットの話をするのはなぜかというか、国によって同じ肩書きでも違うということです。

では フランスというか ルイ・ナポレオンにおける 皇帝とは?

偉大なるナポレオンの後継者である。
という宣言と、承認です。

大統領が任期制であるのに対して、皇帝は終身制となります。
とは、言っても、ナポレオンもナポレオン3世も、終身でなかったし、フランス以外の国でも、終身制大統領っているから、単に大統領とか皇帝という言葉だけで簡単な区別はできません。
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