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参考書などを見ますと,間伐の必要性の説明のところで,「地力保持」の項目も挙げられています.
地力保持のために,どの程度の植物(下草)まで育成させて置くのがよいのでしょうか?

<<具体的には>>
父親が寝たきりになる10年ほど前まで管理していたヒノキ林,当時間伐された後に,常緑樹の低木(1m~3m)が生えて来ました.こうした低木は,「地力保持」のために,そのままにしておいてよいのでしょうか? 或いは,いつかの時点で伐採すべきでしょうか? ご教授願います.

A 回答 (3件)

こんばんは!



>『森林管理 地力保持に低木も必要?』
>ご教授願います.

こんばんは!
まず、結論から言うと、『換金低木』でない場合は伐採すべきと想います。
『地力保持』に必用なのは、『林床に木漏れ日が射す』事です。
それによって、『下草を適切な範囲で繁茂させ土壌生産と土壌流失を図る』事です。
詳細は後述します。

私は古生物の研究をしていますが、
その一環として、九州各地の関連地層が推測される山中に分け入り、
試料収集に並行して化石分布状況の調査をしてきました。
目的のフィールド調査地点に行くと、ルートマップ(地図)を作成するために、
徒歩で測量と並行してサンプル(岩石試料)を収集していました。

その際に、杉やヒノキの植林地にも入り込み、
実際に徒歩であるため山林の状況もゆっくり見て廻っています。

その時に見た植林地での感想は、
「間伐済み」「未間伐」に限らずさまざまな所の植林地で、
地力を失って荒れ放題になったさまざまな遷移状況を数多く見て来ました。

その荒廃の主な原因としては長年の国産材の価格低下による、
林業農家の「植林経営上、即時収入の期待できない間伐や枝打ち作業を敬遠している」事と、
更に収入減による林業後継者不足による林業経営者の高齢化が根本にある。
と認識しています。

20年ほど昔の話ですが、調査中に山中で出会った林業経営の男性が、
「植林と間伐は孫や子の将来の貯金。自分達の金の伐採は、委託していては完全に赤字」
「その為の経費節減で一人で伐採している」と言っていました。

私はその様な方に何度も出会いました、
その度にフィールド調査を中断し近隣の植林地に入る許可をいただくため
近づいて挨拶をしていると、そのたびに山林経営の悲哀を伺いました。

そんな経験から20年の歳月が過ぎ、
お父上のお仕事を引き継ごうとのご立派な志の下、
林業経営の基本である下草刈りに関するご質問なので驚きました。

お父様が10年前に間伐を終えているのであれば、
この歳月の間に低木が繁茂していても可笑しくないですよね。

ご質問の話題に戻ります。
本来『地力保持』に必用な植物は、低木ではなく『下草』ではないでしょうか?
いわゆる植林された木々の間から射す適当な木漏れ日があれば育つ雑草です。

植林内での低木についてですが、それに関連する経験談があります。
熊本県坂本村で調査の際に入った植林地内に、低木が散在していました。

杉か檜が植栽されており、10メートル程度の高さまで育っていました。
そこで間伐や枝打ちされた手入れの行き届いた植林地でした。
植林地内の地面に目を向けると、さまざまな下草が育っていました。
その様な立派な植林地の木々の間に疎らに常緑樹の低木がありました。
よく観ると、その低木は、換金植物の神棚に上げる榊(さかき)でした。

坂本村の集落では、この榊の枝先を集め綺麗に束ね農協に出荷して、
現金収入の少ない山里に住む老人の重要な換金植物だったのです。

>常緑樹の低木(1m~3m)が生えて来ました.
>地力保持のために,どの程度の植物(下草)まで育成させて置くのがよいのでしょうか?

先述の事を踏まえ、ご質問へのお答えをすると、
伐採の必要の有無の問題は、その常緑低木の種類ではないでしょうか?
『換金植物』であれば保存しておいて必要に応じて収穫し販売すべきですが、
そうでなければ、伐採し地面に木漏れ日が届くようにする必要があります。

以下は、釈迦に説法となる事も十分理解しての、
無礼な記述である事をお許しください。

ご質問から、『地力保持』の本来の意味をご理解していないのでは?と感じます。

現実に『地力保持能力』が失われた、山を見たことがあるのでしょうか?
私は宮崎県の五ヶ瀬町の調査地点でその『地力保持能力』を失った。
現実の無残な山肌の様相に、フィールド調査中の植林地内で実際に出会っています。

それは今でも明確に記憶の中に保存されています。
1996年3月8日の午前中に調査地点に着くと、
何時ものようにまず谷川に行き、周辺は伐採が終わった後で一面開けた斜面でした。
まず谷川に転がっている小石を観察しました。
山体構成の基盤となる岩石が風化によって谷川を流下転石しているからです。
つまり山に登る前に、上流の岩石の種類が理解できるのです。
その中に砂岩にウミユリの破片が入った転石と、
長径40センチ×幅20センチの、専門外のサンゴ化石の転石を発見したのです。
そのサンゴ化石を含んでいた母岩がその上流にある事が判明したので、
渓流にそって谷を登っていきました。
直ぐに水の流れは見えなくなり、小石が山肌を覆っているガレ場に変化しました。
その山肌を登って行くと、杉の植林地に辿り着きました。

その植林地は、勾配が非常にきつい所でした。
その植林地上部では、やはり1~3メートル程度の無数の低木が生え、
林内は非常に薄暗い状態になっていました。
下草は一本も見られず、地表はガレ場;板状に破砕した先の尖った小石ばかりが、
林地内地表全面を完全に蔽っていました。

そこまでを歩いて登って行ったのですが、林床に入る前から蟻地獄のように、
泥の付着していない小石がずり落ちてくるのです。
なお、苦労した甲斐があって、目的の母岩は植林地上部で発見する事ができました。

つまり、そこは典型的な終末的状況を呈する
『地表土壌流失』のすさまじい植林地の様相だったのです。

本来気候的に高山帯に属しない一般的な山間地での植林地であれば
自然環境下では絶対的に薄い事はあっても表土(土壌)は必ず存在します。
植栽された樹木の先端はまだ12~13メートル程度であり、幹も直径20センチ程度。
本来なら樹冠は成長しているため、尖っているはずです。
植林地の上にある林道から観察すると樹冠は円くなっていました。

つまり、その樹冠の形状差で成長が停止している事が理解できたのです。
老熟し樹冠が円くなると、伸長が停止し次いで幹が太るはずですが・・・
ご存知のように表土が流失してしまうと、もう樹木は正常に育ちません。

そこでの植林地の表土流失の原因を推察するに、
間伐や枝打ちと言う必須の作業を予算的に負担できず、
作業を放置した事から林内に自然の法則に従い低木が発芽成長し、
林床の下草が生長に必用な最低限の木漏れ日が遮断された事から始まり、
光合成ができなくなった下草は枯れるしかなかった事は、
現場での観察から自明の理でした。

その林地内地表には、
自然条件下では下草も育つために必用な土壌が既に流亡しており、
自然に回復するにはとてつもない歳月が必用と想いました。

植林地内での生態位置としての下草の重要な機能は、
「表面土壌に根を張る事で表面土壌の雨などによる土壌流失を防ぐ土壌保持力」と、
「下草が冬を迎え枯れる事で、それが腐葉土化する事で土壌の生産を行う地力保持力」事と、
考えられますが、その下草の光線不足による枯死によって、
土壌保持機能が植林地内で完全に失われた結果と認識しました。

またその激しい土壌流失の他の原因を考えると、
植林地が在る山の傾斜が急勾配であった事に加え、
長年の雨や豪雨などで表面土壌が流出し易い環境条件が運悪く重なっている事もあると、
現地滞在調査中に深く考えさせられた事を記憶しています。

本来の間伐の目的は、
植林した杉などの生長に合わせて、適切な間隔を取り、梢の穂先伸長促進と、
木々の間の風通しを良くし、下草の生長促進、さらに土壌流失を防ぐ。

実際の現場では、間伐でまず梢と梢の間より適当な木漏れ日が地面に射す程度の、
木々の間隔をとって伐採する。

同時に木の低い所の枝を切り落とす。
つまり枝打ちするその目的は、最低以下の2つの目的があるはずです。
(1)幹が成長肥大し、伐採時までに節が埋もれる事を図り木材価値を高める。
(2)さらに木漏れ日が地面に十分届くように配慮する。
その木漏れ日が、下草を育て植林地内の地表を覆う事と、
下草が季節の変わり目に枯れる事で腐葉土質の(林床内の土壌)生産と、
更にそれらが地表土壌の雨や豪雨での流失を防ぐ。

この様に下草が地表の土壌流失を防ぐ重要な働きを持っていると私は理解しています。
ご質問にある『地力保持』対策として考えれば、
以上の様な理由から、下草の育ち具合を確認し、林床内の照度が重要である事を、
ご理解しておく必要があると思います。

ご理解いただけたでしょうか。
ちなみに、回答者は林業を学んだ事はありません。
経験上知りえた知識と、生物学の植物生態の一般論を元に記述しています。
この記述を鵜呑みにせず必ずお近くの、森林組合に確認される事をお勧めします。

この回答が、ご質問者様の問題解消につながり、
尚且つ知識の一端に納められ、
後日の必要な時にご質問者さまのお役に立つことが有れば幸いです。

最後に『お願い』です。
貴重な時間を割いて回答をしています。
この回答でご質問に対する疑問が解消できましたら、
速やかにここのルールに従って、
「回答への補足」「回答へのお礼」などと共にポイントを付けて、
次回の質問でも多くの回答をいただけるように、
回答いただいた方々にも感謝を配慮して対処してください。
できれば読後のご意見など感想をいただけるとありがたいですね。

冗長な回答になりました。
誤字脱字などある場合は、機知にてご判断いただきご笑納ください。

なお、回答後の「お礼」「補足」での再質問には、お答えいたしておりません。
その場合は、再度の新規質問でおねがいします。 投稿3時2分
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この回答へのお礼

長文のご回答ありがとうございます.豊かなご経験とご研究の成果をいただいて,たいへんありがたく思っています.天気が回復したら,さっそく低木の伐採に出かけます.

tibikotan様のご教授で,他に忙しい仕事を持ちながら,ここまで森林の管理をしていた父に少しでも近づきたいと,改めて考えております.

お礼日時:2012/01/21 20:32

ヒノキ林の自然条件を補足されると良いと思います。



平地であれば周囲の状況。傾斜地であれば上流域の
状況。地力に重要なのは水の流れと水質条件と思う。
傾斜地でも平地でも水の移動は必ず在ります。
水の移動形態をまず知る事が必要でしょうね。

ヒノキ林や杉林は地力を急速に奪いますから外部
から水の形態で養分補給が無いといずれにしろ地表面
は荒れて表土が喪失します。換金樹木とはそういう木です。
杉林が立派に育つ上流域には養分補給源が在るものです。

林業は特に周囲全体の状況に左右されます。従来は
それらの土着条件を良く知る村落長老が各種の決定を
して来たのですが各自に林業に要する決定を下すとなれ
ば考慮する事が色々有ると思います。良き回答が付く事
を私も願っています。
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この回答へのお礼

早速のご回答ありがとうございます.

当地の周りのことまで気がつきませんでした.改めて観察してみます.

お礼日時:2012/01/21 20:38

低木がマイナスに影響することは有りません。



極論すれば、はげ山よりも、低木だけの方がまだましです。
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