プロが教えるわが家の防犯対策術!

明治維新以降には,立志社やら愛国社やらの政治結社が登場していくわけですが、いまいちどのようなものか、教科書の記述だけではイメージがつかないんです。

大きいものではどれくらいの人数が加わっていたのか、とか
政府に対してどの程度影響力を持っていたのか
簡単にで良いので教えていただきたいです。

馬鹿らしい質問ですがよろしくお願いします。

A 回答 (3件)

幕末の政局をリードし、明治維新を成し遂げたのは西南雄藩と云われる、薩摩藩、長州藩、土佐藩、肥前藩の志士でありました。

だから当初明治新政府は、薩摩藩の西郷隆盛・大久保利通、長州藩の木戸孝允・伊藤博文・井上馨、土佐藩の板垣退助、肥前藩の大隈重信といった人士を中核として発足した訳です。

ところが征韓論や国会開設などを巡る路線対立によって、明治六年政変で板垣退助が政府を追われ、明治十四年の政変で大隈重信が政府を追われ下野します。

薩長土肥のうち、土肥が失脚したことにより明治政府は薩長藩閥政治の時代になります。

そこで下野した板垣退助が復権を果たすべく組織した政治団体が立志社や愛国公党だった訳です。組織といっても看板だけでなにほどのものでもない。立志社は旧土佐藩の仲間に声をかけて結成し、愛国公党は明治六年政変で失脚した仲間を集めて結成した団体ですが、地域的にも階級的にも極めて限定的です。立志社は高知県(旧土佐藩)の士族しかいないし、愛国公党も五十歩百歩。どちらも個人人脈の集まりに過ぎないからなにほどの人数が加わっていたのでもないのです。愛国社は、あっという間に空中分解した愛国公党が再結成された団体でした。

そういった野党の活動を教科書は自由民権運動と記していますが、それは薩長藩閥政治から弾き飛ばされた土肥の士族が大衆の支持を背景に復権を果たそうという試みだったわけです。自由民権運動は、言論を中心とした反薩長の政治活動でしたが、士族の反乱と総称される反薩長の武装蜂起もありました。不平士族とは戊辰戦争で貢献したにも関わらず、明治政府に参画できなかった、あるいは失脚した西南雄藩の士族のことであります。士族の反乱は佐賀の乱、神風連の乱、秋月の乱、萩の乱と続きましたが、どれも局所的・散発的な蜂起に過ぎず、あっという間に政府軍によって鎮圧されました。最後の西南戦争も西郷軍の敗北で終わり、自由民権運動は言論活動に一本化されることになります。

自由民権運動は、明治13年の国会期成同盟の結成によって、初めて全国的な広がり、階級を超えた広がりを見せるようになって、それが明治23年の帝国議会開設につながったとはいえるでしょう。

ただ立志社やら愛国社やらは歴史の一頁に名を残したとはいえ、何ほどの人数も加わってはいないし、何ほどの影響力を政府に対して持っていた訳でもない。明治維新から大日本帝国憲法が制定されるまでの藩閥政治時代に、反薩長の不平士族の拠点となった団体の一つが立志社や愛国社に過ぎないといったことなのです。

何度も繰り返しますが、立志社も愛国社も地域的な広がりが無く、旧士族階級の一部が個人的な人脈で結合した団体に過ぎないといったものなのです。彼らは明治維新を主導しただけあって、開明的・先進的ではあったが、まだ世の中全体は明治維新にすらついてこれていない。

農民は農民で、解放令反対一揆・血税反対一揆・地租改正反対一揆といった具合に、明治政府の急進的な近代化政策に何でも反対で、新しい政策が打ち出される度に暴動を起こしている有様でしたが、反政府という意味では共通しているにも関わらず、旧士族は旧士族、農民は農民で、全く連携も何も取れていない時代であったことも理解する必要があります。

全国的な組織は明治政府ただ一つであり、その時代は他に全国的な組織など全く存在しないことも理解する必要があります。企業・労働組合・農民組合・政党・宗教団体、なにひとつも全国的な組織が存在しない。

そういった時代背景を理解していただきたいのです。こういった説明でイメージを掴んでもらえるでしょうか。
    • good
    • 1
この回答へのお礼

思っていたよりも、小規模で内輪的な集まりなのですね。
具体的に教えていただき、ありがとうございました。
分かりやすかったです。

お礼日時:2013/05/23 18:21

 具体的なデータよりも「意義」に即して考えてみれば理解できるのではないでしょうか。


日本の近代化のプロセスで喫緊に求められたものを考えてみれば、政治システムとそれを裏付けるための基本法です。
 議会の開設を巡って国権派と民権派が対峙し、その対立した背景には憲法の策定があり、それをどの様な性質のものとするかが最大の対立点でした。言ってみれば「国家の枠組み」「国家の有り様」の問題です。
 あとは岩波講座『日本通史-近代1』その前提である『日本歴史-近代1』をお読み下さい。
    • good
    • 0
この回答へのお礼

自分でも勧めていただいた書籍を読んでみたいと思います。
ありがとうございました。

お礼日時:2013/05/23 18:23

 一つ付記します。

議会制度と政党、そして自由民権運動。大日本帝国憲法草案と他の五日市憲法草案や植木枝盛、選挙制度などのキーワードを手掛かりにされるとよろしいかと存じます。
    • good
    • 0

お探しのQ&Aが見つからない時は、教えて!gooで質問しましょう!