「平成」を感じるもの

宅配便で着払いとされた場合、受取人は運送契約の当事者になりますか?ならないならば、運送約款の適用を受けない(で不法行為責任を追及できる)という理解でよろしいでしょうか?
まあ、そもそも不法行為責任の追及に、運送約款を適用すべきかには重大な疑問がありますが。

A 回答 (1件)

 他の質問も見せてもらいましたが、この質問に関する限りでは、荷受人は運送契約の当事者にならない、よって、運送業者に対して不法行為に基づいて損害賠償を請求することができる、というのが答でしょうね。



 また、荷受人が運送業者に対してする不法行為に基づく損害賠償請求に、運送約款による損害賠償の制限が直接にはかからないというのも、理屈上は正しいといえます。

 ただし、他の質問に対する答にもあるように、そのようなストレートな正解に、第三者的な立場から違和感があることも事実です。現実にも、あれこれ理屈をつけて、約款による責任の範囲で、荷受人の運送業者に対する不法行為責任を認めた裁判例もあります。

 東京高裁平成5年12月24日判決・判例時報1491-135

 他方で、運送契約の当事者である荷送人以外の第三者との関係では、そのような責任制限の適用はないとした裁判例もあります。(原告は荷受人ではないようです。)

 東京地裁平成3年9月25日判決・判例時報1432-137

 ということで、運送業者に対する損害賠償請求は、やってみないと結論は分からない、裁判所がどう判断するかは予測がつかない、というところでしょうね。

 その違和感がどこからくるかよく分かりませんが、質問のような場合で見ると、運送業者は、売主の履行補助者的な立場にあるし、一般的には、荷物の中身もよく知らず、中身にかかわらず、大量に、定型的な方法で輸送をしているため、それによって確率的・不可避的に生じる運送品の損害について、運送業者に責任を負わせることは、運送業者に気の毒だというような意識があるのかもしれません。

 要するに、運送には一定のリスクが伴うのだから、それは、運送業者を抜きにして、荷送人と荷受人の間で対応しなさい、というような意識があるように思えます。約款の責任制限規定なんか、正にそのような意識の産物なんでしょうね。また、そのことは、海上輸送について、過去から種々の責任制限法理が構築されてきたことによっても裏付けられているように思います。

 私で回答できるのは、この程度です。
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