A 回答 (8件)
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No.8
- 回答日時:
司馬がこの作品の映像化に難色を示したとのご指摘がなされましたが、それこそ司馬の思惑そのものといえます。
司馬がこの作品で殊更に強調したのは、アジアで唯一、西欧列強と対等に向かい合うことのできる先進国であるとの誤謬もあります。
実際に日本が幕末から開国そして維新へと展開する状況下で遭遇した「西欧との歴然とした違い」を短期間で埋めようと出来合のスタイルをそのままに移入させ、その一方で前時代が持つ構造を地下水脈のように流れさせる構造を持つ歪な形(モンスター)を生み出してしまったことを一言も書いてはいません。
彼がこの退屈な作品で強調した部分は専ら「日露戦争の栄光」であり、それによってもたらされた国内の異常なナショナリズムの高揚などには一言もふれてはいません。この点が問題といえます。
日露戦争の前提には日英同盟、日清戦争そして日華修好条規および江華島事件と日朝修好条規の問題もあります。
但し、僕がこの作品で一点だけ評価できるのは「正岡子規の目線」です。従軍記者として帯同しながらも常に冷静な観察者として眺めていた。こうした点は作品に時折顔を覗かせるものの時代の観察者として内外から日本を見続けていた夏目漱石の影響を多分に感じることができるといえます。ここだけは評価できますが果たして司馬がそこまで意識していたかは疑問です。単に「表向きのバランスをとっただけ」ともいえます。
同じ「日露戦争」をテーマにするならば、なぜ徳富蘇峰がなぜもっと強調されないのかが不思議です。彼は軍人秋山を援護射撃する形でナショナリズムを煽りましたから(その背後には福沢諭吉もいた可能性も大)。
No.7
- 回答日時:
私見ですが、司馬遼太郎自身に戦争賛美の意図は無かったと思います。
確か、この作品が戦争賛美ととられる危険性があったために司馬本人、映像化などについて一切許可しなかった、とかどっかで見たような。
実際読んでみてお分かりになると思いますが、日露戦争勝利によってもたらされた弊害を強調してますしね。
そもそも、その後の大日本帝国(特に陸軍)について、凄まじいばかりの憎悪をもって繰り返し繰り返し、エッセイなどに書き綴っているのが司馬遼太郎ですし(私はそれについて賛否のどちらでもないです)。
後半は戦争そのものが主人公になって、無味乾燥に感じる時があるかもしれません。前半(子規が亡くなるまで)に比べて雰囲気が変わりますしね。
なかなか取っつきにくい作品だと思いますが、無事読了されることを勝手ながら祈っております。
乱文失礼しました。
No.6
- 回答日時:
beniforh さん、こんばんわ。
この作品は松山出身の秋山好古、真之兄弟と正岡子規を主人公にした明治維新以後の近代日本の時代を背景とした小説です。
子規の亡くなった後の後半は日露戦争の内容で埋め尽くされます。特に旅順攻略戦と日本海海戦は相当なページを割いています。中でも旅順では乃木と参謀長であった伊地知の無能であるとされていますが、これは別の見解があります。それでも末端の兵士たちが一生懸命203高地を陥落させ、「旅順港は見えるか?」「丸見えであります」のシーンは感動物です。
また、日本海海戦では用意周到の日本連合艦隊が準備不足で疲労困憊のバルチック艦隊を撃滅するシーンが圧巻です。
No.5
- 回答日時:
確かに、たぬはちさんのおっしゃるとおり、非常に危険な小説なのですね。
GHQがそのときにまだあったら即座に発禁になっていたでしょう。ですからわたしたちは義務教育でもそのあとの高校歴史でもこの部分は習いませんでした。それでよかったのかもしれませんが、やはり私はいずれ日本人として、常識的に知っておくべきことだろうと思います。司馬遼太郎という優れた講談師の日露戦役の段に酔うのは日本人だけにわかる良質?のワインの味故つーか禁断の快楽ですし。No.3
- 回答日時:
失礼、誤読を招く可能性がありますので訂正を致します。
正しくは>(前文略)その根拠ですが、司馬は軍事大国化していく近代日本を殊更に明るく書き立てようとしていて、これは僕のスタンスとは真っ向から対立する立場との点に依ります。一読してゴミ箱行きの刑に処しました。
内政的にはナショナリズムによる締め付けを強め、対外的に膨張し始めた原点ですから、あの一連の戦争とその背景は。そうした点ではノンフィクションの体裁を装うフィクションであり、同時にプロパガンダ的な側面を持つ「取扱注意」の作品といえます(日本近代史の骨格を理解していて、批判的にこの作品を読めるなら別ですが)。
となります。
No.2
- 回答日時:
そうです、宿題の丸投げはマナー違反です。
そして僕の感想としては、最悪の作品といえます。その根拠ですが、司馬は殊更に軍事大国化していく近代日本を殊更に明るく書き立てようとしている姿勢とは真っ向から対立する立場ですから。一読してゴミ箱行きの刑に処しました。
内政的にはナショナリズムによる締め付けを強め、対外的に膨張し始めた原点ですから、あの一連の戦争は。
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