No.6ベストアンサー
- 回答日時:
こんばんは。
同じ質問ページの中で、新しい質問を重ねない方がよいので、次回からは新たに質問を立て直すようにしてください。音楽関係と思われる質問は、音楽カテゴリーでよいと思います。
私自身が「ジャン・クリストフ」をまだ読んでいませんし、バッハのカンタータはたくさんありますので、特定というと困難になりますが、この箇所に関しては、特定のカンタータとは関係がないように思います。(1)は、その前の段落の最後の行で、バッハについては(2)以降の段落です。フランス語の原文ですと、(1)と(2)の間が空いているのでよくわかります。
Voici que ces grandes âmes, dont il avait relevé avec impatience les ridicules, se penchaient vers lui, exilé loin des siens, et lui disaient avec un bon sourire :
« Frère, nous sommes là. Courage ! Nous avons eu, nous aussi, plus que notre lot de misères... Bah ! on en vient à bout... »
Il entendait gronder l’Océan de l’âme de Jean-Sébastien Bach :
(1)の言葉は、かつてジャン・クリストフが批判したシューベルトやバッハが彼に話しかける言葉なので、ロマン・ローランの創作したセリフだと思います。もしかすると、聖書の言葉が下敷きになっているかもしれませんが、その点はわかりません。
(2)以降は、特定のカンタータではなく、バッハという作曲家の全体像を描いていると思います。ご指摘のカンタータを連想させる部分もありますが、ほかの複数の曲での音楽的描写を集めて、バッハの作曲様式全般、また肖像画から受けるイメージ、さらにバッハの生涯のエピソードを総合して描いているようです。
前後の段落の内容との関連から言っても、ここで特定のカンタータを引き合いに出す必然性はないようなので、それほどこだわる必要はないのではないかと思います。
御参考になれば幸いです。
いつもありがとうございます。丁寧なご説明よくわかりました。これからジャンル別に質問を立てるようにします。本当にありがとうございました。
No.5
- 回答日時:
こんばんは。
出典、典拠の調査は大変です。ほかのカテゴリーにお出しになった聖書かららしい言葉についてもお手上げでした。フランス語原文で検索しても引っかからないので、聖書を全部読むしかありません(笑)。
この「Ei dice cose, e voi dite parole」はわかりました。どうやら、イタリアの詩人フランチェスコ・ベルニ(1497/98–1535)の詩の一節のようです。検索でかかるのはすべてイタリア語のサイトなので、あまり詳しくは調べられないのですが、ミケランジェロ(画家、彫刻家のミケランジェロのことです)の詩に影響を与えた人のようで、この一節も、ミケランジェロに影響を与えたものとして紹介されているのが散見されました。日本語の資料は全くありませんので、フランチェスコ・ベルニについての英語版Wikipediaのページと、読むことはできませんが、検索で出てきたイタリア語の資料のURLだけ張っておきます。
http://en.wikipedia.org/wiki/Francesco_Berni
http://books.google.co.jp/books?id=Z43DkWfJh4oC& …
http://books.google.co.jp/books?id=BFJLAAAAcAAJ& …
この回答への補足
こんにちは。いつも助けていただき、感謝しています。音楽についてもお知恵を拝借したいですが、同じ本で、次の(1)と(2)はバッハのカンタータをイメージして言っていると思いますが、どの作品でしょうか。(2)に関しては「めざめよと呼ばわる ものみの声高し」(BWV 140)のような気がしますが。よろしくお願いします。
彼は、昔自分が最も不正に取り扱った人々にたいして、より多く心ひかれた。シューベルトやバッハにたいして、彼はいかにひどいことを言ったことであるか! そして今や彼は、彼らのすぐ近くに自分自身を感じた。かつて彼から辛辣に滑稽こっけいな点を指摘されたそれらの偉大な魂は、彼が遠くへ流竄りゅうざんの身となった今となって、彼の方へ身をかがめて、親切な微笑を浮かべながら彼に言っていた。
(1)「兄弟よ、われわれが控えている。しっかりせよ。われわれもまた、不当に大きな悲惨をなめたのだ……。なに、どうにか切りぬけてゆけるものだ……。」
(2) 彼はヨハン・セバスチアン・バッハの魂の大洋が怒号するのを聞いた。風ひょうふう、吹き荒れる風、飛び去る人生の暗雲――喜悦や悲痛や憤怒ふんぬに酔った諸々もろもろの民衆、その上に翔かける、温和に満ちたキリスト平和の主宰者――その足音で世界を揺がす聖なる婚約者の前に、歓喜の叫びを発して飛び歩いてる、夜警らの声で眼を覚ます、諸々もろもろの都市――思想、熱情、音楽的形象、勇荘な生活、シェイクスピヤ式の幻覚、サヴォナロラ式の予言、または皺しわ寄った眼瞼まぶたと挙げた眉まゆとの下に輝いてる小さな眼をもち、二重頤ふたえあごをもった、チューリンゲンの少年歌手のいじけた身体にこもっている、牧歌的な叙事詩的な黙示録的な幻影、などの驚くべき貯蔵。彼はその姿をありありと見た。陰気で、溌剌はつらつとして、多少滑稽こっけいで、比喩ひゆと象徴とがいっぱいつめ込まれた頭脳をもち、ゴチック的でまたロココ的で、怒おこりっぽく、頑固がんこで、清朗で、生命にたいする熱情と死にたいする郷愁とをそなえている。
No.4
- 回答日時:
三度目の回答になります。
昨日調べていたとき、「ピラト主義」という言葉は一般的に使われていないようなので、作者ロマン・ローランがジャン・クリストフのセリフとして考えた言葉に違いないと思いました。日本でも、いろいろな言葉に「イズム」をつけて「何とかイズム」と言いますね。あの類です。それで今日、ジャン・クリストフのフランス語原文中のこの箇所を探し、Pilatisme moralという語を検索にかけてみたところ、フランスのサイトが引っかかりました。予想通り、出典はロマン・ローランのジャン・クリストフとなっていました。したがって、ピラトの故事を踏まえ、確固たる根拠のない道徳的行為という意味と考えられ、この場合は、ジャン・クリストフを取り巻く人たちが、口では自分の行いが正しい根拠をいろいろあげてはいても、結局のところ偽善者に過ぎないという意味で使っています。
http://www.cnrtl.fr/definition/pilatisme
以上、御参考になれば幸いです。
原文まで調べていただきありがとうござます。とても参考になりました。この「造語」は今日も色褪せず使えそうですね。
この場を借りてもう一つ質問をさせてください。同じ本に「Ei dice cose, e voi dite parole」(彼らは事柄を言えど、汝らは言葉を言うのみ)というのがありますが、これは誰のどの作品からの引用でしょうか。オペラでしょうか。お手数ですがよろしくお願いします。
No.3
- 回答日時:
もう一度こんばんは。
No.2のねこさん(なんで「神道」の質問閉めちゃったのかな)の回答に接してちょっと補足します。
「ジャン・クリストフ」のこの部分ですよね?
「われわれは芸術家だ。」とシルヴァン・コーンは満足げにくり返していた。「われわれは芸術のために芸術をこしらえてるんだ。芸術は常に純潔である。芸術の中にあるものは清浄なものばかりである。何事にも面白がる漫遊者として、われわれは人生を探究してるんだ。われわれは珍しい悦楽の愛好者であり、美を慕う永遠のドン・ファンである。」
「君らは偽善者だ。」とついにクリストフは用捨なく答え返した。「あえて言うのを許してくれ。僕は今まで、僕の国だけが偽善者の国だと思っていた。ドイツ人は偽善者であって、常におのれの利益を追求しながらいつも理想を口にしてるし、利己的なことばかり考えながら理想主義者だと自信している。しかし君らはさらにひどい。芸術と美と(大袈裟おおげさに祭り上げた芸術と美と)の名のもとに、国民的淫佚いんいつを覆おおい隠している――しかも一方には、真理だの科学だの知的義務などの名のもとに、道徳的ピラト主義を押し隠しもしないくせに。君らの真理や科学や知的義務などは、そのいかめしい探究の可能的結果については、口をぬぐって関せず焉えんとしている。芸術のための芸術だって!……なるほどりっぱな信念だ。しかしそれは強者のみの信念だ。・・・
この部分では、理想を曲げる、というよりは、間違ったことを理想と思いこむ、というニュアンスですね。下のサイトもご覧になってみて下さい。
http://shisly.cocolog-nifty.com/blog/2010/09/pos …
No.2
- 回答日時:
ピラト主義という言葉をはじめて聞きました。
私には単なる日和見主義にしか思えないのですが、
http://church.ne.jp/setagayachitose/html/060402. …
とか
http://biblehub.com/sermons/auth/quandt/pontius_ …
とかに、
何やら書いているようですね。
ギリシア人が真理・truthを大事にしたのとは対照的に、
ローマ人・ピラトは(ローマ)法の正義・Justiceを重視したということになるのでしょうか。
この立場の相違。
No.1
- 回答日時:
こんばんは。
「ジャン・クリストフ」ですね。
イエスの生死の権限を握っていたユダヤ総督ピラトは、イエスを尊敬していたにもかかわらず、ユダヤ人司祭たちの執拗な死刑要求に負けて、イエスを死に追いやりました。そのことから、保身や出世のために、自分の理想をまげるような中途半端な道徳的行動をとることを言います。
「樹と指の間」の方の御質問ですが、何の本で読んだか思い出せませんか。いろいろな方法で検索しましたが、全く手がかりがありません。
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