知識レベルは遠い昔の高校化学です。 よくダイヤモンドの結合モデルとして、1個の球(炭素原子)から4本の棒が伸びて、別の球と連結(共有結合?)して、正4面体のテトラ構造?のような結合構造をとり、各原子間は均等で、結合力が強く、炭素原子は固定化されている。そのためダイヤモンドは固い。
上記のような原子間構造イメージの固定観念があっての質問となりますので、発想に無理があるかもしれません。
1.仮に「ダイヤモンドの棒」と「鉄の棒」があったとして「ダイヤモンドの棒」を折ろうとした場合は、先述した正四面体のいずうれかの面を境界にして折れるイメージ(拡大イメージとしては、小さい正四面体硬質なブロックばかりで作った棒を折る感じです)
次に「鉄の棒」なのですが、原子配列のイメージが無いことと、テトラ構造をイメージして想像すると、棒が曲がる局所では、鉄原子の位相関係が変形しないと曲がらないと言うのか、鉄原子間の長さが変化しないと曲がらないと思うのですが? どのようにイメージすれば良いのでしょうか?
2.質問1と関連するのですが、「光学異性体」と言う分子構造があったかと思います。各原子間の結合と位相関係は限定的で、一部原子配列が異なる構造で、鏡に映すと同体構造みたいな考え方だったかと思いますが、「分子構造は制約されている→分子中の原子間の結合や位相関係は不可変的固定化している→分子単位では「柔軟性が無い」とのイメージなのですが、ゴムやバネは、何故伸びることが出来て、そして元の形に戻れるのでしょうか?
最後になりますが、このての質問は、回答者様より、ハイレベルなご回答を頂くことが多く、理解するのに時間がかかったり、新たな質問がでたりと、連絡が遅れがちになることを予めご容赦下さいませ。 宜しくお願い致します。
No.6ベストアンサー
- 回答日時:
No.3です。
寂しいことに私の回答だけコメントが付いておりませんが、難しかったでしょうか。私も化学は高校までしか習っていないので、そのレベルで回答したつもりでしたが。
この問題については電子軌道の形が最も本質的と思われますので、一部繰り返しになりますが、補足しておきます。
まず下のURLの、p7図5(a)を見てください。
http://takahiko.life.coocan.jp/univ/2011/110608_ …
炭素原子のsp3混成軌道の形です。
炭素原子は最外殻電子が4個なので、4本の軌道のそれぞれに不対電子が1個ずつ入ります。
1つの電子軌道は、電子が2個のとき最も安定するので、隣の原子の持つ不対電子1個と軌道を共有して、結合します。
(図(b)の水素原子との結合のように。)
つまり、不対電子が入っている電子軌道が、いわゆる「結合の腕」となります。
ここで、「軌道」というと、鉄道の線路のように1本の線のような感じがしますが、「電子軌道」は図のようにある広がりをもったもので、「この中のどこかに電子がいる」という状態となります。
そして、「原子同士の結合」は、元を糺せば電子と陽子との「電気的引力」です。
従って、結合している原子同士の位置関係は固定されたものではなく、電子軌道が重なる範囲での「ずれ」は可能です。
ここが、あなたのイメージの間違いの元です。
外からの力で、原子同士の位置関係がある程度ずれても、陽子と電子との電気的引力(と、電子同士、陽子同士の電気的反発力)が働くので、元の位置に戻ろうとする力が働きます。
これが「弾性」であり、ほとんどの分子では大なり小なり弾性があります。
もうこれ以上ずれると戻ることができないという「弾性限界」を超えたとき、それまでの結合が切れて新たな結合をとります。
空気中の分子と新たに結合すること(稀に切れたままのことも)が、いわゆる「破壊」であり、あなたのいう「棒が折れる」ことです。
金属は、(水素原子のように)最外殻電子がs軌道という球形の軌道となるので、特定の向きの「結合の腕」はありません。
そして電子軌道が結晶全体に広がったイメージの「自由電子」となるので、外力により原子が1,2個分ずれても、電気的引力により、何事もなかったように近くの原子と再結合します。
従って、純粋な金属は自由に曲げたり、引き延ばしたり(伸性)、叩き広げたり(展性)できます。
もちろん、原子1個分に満たない程度の変形(原子のずれ)には「弾性」が働くし、弾性限界を超える歪には「破壊」が起きます。
ゴムについては、先のURLのp9図8の「sp混成軌道」を主とした繊維なので、横方向には自由に曲がります。
以下同文。
semikuma様、
お礼が遅れてしまい申し訳ございませんでした。 ご回答頂いた当日に送信したものと思い込んでおりました。(^_^;)
度重なる長文回答に、大変お手間をおかけしましたことにはお詫びと、回答者様の丁寧親切、かつ善意に満ちたご回答に心より感謝申し上げます。
目下のところ、趣味的に今回質問の該当箇所含め、基礎から勉強しなおしているのですが、学ぼうとして勉強すると、なかなか興味深いものですね。
次回質問の機会がありましたら、また宜しくお願い致します。
No.5
- 回答日時:
金属結合
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E5%B1%9E% …
これは結構よくかけていると思いますが、要するに金属結合原子がずれるに要するエネルギーが
低いということです。電子雲を多くの原子が共有する金属結合ならではの性質ですね。
No.4
- 回答日時:
>上記のような原子間構造イメージの固定観念があっての質問となりますので、発想に無理があるかもしれません。
しっかり覚えてらっしゃる。それで良いです。ただ金属にそれを当てはめちゃまずい。
周期表( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%91%A8%E6%9C%9F% … )を広げてみてください。
左下の地が灰色の金属元素と右上の非金属元素に大きく分けられます。水色地の半金属はとりあえず無視
原子は原子核とその周囲を回る電子が基本構造でしたね。
電子は内側からK,L,M・・と軌道があって、内側が詰まったら上の軌道という風にK殻から埋まっていきます。
K:2個
L:8個
M:18個
・・・・
そのときにMより後の場合も含めて、一番外側には8個の電子が座る軌道があるとだけ覚えてください。(K殻は2個)M殻以降は8個のその軌道と、もう何種類かの軌道がある。
ここで、周期表の希ガスという縦の列の元素は、すべて最外殻(K:2,L:8,M8,N:8)がすべてふさがっている。
H He
Li Be B C N O F Ne
Na Mg Al Si P S Cl Ar
K Ca Ga Ge As Se Br Kr 遷移元素は除く
最外殻の電子の数を併記して、基ガス中心に並べ替えると・・・
H1 [He2] Li1 Be2 B3 C4 (2)
N5 O6 F7 [Ne8] Na1 Mg2 Al3 Si4 (2)(8)
P5 S6 Cl7 [Ar8] K1 Ca2 Ga3 Ge4 (2)(8)(8)
As5 Se6 Br7 [Kr8]
この希ガスの電子配置は、最も安定な状態なので、最も近距離の変化で希ガス形になろうとする。
Naは電子を失ってNa⁺(Heと同じ) となりやすく、Clは電子を貰ってCl⁻となりやすい。
★電子を失って陽イオンとなりやすいのが金属元素
内側に軌道のない下ほど金属的・・・・左下が金属
★電子を受け取って陰イオンとなりやすいのが非金属元素
内側に軌道がなく原子核の力を受けやすい上ほど非金属的
[イオン結合] 電子を失いやすい金属元素と電子を受け取りやすい非金属元素どおし
金属元素と非金属元素は、それぞれ電子を失ったり受け取って陽イオン・陰イオンとなり電気的な結びつく
・硬くて脆い
・水が存在するとイオンとなって溶け出しやすい
・固体では移動しないので電気を流さない。溶けると伝導性
[金属結合] 電子を失いやすい金属元素どおし
電子を失った陽イオンが電子の雲で結び付けられている。砂粒が水でくっついている粘土のようなイメージ
・酸とであって電子を失い陽イオンになりやすい
・原子が移動しやすい 展性や延性を持つ
・自由電子のため電気や熱の良導体
・金属光沢をもつ
[共有結合]電子を受け取りやすい非金属元素どおし
一つの電子を共有することで希ガスの電子配置になることで結合
・極めて硬い
・溶かしても電気を流さない
・分子をつくって安定するものがある。
そして、さらに
[分子間力による結合]
[共有結合]によってつくられた分子が、分子間に働く力で結びついたもの
・水素結合(水素を仲立ち--半共有)分子間力では最も強い 氷
・ファンデルワーメス力 ドライアイス、砂糖の結晶とか
[配位結合(共有結合の一種)]で作られたイオンによるイオン結合
[共有結合性固体]
全体が共有結合で結びついた巨大な分子 ダイヤモンド
あなたの
★「ダイヤモンドの結合モデルとして、1個の球(炭素原子)から4本の棒が伸びて、別の球と連結(共有結合?)して、・・・【中略】・・・そのためダイヤモンドは固い。」
は最後の共有結合性結晶だけの結合の説明です。
鉄などの遷移元素は、最外殻でない内側の起動にある電子が、結合に関わること。その結合には共有結合性の側面もあるため、遷移元素はイリジウムのように金属らしからぬ硬いものや、金のように酸に強いものも存在する。
早々のご回答を有難うございます。
皆様のご説明やキーワードを元に勉強させて頂いております。Fe2+・Fe3+などの同素体?があったり、NOxがあったりと、イレギュラー結合に関しては理解と言うよりも「パターン暗記」だったことを思い出しました。応用が利かないのはこのためでしょうか?
当方の理解力に応じて、表現や内容には、推敲され一文にまとめることなどは、お手間をおかけしたことと推察されます。
重ねてお礼申し上げます。
No.3
- 回答日時:
もうお忘れかもしれませんが、「ゆとり教育」以前に高校の化学IIをとった方なら、次のようなことを習ったと思います。
・化学結合には、共有結合、イオン性結合、金属結合がある。
・イオン性結合は共有性結合と本質的には同じものだが、結合を切るのは難しい。
・金属結合は自由電子を介在するので、たやすく変形できる。
・そのため金属の重要な性質として、「伸性」「展性」がある。
・電子は原子核の周りに、原子番号(陽子の数)と同じ数の電子がまわっている。
・電子のエネルギーはとびとびの値しかとることができない。
・電子のエネルギーは、低い方からK殻(かく)、L殻、M殻・・・と呼ばれる。
・さらに電子は、s軌道、p軌道、d軌道・・・といった決まった軌道しか動くことができない。
・K殻にはs軌道のみ(1s軌道)、L殻にはp軌道まで(2s,2p軌道)、L殻にはd軌道まで(3s,3p,3d軌道)・・・・がある。
・S軌道は原子核の周りに球形、p軌道はx,y,x方向に綿棒状に伸びている。
・さらにs軌道とp軌道は混じり合って混成起動を生じる。
(混成起動の形は、自分で調べてください。Sp,sp2,sp3の3種類あります。)
・電子は低いエネルギーの軌道から1個ずつ埋めていき、1つの軌道に2個までしか入ることができない。
・1つの軌道に1個しか入っていない電子を「不対電子」と呼ぶ。
・最外殻(最も高いエネルギー)の不対電子のみが化学結合に寄与する。
また、レベルの高い高校化学IIの参考書には、次のようなことも書いてあったと思います。
・電子は、1s,2s,2p,3s,3p,4s,3d,4p・・・の順に軌道を埋めていく。(エネルギーが低い)
・但し3p以上のエネルギーは近接しているので、条件によっては電子は他の(よりエネルギーの高い)軌道に遷移する。
従って、金属以外の多くの化合物では、s軌道、p軌道の共有結合だけを考えればよいことになり、あなたの持っているイメージと一致します。
ダイヤモンドを構成する炭素(C)原子は4個の不対電子を持ち、sp3混成起動で4方向の炭素原子と立体的にがっちり共有結合しているので、変形させるのはほとんど不可能です。
「光学異性体」は、sp3混成起動を持つ原子の4本の結合の腕に、それぞれ異なる原子が結合したものです。
結合を切るのは容易ではありませんが、多少の変形は可能です。
但し、ある程度までは変形させても、電子と陽子との引力により、元の形に戻ります。
これが「弾性」の由来であり、ほとんどの物質は大なり小なり弾性を持ちます。
繊維は、多数の炭素原子がspまたはsp2混成起動で鎖状につながったものなので、横方向には自由に曲がります。
ゴムは、No2さんが書かれているように、弾性の高い繊維が複雑に絡み合ったものなので、大きく変形させても元の形に戻ります。
一方金属は、II族までは最外殻電子がs軌道であり、III属以上も熱などにより電子がs軌道に遷移するので、結合の方向性を持ちません。
また、結合している原子がずれても、隣の原子と再結合できるので、自由に変形できます。
これが、「伸性」「展性」の由来です。
ばねは、不純物を添加して弾性を高くした金属をさらにコイル状に巻くことにより、見かけの弾性限界を大きくしたものです。
No.2
- 回答日時:
まず、1.のような破壊や曲がって元に戻らないという「塑性変形」と、2.のような変形させても元に戻るという「弾性変形」というのがある、というイメージをもたれると、後の話が入りやすいかと思います。
1.については、最近みかける「球状の磁石」をイメージいただくとよいかと思います。鉄をどんどん拡大してみたときに、あのような球状の鉄原子が磁石のようにたくさんくっつきあって並んでおり、近くの鉄原子との間では、電子を譲り合ったりして、自由に動き回れる電子が隙間を動き回っている、というイメージです。この自由電子があるために、電圧をかけると、それによって電子が突き出されて送り出されて、電流として電子の移動を実現できるわけです。
このような、「球状の磁石」みたいに並んでいる鉄原子どうしを支えているのは、共有している自由電子などの原子間に働いている引力のおかげなのです(この引力のイメージのために磁力をもつ磁石を例示しました)。そのため、原子間力よりも強い力が加われば、そこで鉄原子の断層ができて、もう元のお隣さんとは縁が切れてしまうのです。これが「塑性変形」(その中でも、断層のようなせん断変形)といいます。
2.まずは、金属のバネのほうから説明しますと、先ほどのようなせん断変形になるほどの力が加わらなければ、鉄原子どうしの引力のほうが勝って、外からの力に耐え切って、外からの力がなくなれば、元のお隣さんの横に鉄原子どうしが戻ったほうが安定になって、元通りの形を取り戻せるのです。
ゴムのほうは、金属と違い、有機化合物(炭化水素など)がたくさん化学反応で結合してできた、ロープのように長い分子(高分子、ポリマー)になっています。その分子の主軸になっているのは、隣どうしの原子で電子を共有して電子はその2原子の間でしか動き回りません。そのため、鉄の自由電子のようにどこかに流れていくことも、それによって原子どうしがせん断されることもありません。(球と棒の分子モデルのイメージそのものですね)
このようなロープのように長い分子ですと、短い紐や細いケーブルをパラパラと落としたときにわかるのですが、まっすぐ並ぶことはまずなく、向きもばらばらな上、そもそもまっすぐにすらなろうとしないのです。よほど、DNAのようにロープどうしの結合のキッカケがない限り、ゴムのような分子は丸まりかけのロープが何本か絡まっているだけ、というほうが自然にできます(むしろまっすぐ並べるためには作るときからひっぱる力をかけないと並んでくれません)。
そのため、絡まったロープの塊を両端から引っ張ると、とりあえず空間が狭く締まるものの、原子から出ている4本の共有結合の角度を広げるまで股さきのようになっては、もう変形できません。そして、力を抜けば、もともとあったロープの配置とロープをつくる共有結合のコシのせいで安定な角度をとりなおせるように、全体でもゴムは元の形・サイズに戻るのです。(ゴム全体のエンタルピーとゴム分子のエントロピーで定量的に説明する場合もありますが)
以上、長いばかりで拙い図解を拙い記述で述べてみました。
早々のご回答を有難うございます。
皆様のご説明やキーワードを元に勉強させて頂いております。Fe2+・Fe3+などの同素体?があったり、NOxがあったりと、イレギュラー結合に関しては理解と言うよりも「パターン暗記」だったことを思い出しました。応用が利かないのはこのためでしょうか?
当方の理解力に応じて、表現や内容には、推敲され一文にまとめることなどは、お手間をおかけしたことと推察されます。
重ねてお礼申し上げます。
No.1
- 回答日時:
構造体として理解するより、物性としてご理解なさった方が、容易かと思います。
物性とは、文字通り物理的性質の意味です。
剛体・・・どんな力を加えても絶体に変形しない性質。変形の中には破壊現象を含みます。推論上の仮定の存在です。
弾性体・・・ある程度までの力に応じて変形するが、内部で応力が働き、力が掛からなくなれば変形は元に戻る性質。バネも鋼などのこの性質を利用しています。加わる力が限界(弾性限界)を越えると、形状は復元されない(屈服)。破壊に至る場合を脆性破壊と云います。弾性体に衝撃を与えると、縦波(P波、波の振動方向と揺れの方向が一致。疎密波、体積=密度の変化の波が伝わる)と横波(S波、ひずみ波またはねじれ波。歪波。形状の変化がねじれの波として伝わる)を発生し、弾性体内部を伝わります。固体の多くは弾性体と見なされ、地震波を伝える大地も、研究と観察の取り扱い上、弾性体と見なされています。P波の速度はS波の√3倍。
非弾性体・・・流体(気体と液体)及び粘性の大きい固体状の物質。S波は流体中を伝わらない。力を加えると体積(密度)変化を伴い、P波として伝わる。弾性体中の速度よりかなり遅い。ゴムなどは固形状に見えても、原状回復はするが、弾性体としては取り扱えない。熱した鉄や溶岩も、弾性体とは見なせない。
等の性質があります。
鉄が曲がってしまうのは、弾性限界を超えた力による屈服の現象です。曲げ伸ばしを繰り返すと、脆性破壊で断裂を起こします。剪断性、可塑性、熱的振る舞いなどについては、少し高度な議論になります。
早々のご回答を有難うございます。回答者様に示していただいたキーワードをもとに、今晩に落ち着いて考えをまとめてみたいと思います。取り急ぎのお礼とさせて頂きます。
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