AさんがBさんに品物Cを売るために、Bさんの求めに応じて、品物Cの品質にかかわる情報を電子メールでBさんに提供しました。
Bさんはその情報をもとに、品物Cを購入するか検討をしたのですが、その情報の一部に誤りがありました。
もちろんBさんはそれに気がつきません。
その後、Bさんはその品物CをAさんより購入したのですが、購入から数ヵ月後、Aさんはその情報の誤りに気がつきました。
Aさんはそのこと(情報の誤り)をBさんには伝えませんが、この行為は詐欺罪や不正競争防止法(二十一条2項5号)違反、またはその他の刑事上の罪になりますか?
不正競争防止法の二十一条2項5号
商品若しくは役務若しくはその広告若しくは取引に用いる書類若しくは通信にその商品の原産地、品質、内容、製造方法、用途若しくは数量又はその役務の質、内容、用途若しくは数量について誤認させるような虚偽の表示をした者(第一号に掲げる者を除く。)
A 回答 (9件)
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No.9
- 回答日時:
詐欺罪が成立するためには、まず、騙そうという意思が必要で、それによって騙されて財物を提供する、それ(騙そうとする意思)が無いので、詐欺罪の構成要件を満たしていないでしょう。
無銭飲食の例がよく示されます。食事の提供を受けたけれども、客が金を持っていない場合、最初から払う気がなく、金を持ってこなかった場合は、詐欺罪の構成要件を満たすでしょうが、食後、来る途中で財布を落としたことに気付いた、食事中、店内で財布をすられた、こんな場合は、騙そうという意思はなく、詐欺罪の構成要件を満たしません。よって、本件の場合も、詐欺罪は成立しないものと思料します。No.8
- 回答日時:
>>詐欺罪の成立には「処分行為」が必要なのではないでしょうか?
必要です。問題は「処分行為」とは何か、です。支払いの猶予なども「処分行為」と評価されます。
>支払いの猶予なども「処分行為」と評価されます。
おっしゃる意味はわかるのですが、Bが処分行為をしたという点に、疑問を感じます。
以下のサイトでは、
http://www.tuchiya-law.com/blog/2015/10/post-16- …
客が釣銭を手渡された後に、自宅で多いことに気づいた場合について、「刑法246条1項の詐欺罪は成立しません。なお、同条2項による詐欺罪も、店員による債務免除などの処分行為がありませんので、成立しません。」
とあるように、処分行為が無いとしています。
No.7
- 回答日時:
>>これは本当ですか?
私は法律の素人ですが、品物Cの品質にかかわる情報を間違えたことで、すぐに返還債務が発生するようには思えません。その間違いが品物Cの代金を全額返還するべきほどのものなのか、また一部返還すべきか、また、返還するほどではないかは、すぐに決まるものではなく、民事上の争いになるのでは? 確定していない返還債務をでっち上げて、無理やり刑事上の不作為の詐欺と結び付けているように見られます。
ちょっと待ってください、私が#6で回答した「「財産」の移転をさせたわけではありませんが、・・・「利益」(刑法246条2項)を移転させたと考えられる余地がある」との回答は、現金などの現物(つまり「財産」)の移転がない場合でも詐欺罪(いわゆる2項詐欺)の成否を検討する余地がある、との趣旨です。検討した結果、あなたの言うように、返還債務が存在しない、ということもあるでしょうし、逆に返還債務が肯定できるケースもあるでしょう。たとえば品物Cの基本性能について虚偽の情報があった場合などに(契約の)取消権を留保しておくなんてことは普通にあることです。もしAが黙っていたことにより、Bが取消権を行使するのが遅れ代金の返還請求が遅れた、ということになれば、それは事実上欺罔により「支払猶予」を受けた(つまり財産上の「利益」を得たと)評価する余地もあるのです。これはけっしてこじつけではありません。ただし、質問本文からは事案の詳細はわからず、考える「余地」がある、と表現しています。
>>
http://jijico.mbp-japan.com/2015/01/13/articles1 …
↑のページでも、「受け取った後に気付いた場合でも民事上の返還義務が生じる」というところで、「店員が過大な釣銭を渡そうとしていることを認識していないため、その段階での告知義務違反、すなわち「欺罔行為」の存在を認めることができず、詐欺罪にはなりません。もちろん、後で気がついてもそのままにしてしまったということは、刑事上は問題にならなくても民事上の返還義務として処理されることになります。」とあるように、刑法の話しでは無くなっています。つまり、民事上の話し合いになるのではないでしょうか?
このサイトで説明している方は、246条1項の詐欺が成立しないといっているのです。私が指摘しているのは2項の詐欺です。
引用サイトのような釣り銭詐欺の事例では、釣り銭を受け取った側に返還債務があります(これは民法703条あるいは704条によって基礎付けられる債務)。そうすると黙っていたこと(告知義務を怠ったことにより)と、返還を免れた(「利益」246条2項を得た)こと、間に因果関係が認められます。したがって、不作為の2項詐欺が否定されるとすれば、告知義務の存在を否定する、ということになるんだと思います。
>このサイトで説明している方は、246条1項の詐欺が成立しないといっているのです。私が指摘しているのは2項の詐欺です。
http://jijico.mbp-japan.com/2015/01/13/articles1 …
繰り返しになりますが、このサイトで「後で気がついてもそのままにしてしまったということは、刑事上は問題にならなくても民事上の返還義務として処理されることになります。」とあるように、その場では気が付かずに、後で気が付いた場合において、2項の詐欺が適用されるということは言われておりません。この場合でも、後から気付いた時点で告知義務があり、それをそのままにしておく、ということで返還を免れた、つまり貴方のいうように2項詐欺に該当するように思うのですが、このサイトはもちろん、他の釣銭詐欺に言及しているサイトでも、そのように解釈されているのは見たことが無いのです。2項詐欺が適用される余地があるならば、そのように記載するでしょうし。
以下のサイトでは、客が釣銭を手渡された後に、自宅で多いことに気づいた場合について、「刑法246条1項の詐欺罪は成立しません。なお、同条2項による詐欺罪も、店員による債務免除などの処分行為がありませんので、成立しません。」
http://www.tuchiya-law.com/blog/2015/10/post-16- …
とありますが、これについてはどう思われますか?
No.6
- 回答日時:
>>あと、「あなたが~」という表現を使用されていますが、別に私が質問のようなケースをしたわけではなく、質問文にあるように、「AさんとBさん」の話ですので、そこからして、何か誤解されているような印象を受けます。
失敬。Aさんとはあなたではないのですね。では、私のこれまでの解答中「あなた」は、「A」に置き換えてください。
>>・AさんがBさんに品物Cを販売し代金を受け取る(←この時点でAさんは情報の誤りに気がついていない)
・販売から数ヵ月後、Aさんは情報の誤りに気がつく(←既に財産の移転は終わっているため、誤情報によって故意にBさんに財産の移転をさせたわけではない)
質問を簡単にまとめると、上記のようになります。この状況で、不作為の詐欺がAさんに成立するかどうかの話しです
不作為の詐欺にはあたらないと思います。理由は繰り返しになるかもしれませんが、不作為の詐欺罪を基礎付ける、刑法上の告知義務が発生しているとは考えられないためです。http://jijico.mbp-japan.com/2015/01/13/articles1 …のサイトでもこのようなケースで不作為の詐欺にあたるとは指摘していないはす。
ところで、質問本文に付せられた補足質問の
>>(←既に財産の移転は終わっているため、誤情報によって故意にBさんに財産の移転をさせたわけではない)
とのことですが、これは一考を要します。たしかに現金などの「財産」の移転をさせたわけではありませんが、黙っていたことにより、返還債務を免れた、と考えられる余地もあり、(返還債務の履行を免れたという)財産上の「利益」(刑法246条2項)を得た、と考えられる余地もあるからです(つまり#5,#3の②の要件を満たしていると解する余地有り)。
やはり、不作為の詐欺を否定するとなると、理論上は刑法上の告知義務を基礎付けることまではできない、ということになるような気がします。
>たしかに現金などの「財産」の移転をさせたわけではありませんが、黙っていたことにより、返還債務を免れた、と考えられる余地もあり、(返還債務の履行を免れたという)財産上の「利益」(刑法246条2項)を得た、と考えられる余地もあるからです(つまり#5,#3の②の要件を満たしていると解する余地有り)。
これは本当ですか?
私は法律の素人ですが、品物Cの品質にかかわる情報を間違えたことで、すぐに返還債務が発生するようには思えません。その間違いが品物Cの代金を全額返還するべきほどのものなのか、また一部返還すべきか、また、返還するほどではないかは、すぐに決まるものではなく、民事上の争いになるのでは? 確定していない返還債務をでっち上げて、無理やり刑事上の不作為の詐欺と結び付けているように見られます。
http://jijico.mbp-japan.com/2015/01/13/articles1 …
↑のページでも、「受け取った後に気付いた場合でも民事上の返還義務が生じる」というところで、「店員が過大な釣銭を渡そうとしていることを認識していないため、その段階での告知義務違反、すなわち「欺罔行為」の存在を認めることができず、詐欺罪にはなりません。もちろん、後で気がついてもそのままにしてしまったということは、刑事上は問題にならなくても民事上の返還義務として処理されることになります。」とあるように、刑法の話しでは無くなっています。
つまり、民事上の話し合いになるのではないでしょうか?
No.5
- 回答日時:
>>不作為の故意は相手が金銭を処分する前に、告知するべき義務があるのに、あえて告知しない場合であって、今回のケースのように購入から数ヵ月後に、販売者が気がついた場合も、適用される可能性があるのでしょうか?
不作為の詐欺についてですが(不正競争防止法はとりあえず検討からはずして良いと思います)、(#3でも書きましたが)、①真実を告知する義務が(信義則上)ある者が、これを告知せずに、②相手の誤信に乗じて財産上の利益を得た場合、に該当するかを考えることになります。
まず、①の点なのですが、これは少々厄介です。とういうのは、本来同義務の有無について、相手の被る損害額の大小や、これまでの交渉過程、契約の条項、などを詳細に検討してあなたに、告知義務があったかどうかを検討する必要がありますが、このサイトでそこまで検討するのは現実的ではありません。
また、②についてですが、あなたが、誤情報を告知(する義務があるにもかかわらず)しないことによって、相手が本来支払うことはなかったであろう代金を支払わせたというのであれば、形式的には②の要件を充足することにはなりますが、過去の判例・裁判例を見ても、不作為の詐欺問われたケースはそう多くはなく、あまり神経質にならなくてよいと思います。
ビジネスマンとして、誤情報に気付いたのに先方に告知しないというのは、関心しません。損して得取れの言葉もあるように、今回は正直に先方にお話しして判断を仰ぐ、というのもありかと思います。しかし、そのこととあなたの不作為が犯罪になるかは別問題です。上に書いた通りあまり神経質にならなくてよいと思います。
先走って投稿したため解答が2転しましたが、私のの解答はこんなところです。
そもそもの話しですが、
http://jijico.mbp-japan.com/2015/01/13/articles1 …
↑にもありますように、「(1)買い物客において、店員がお釣りの計算をしているときに計算間違いをしていることに気付いたにもかかわらず、気付かないふりをしてそのまま受け取り、懐に入れてしまうもの」
という状況が不作為の詐欺にあたるとされており、つまり、相手が財産の移転をする前に、相手の錯誤に気がつき、それを言わない場合が、①真実を告知する義務が(信義則上)ある者が、これを告知せずに、②相手の誤信に乗じて財産上の利益を得た場合に該当するかと思うのですが、今回のケースは、財産の移転から数ヶ月後にAさんは誤りに気がついているので、そもそも、不作為の詐欺にはあたらないように思うのです。今回の質問のケースと、一般的な不作為の詐欺の構成要件を誤解されているように思うのですが、いかがでしょうか?
あと、「あなたが~」という表現を使用されていますが、別に私が質問のようなケースをしたわけではなく、質問文にあるように、「AさんとBさん」の話ですので、そこからして、何か誤解されているような印象を受けます。
No.3
- 回答日時:
すいません、先走って回答ボタンを押してしまいました。
>>Aさんはその情報の誤りに気がつきました。Aさんはそのこと(情報の誤り)をBさんには伝えませんが...
刑法上、期待された行為をしないこと(不作為という)が犯罪とされることは十分あり得ます。例えば、不作為の詐欺、というものがあり、
①真実を告知する義務が(信義則上)ある者が、これを告知せずに、②相手の誤信に乗じて財産上の利益を得た場合、など不作為の詐欺に問われる可能性があります。(理屈でいえば、不正競争防止法21条1号の「人を欺き・・・」を不作為で行ったと考える余地もある)。
このもちろん詐欺罪以外でも不作為犯は成立し得ますが、この不作為犯という犯罪類型は、理論的に少々入り組んでいるところがあり、ここで全てを説明するのは困難です。ご質問の件ですが、相手が誤信している状況を積極的に利用して、相手から財産上の利益を得た、などの事情がない場合は神経質にならなくてもよいかと思います。
(ただし、#2の回答で述べたように民事上の責任は問われる可能性は残る)。
回答がとっちらかってしまいましたが、こんなところです。
回答有難うございます。
>不作為の詐欺、というものがあり、
①真実を告知する義務が(信義則上)ある者が、これを告知せずに、②相手の誤信に乗じて財産上の利益を得た場合、など不作為の詐欺に問われる可能性があります。
これについてですが、不作為の故意は相手が金銭を処分する前に、告知するべき義務があるのに、あえて告知しない場合であって、今回のケースのように購入から数ヵ月後に、販売者が気がついた場合も、適用される可能性があるのでしょうか?
No.2
- 回答日時:
少し細く説明します。
1 原則論
(1) 刑事上の責任について
刑法第1編第7章38条1項は、「罪を犯す意志がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない」と定めています。これは、噛み砕いて説明すると、刑法は、故意犯のみ原則処罰するものとし、過失犯は、過失犯でも処罰する旨の定めがない限り罪に問われることはない、というものです。
そして、同じく刑法8条は、「この編の規定は、他の法令の罪についても適用する。・・・」とあり、刑法38条(故意犯処罰の原則)が他の法律にも適用されると規定しています。
この38条と8条の規定により、刑法はもちろん他の法律の罰則規定についても故意犯でなければ処罰されない、ということになるわけです。
(2) 民事上の責任
他方で、民事上の責任には、民法709条に定めがあり、「故意又は過失によって...」他人に損害を与えた場合は損害賠償責任を負う旨の定めがあります。不正競争防止法にも、故意または過失で不正競争を行って他人の営業上の利益に損害を与えた場合は損害賠償責任を負う旨の規定(同法4条)があります。つまり、民事上では、原則として、故意でなくとも過失があれば損害賠償責任が生じることになります。
(ただし、損害賠償ですので、相手に「損害」が生じている、など他の事情も必要。過失があれば即損害賠償というわけではない)。
2 本件の場合
Bさんに品物Cの情報を送る際、意図的に(故意)に虚偽の情報を送ったのでなければ上記、刑法38条、8条の規定により罪(刑事上の責任)に問われることはありません。
ただし、相手に損害を与えたのであれば、民事上の責任として損害賠償責任を負う可能性は残ります。
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・販売から数ヵ月後、Aさんは情報の誤りに気がつく(←既に財産の移転は終わっているため、誤情報によって故意にBさんに財産の移転をさせたわけではない)
質問を簡単にまとめると、上記のようになります。この状況で、不作為の詐欺がAさんに成立するかどうかの話しです。
お返事がいただけないようなので、再度こちらでも考察をしてみたのですが、やはり、「たしかに現金などの「財産」の移転をさせたわけではありませんが、黙っていたことにより、返還債務を免れた、と考えられる余地もあり、(返還債務の履行を免れたという)財産上の「利益」(刑法246条2項)を得た、と考えられる余地もあるからです(つまり#5,#3の②の要件を満たしていると解する余地有り)。」という論点については疑問です。もし、これが成立するのなら、少なくとも、店で店員が釣銭を渡し間違えて、家に持って帰ってから気付いたパターンでも詐欺罪が成立することになりませんか?(こちらも返還債務の履行を免れたといえるでしょうし。)
実際は、このパターンでは、「詐欺罪ではない」という意見しか見当たりませんし、対応としては民事上の不当利得の返還請求か、刑事では占有離脱物横領罪となる、というものばかりです。
法律のド素人ながら、考えてみたのですが、詐欺罪の成立には「処分行為」が必要なのではないでしょうか?
例えば、釣銭の間違いの場合、店員が錯誤に陥り、それを知っていながら告げず、店員が過大な釣銭を渡す(処分する)、という点で詐欺となると思いますが、設例のケースの場合、Aさんが気付いて、Bさんは気が付かず(錯誤に陥ったままで)、それを知っていたとして、それであえて告げなかったとしても、その結果、Bさんが何らかの処分行為をしたわけではないでしょうし。