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■自殺することを「自決」するということがありますが、何となく「戦時中や思想・主義が受け容れられない場合に自殺する」という文脈で使われることが多いので近代以降に特にこのような意味で使われるようになった語なのだろうかと考えておりました。
■ところが、最近、広く自殺をする意味で用いている文も見かけてこの認識は誤りなのかと疑問をもつに至りました。私には「失恋から立ち直れずに自決した」というのがちょっとしっくりこないのです。

(1)「自決」は近世以前にも使われてきた語なのでしょうか?
(2)「自決」の語義に関してはどのように理解すればよいでしょうか?

※「そんなの辞書引けよ」というご批判もあるかも知れませんが、辞書の記載には常日頃から疑いの目を持っている者でございますので悪しからずご容赦ください。

A 回答 (5件)

推測の域をでない回答で恐縮なのですが、



「自決」という言葉は「self-determination(of people) 」の訳語の「民族自決」から来ているのではないかと考えます。(直訳すると「(人民の)自己決定」「(人民の)自己決着」というような意味になります)
「self-determination (of people) 」は、第一次大戦後にアメリカのウィルソン大統領が、「平和に関する14か条」の中で説いた考え方で、日本語では「民族自決」と訳されています。そしてその考え方は、第二次世界大戦後の非植民地化を唱導する語として用いられたようです。
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/kak3/1305012 …
http://www.arsvi.com/0w/ts02/1999062.htm

そこから「自殺」の意味に転化するプロセスははっきりしませんが、「自分の事は自分で解決する」という意味から、自殺の意味に結びつくことは考えられると思います。(個人的には、昔、学生運動でよく使われた「総括」と似たようなニュアンスを感じます)
http://atom11.phys.ocha.ac.jp/front/note/note11. …

なお、「言海」(明治22年初版の辞書)が手元にありましたので、調べてみましたが、「自殺」「自害」「自刃」「自裁」は載っていましたが、「自決」は載っていませんでした。(だからといって、この頃「自決」という言葉がなかったとは断言は出来ないと思います。その他「自剄」「自刎」は載っていませんでした)

少ない資料からの推測ですので、誤りもあると思いますが、ご容赦ください。
とりあえず参考まで。

参考URL:http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/kak3/1305012.htm,http://www.arsvi.com/0w/ts02/1999062.htm
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この回答へのお礼

■丁寧なご回答を頂きありがとうございます。
■「(民族)自決」と自殺を意味する「自決」はなお別語と考える余地はあると思いますが、お示しの内容は推論としては興味深いものを感じました。明治中期の辞書には「自決」は拾われていないことは少なくとも当時一般的な語ではなかったということだと思われますね。
■ご教示を参考にしながらいましばらく調べてみようと思います。ありがとうございました。

お礼日時:2004/08/12 08:06

説明の都合上(1)(2)を逆にご回答申し上げます。



○自決の語義は自らの信念に基づき自分の運命を自ら決する、の謂で皆さんの言われるとおりと考えます(同義語に「自裁」があります)。

○戦争で敗れたとき「敵に運命を委ねるよりは・・・」という状況はその典型ですが、もう少し広く政治思想が世に受け入れられなかったときや自らの死により何らかの責任をとる場合などが含まれそうです(前者の例は三島由紀夫や阿南惟幾(第二次大戦終結時降伏に反対して容れられず割腹自殺した陸軍大臣)など、後者では乃木希典などがあげられるでしょう)

○なお、「自害」「自刃」も似た言葉ですが、物理的に自らを殺める、とのニュアンスがより強く、思想的なものはあまり含まれていないように感じます。

○「近世以前の利用」については個人的には懐疑的です。戦国武将は「自刃」または「自害」がよりしっくりしますし、その妻女は「自害」が当てはまりそうです。江戸時代になり切腹は自ら決するというよりはある意味「名誉ある刑罰」「セレモニー」といった要素も入り、自殺とは一線を画すべきもののようです。

○幕末に至っても思想的な自殺はあまり思い当たりません。禁門の変で敗れた久坂玄瑞は「自刃」のほうが合いそうです。

○全く個人的な見解ですが、「自決」という言葉自体は近世以前にもあったが、それを用いるような状況が少なかった(「自刃」や「自害」のほうが当てはまるケースの方が多かった)ので多用されなかったのではないかと思います。明治以降軍隊の成立や日清・日露の戦争を経て徐々に用いられるようになったのではないでしょうか。

ご参考になれば幸いです。
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この回答へのお礼

■クリアなご意見ありがとうございました。現代の語義としては私の認識とほぼ同じです。
■でも言葉の怖いところは現在用いられている意味合いと過去(オリジナル)に用いられていた語義にズレがでているケースが多いこと。
■「近世以前において『自決』はニュートラルな単なる自殺を意味する語であった」ということであっても驚きません。「そういうことはないのかな?」という疑問からお伺いしてみました。
■またお見かけ頂きましたらよろしくお付き合いください♪

お礼日時:2004/08/12 06:35

「失恋から立ち直れずに自決した」は誤用ですね。


この場合は自殺したがふさわしい用語だと思います。

自決は本人が信念をもって潔く死を選ぶ、自ら命を絶つ意味であり、失恋のように世をはかなんで死を選ぶのとは異なります。

自決という言葉が何時ごろまで遡れるか分かりませんが、自刃や自害に比べれば少し新しいような気もします。でも明治以前に既に使われていたのではないでしょうか。
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この回答へのお礼

■ご投稿ありがとうございました。
■一般的ではなくとも江戸時代以前にもこの言葉はあったかも知れませんね。そして近代以降は体制的・思想的な背景もあって積極的に使われるようになったのかも知れないと思います。

お礼日時:2004/08/12 06:23

>失恋から立ち直れずに自決した」というのがちょっとしっくりこないのです。



「恋愛」というものが上で挙げられた「主義、思想」に当てはまるかといえば
当てはまりません、ですからしっくりこないのでしょう。

かつて、数十年前までは、政治的な主義、思想というものがちゃんとあって
それを貫いて自ら死を選んだ人も居ました。
例を挙げれば、三島由紀夫氏とか・・・ほかに私は思いつきませんが。
確固たる主義や思想を持ち、それに殉じたものを「自決」というのだと思います。
問題はその「主義」や「思想」たるものに、何が含まれるかでしょう。
また日本という国において政治に対して「主義」や「思想」というものが
いつ生まれたかによるのではないかと思います。

「自決」以外にも「自害」「自尽」といった言葉もあります。
「自害」は戦国武将が自殺したという場合に使われることが多いようです。
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この回答へのお礼

■ご回答ありがとうございました。
■語感的には「自決」には仰るようなニュアンスがあると思うんですが、それと異なる用例があると戸惑ってしまいます♪

お礼日時:2004/08/12 06:18

私の個人的意見では、戦いの中での自殺の場合を自決と言うのだと思います。

何故かというと、自殺は自分に負けたというイメージで、組織の「士気が下がる」と考えるからだと思います。そういう意味から推測すると少なくとも、戦国時代からは使われていたと思います。
>「失恋から立ち直れずに自決した」というのがちょっとしっくりこないのです。
同感です。
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この回答へのお礼

■ご投稿ありがとうございます。同義語の使い分けに興味があってこのような質問をしてみました。
■またお見かけになりましたらよろしくお願いいたします♪

お礼日時:2004/08/12 06:07

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