No.2ベストアンサー
- 回答日時:
第一宇宙速度は、円運動の周速度です。
この速度で、加速度なしで等速運動する場合を考えています。
宇宙レベルで考えると、「重力加速度」が一定とは考えれらなくなります。実際、#1さんの計算した「高度3100km」は、地球中心からの半径が 6371 + 3100 = 9471 km ということですから、地表の地球半径の約1.5倍で、万有引力の法則から、重力加速度は (1/1.5)^2 ≒ 0.44 つまり地表の半分以下になっています。
ということで、正確には第二宇宙速度の計算のように「重力場の位置エネルギー」で計算する必要があります。
無限遠を基準にした「重力場の位置エネルギー」は、地球表面では、地球の半径を R として
U = -GMm/R
となります。
同様に、地球中心からの距離を H の宇宙船の位置エネルギーは、
-∫[∞→H](GMm/r^2)dr
なので、地表の位置エネルギーとの差が「打ち上げ時の運動エネルギー」ということになります。つまり
-∫[∞→H](GMm/r^2)dr - ( -GMm/R ) = (1/2)mv^2
ということです。これより、
(1/2)mv^2 = -GMm/H + GMm/R = GMm(1/R - 1/H)
→ GMm/H = GMm/R - (1/2)mv^2
→ 1/H = 1/R - (1/2)v^2 /GM
→ H = 1/[ 1/R - (1/2)v^2 /GM ]
あとはこれに数値を入れて、
R = 6371 km = 6.371 * 10^6 m
M = 5.972 * 10^24 kg
G = 6.674 * 10^(-11) m^3kg^(-1)s^(-2)
v = 7.9 km/s = 7.9 * 10^3 m/s
より
H = 1/[ 1/(6.371 * 10^6 [m]) - (1/2)(7.9 * 10^3 [m/s])^2 / ( 6.674 *10^(-11) * 5.972 * 10^24 [m^3/s^2] )
≒ 1/[ 1.570 * 10^(-7) - 0.783 * 10^(-7) ]
≒ 1/[ 7.87 * 10^(-8) ]
≒ 1.27 * 10^7 (m)
= 12700 (km)
ということです。地球の半径が 6371 km ですから、これを差し引くと地上からの高さ 6300 km 程度ということで、「地球半径程度の高さ」ということです。
なお、静止衛星の軌道が地上約 36000 km ですから、これよりはかなり低いです。
詳しく解き方まで教えてくださいまして,ありがとうございます。
お陰で他の値も代入して試してみることができます。
当初の条件では「地球半径程度の高さ」になるというのは面白いし覚えやすいです。
No.3
- 回答日時:
この場合地球の中心からの距離によって重力が変わってくるという効果が無視できない>#1.
基本的には力学的エネルギーを考えていくことになって, 距離は簡単に
地球の中心から地球の半径のちょうど 2倍 (地表からは地球の半径と同じ)
と求まるんだけど, 時間が正しいかどうかさっぱりわからん. 手元計算では微分方程式を解いてごにょごにょすると
t = (π+2)R^(3/2)/(2√(GM)) (G は万有引力定数, M と R はそれぞれ地球の質量と半径)
になっておよそ 49分 (正確にはこれよりちょっとだけ早い) と出てくる. でも, あってるかどうかがさっぱり分かんないんだよね....
微分方程式を解く計算までしていただき,ありがとうございました。
たまたまではなく力学的には必然的に地球の中心から地球の半径のちょうど 2倍になるのですね。
所要時間の計算が到達高度に比べてずっと難しいとは考えてもみませんでした。
No.4
- 回答日時:
No.2です。
「何分かかるか」を書きませんでした。これは高校物理の「投げ上げ」の宇宙版です。
ただし、「投げ上げ」は地上での話なので「重力加速度は一定」という条件ですが、No.2の最初に書いたように、ここでは「高度が上がるほど重力加速度が小さくなる」ということなので、ちょっと複雑です。
仮に「重力加速度一定」としてしまえば
a = -9.8 (m/s^2)
v = 7.9 * 10^3 (m/s) - 9.8t
最高地点で v=0 となる時間は
t = 7.9 * 10^3 / 9.8 ≒ 806 (s)
ですから約13分です。
実際には、高度が高くなると重力加速度が小さくなって減速が小さくなるので、これよりも長くかかります。
ちなみに、No.2で計算した高度は、地球中心からの半径が地表の2倍なので、重力加速度は地表の 1/4 になっています。
No.6
- 回答日時:
最高到達点が地球の中心からちょうど半径の 2倍になるのは, 第一宇宙速度と第二宇宙速度の関係を考えれば簡単に出ます.
まず第一宇宙速度 v1 は「地表面で円軌道を描くために必要な速度」で, これは引力と遠心力の釣り合いを使って
mv1^2/R = GMm/R^2
から v1 = √(GM/R) と計算できます. 一方第二宇宙速度 v2 は「地表面から垂直に打ち上げたときに無限遠に到達できる速度」で, 計算では #2 のように力学的エネルギーを使って
(1/2)mv2^2 - GMm/R = 0
から v2 = √(2GM/R) です. つまり第一宇宙速度と第二宇宙速度の比はちょうど √2 倍です.
ここで第一宇宙速度 v1 で垂直に打ち上げたときに中心から距離 H まで到達できるとすると
(1/2)mv1^2 - GMm/R = 0 - GMm/H = -GMm/H
なんだけど, ここに上の v1 を代入すると左辺は -GMm/(2R) になるので, 両辺を比較すれば H = 2R となります.
所要時間は #5 の運動方程式を解けばいいんだけど結構面倒くさい. 「dr/dt を掛けて t で積分」がお約束だけどそこからもう 1回積分しなきゃならんし... どこかで見たなと思ったら
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/9767161.html
にあったよ. 途中計算は全部 Maxima に丸投げしたので #3 の結果があってるかどうかは確認してない.
ありがとうございます。Hが2Rと計算できることは分かりました。
49分より少ないと聞いて,第一宇宙速度での地球半周分42分という数字を根拠なく思い浮かべたのですが,そううまい話でもないのですね。
No.7
- 回答日時:
そうですね、投げ上げてから最高点に到達するまでの時間を求めるのは
結局は、力学的エネルギ保存の法則にたよる必要がある。
で、以下のようにしてみました:
地球の中心からrのところを速度vで運動する場合、力学的エネルギ保存の法則
(1/2)mv²-GMm/r=E(定数)が成立つ。
今の場合、r=R のところから第一宇宙速度v₁=√(gR) (g=地表面の重力加速度)
で投げ上げるから、
E=(1/2)mv₁²-GMm/R となり、このEを上の式に入れて、g=GM/R²に注意して
整理すると
v²=gR(2R/r-1)が出てきます。
ここで、運動は地球の半径方向に起こるのでv=dr/dt、またv≧0 なので
dr/dt=√(gR)√(2R/r-1)となり、求める時間をTとすれば、
∫dr/√(2R/r-1)=√(gR)T となります。
この左辺の積分範囲はRから2Rです。
この積分計算は少々めんどいですが、r=2Rt と変数変換して
左辺=2R∫√tdt/√(1-t) 積分範囲1/2~1 となり、さらにt=1-u² と変換して
左辺=4R∫√(1-u²)du 積分範囲0~1/√2 と簡単になります。
これを計算すると、
左辺=2R{(1/2)+(π/4)} となるので、最終的に
T=2π√(R/g){(1/2π+(1/4)}≒2π√(R/g){0.41}となります。
ここで、2π√(R/g)は第一宇宙速度で地球表面を周回する時間なので
Tは、その約41%=34分 ということになります。
積分計算はまだ追いきれていませんが,そのように求めることができるのですね。よく考えてみたいと思います。
大変詳しくありがとうございました。
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