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正倉院御物は難しい読み方の名前を持っているものばかりのようです。漢字だけ見てどうして正しく読めるのですか.どこかに読み方が仮名で書いてあるとかそういうことがあるのですか?

A 回答 (2件)

 大半の正倉院御物には「鳥毛立女屏風」のような名前がついているわけではありません。

宝物といっしょにある目録には「屏風一つ 鳥の毛の女の絵のやつ」のように書いてあるだけです。しかしこれだと同じもの、「屏風」が十も二十もあるとどれがどれだかわからない。そこでこれを識別するために特徴を上にくっつけるわけです。「鳥毛立女」というふうに。
 特徴に関しては目録に書いてあるのを参考にしてつけるものもありますが、中には見た目で後から適当にくっつけたのもあります。目録に「香炉」と書いてあって、見たところ銀製だから「銀香炉」。要するにこれは「創作」です。作った当人が読めないはずがない。
 では創作ではないもの、創作以外の部分、例えば「鳥毛立女」のようなのをどう読むかというのがなかなか難問です。トリゲダツオンナなのかトリゲリツジョ、トリゲリュウジョなのか。何しろ昔のことだからよくわからない。そこで用例を集めます。同時代や近い時代のほかの文献に「鳥」とか「毛」というものが出てこないか探す。すると、古事記やなんかに

   鳥 止利也 (鳥。これはトリと読むべし)

というメモが見つかったりする。こういう断片的な情報をつなぎ合わせて、つなぎ合わせようがないならこじつけて、何とか読みかたを工夫するわけです。したがって、あれはあくまでも推論でしかありません。鳥毛立女のようにいまだにはっきりしたことのいえないものもある。そのなかから、とりあえず正倉院の管理者である宮内庁が「これを正式名称にします」と選んだものが使われているだけです。
 こうした推理をするには、古事記や万葉集のように万葉仮名を使って表記してある書物(特に古事記は漢字で書いて万葉仮名で音の注をしている部分があるので便利)や、奈良時代や平安時代の辞書が大変に重要な資料になります。
 ちなみに仮名の最古の用例は奈良時代末期の文書に見られます。これも漢字の読み方をメモするのに使われているもので、万葉仮名の発展形ですね。もちろん本格的に使われるのは平安時代になってからですが。
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この回答へのお礼

大変栄養価の高い知識をくださいまして誠にありがとうございました.何度も読み返したいと思います.

お礼日時:2004/12/08 17:16

 奈良時代の記録は、すべて漢文です。

読み方が仮名で書いてあるわけではありません。そもそも仮名文字は平安時代からですよね。

 漢文にも文法があり、それにしたがって読んでいるだけです。kaitaradouさんも史学科の学生になって古文書を読むようになると、そのことが分かってきます。私も最初は何が何だか分かりませんでしたが、「平安遺文」や「鎌倉遺文」・「吾妻鏡」などを読めるようになりました。
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この回答へのお礼

どうもありがとうございました。

お礼日時:2004/12/08 14:41

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