最近は地球温暖化の原因になるなどの理由でガソリン車を電気自動車に置き換えよう、といった話が急速に進んでいると思います。実際そういった世の中になるのかどうかは置いておいて、世界中からガソリン車が一台もなくなったとした、それまで自動車用途で消費されていたガソリンはどうなる(どうする)のでしょうか?埋める?燃やす?それとも原油そのものを掘らなくなる?温室効果ガス以外のナニカに置換する?
そのあたりの計画をご存知の方がいらっしゃればぜひご回答いただきたいところではありますが、そうでなくても想像や妄想で回答いただいても構いません。
なお、「そんな時代は来ない」「もっと先だ」のような回答は不要です。この質問は「もしもガソリン車が世界からなくなったら」が大前提です。
No.11
- 回答日時:
>ここで、余剰となるガソリン成分は、現代の技術で転換可能な用途に対して安価に転換でき、かつ需要が余剰ガソリン成分より大きい(つまりガソリン成分は余すことなく使い切られる)ということになるのでしょうか?
はい、そうなります。
「ガソリン成分」というものがあって、それは「ガソリン、ナフサ」として抽出する以外に使い道がない、などというものではありません。
「ガソリン」にするために、ある温度で「分離して揮発する成分」を取り出して、それを精製して「ガソリン」にします。
↓
https://oil-info.ieej.or.jp/whats_sekiyu/1-11.html
原油には、様々な炭化水素化合物の混合体で、しかも硫黄や酸素、窒素、その他の不純物が混合しています。それをいろいろな温度・圧力で蒸留分離させたり、成分同士を結合させたり分解させたりと、様々なプロセスでいろいろな成分を取り出したり、新たな化合物を作り出すことができます。
「1種類のものが、それだけを抽出するしかない形で溶けている」というようなものとは違います。いろいろなものになり得る原料・材料がごちゃっと混ざっています。「ガソリン」にしないのなら、その成分を他の用途にいろいろ使いまわすことができます。
たとえば、より高い温度で揮発させてLPガスの成分にしたり、より低温で分離するジェット燃料や灯油、軽油の成分にすることもできます。最終的には、残った油である「重油」や、不純物も混じった「アスファルト」に含めることもできます。
また、「燃料」だけでなく、化学繊維やプラスチック、建築材料をはじめとする様々な素材が作られます。
「石油化学コンビナート」って、いろいろなものを作り出すことができます。
↓
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E6%B2%B9 …
ありがとうございます。
簡単に言えばこういうことでしょうか?
・ナフサやそれ以外の留分はガソリン以外の用途がある
・ガソリンとして使っていたナフサを他用途に転用したとしても、玉突きで別の成分が余剰となることはない(つまり、1リットルの原油から100ccのガソリンが作れるなら、900ccの原油を掘ればガソリン需要がゼロになってもプラスチックなど他の生成物の供給は*過不足なく*需要にマッチする)
No.12
- 回答日時:
石油を精製するときに、同時に「熱分解」を行い、重質油→軽質油という変換を行っているので、熱分解を行う程度により、ガソリン/軽油/重油...の生成割合を変えることができるので、需要に合わせることができます。
http://www.foc.co.jp/ja/special/03.html
ありがとうございます。
簡単に言えばこういうことでしょうか?
・ナフサやそれ以外の留分はガソリン以外の用途がある
・ガソリンとして使っていたナフサを他用途に転用したとしても、玉突きで別の成分が余剰となることはない(つまり、1リットルの原油から100ccのガソリンが作れるなら、900ccの原油を掘ればガソリン需要がゼロになってもプラスチックなど他の生成物の供給は*過不足なく*需要にマッチする)
No.13
- 回答日時:
No.11 です。
>簡単に言えばこういうことでしょうか?
>・ナフサやそれ以外の留分はガソリン以外の用途がある
>・ガソリンとして使っていたナフサを他用途に転用したとしても、玉突きで別の成分が余剰となることはない
まあ、そういうことなんでしょう。
要するに、「ナフサ」にしても、それを精製した「ガソリン」にしても、純粋な「1種類の化合物」ということではなく、いろいろな「炭化水素化合物の混合物」です。成分の配合や精製・合成のしかたを変えれば現在自動車用に使われている「燃料用ガソリン」以外の様々な製品になるということです。
極端な話、「重油に混ぜて燃やせばボイラーの熱源になる」という使い方だって立派な用途です。
>(つまり、1リットルの原油から100ccのガソリンが作れるなら、900ccの原油を掘ればガソリン需要がゼロになってもプラスチックなど他の生成物の供給は*過不足なく*需要にマッチする)
上に書いたように、これは全くの「的外れ」です。
1リットルの原油から100ccのガソリンが作れ、その「燃料用ガソリン」が全く不要になっても、1リットルの原油は他の用途にフルに利用できます。
原油は、「それ自身が燃料」であると同時に「様々な製品(混合物、化合物)を作り出せる原材料」なのですから。
ひょっとして、原油の中に、約10%の濃度で「ガソリン」という純粋物質が含まれているとお考えですか?
(鉄鉱石の中に「鉄」が、金鉱石に中に「金」が含まれているように、原油には「ガソリン」という物質が含まれているというイメージ)
そうではないのですよ。
↓
https://www.kuwana-kagakugiken.jp/%E3%81%8A%E3%8 …
ありがとうございます。
>上に書いたように、これは全くの「的外れ」です。
>1リットルの原油から100ccのガソリンが作れ、その「燃料用ガソリン」が全く不要になっても、1リットルの原油は他の用途にフルに利用できます。
これは話が違うと思います。「別用途に利用できる」は真だと思いますが、今まで使ってこなかった用途に使うという意味ですよね?要するに、新たな需要を発掘しなくてはならないということであり、供給過多になるとしか読めません。上記の「ボイラーで燃やす」でもそう読めます。
No.14
- 回答日時:
No.13 です。
「お礼」に書かれたことについて。>要するに、新たな需要を発掘しなくてはならないということであり、供給過多になるとしか読めません。
いやいや、この世の経済原理は「需要と供給」のバランス、その結果の「価格」で決まります。
今現在でもいろいろな用途の需要があるわけですが、「自動車用燃料ガソリン」用途の需要が多い、つまり「高く売れる」のでそちらに回っているわけです。
「自動車用燃料ガソリン」用途の需要が減って価格が少し下がれば、次に使いたい需要がすぐに立ち上がりますよ。「今の価格ではペイしないが、原材料価格が下がれば新たな需要が出て来る」ということです。
「新たな需要の発掘」などしなくとも、手ぐすね引いて待っている業界はいくらでもあります。
それは、石油輸出国(OPEC加盟国)が市場価格を見ながら産油量を調節しているも同じです。今は「価格が下がらないように産油量を抑えている」状況です。(産油国には、石油を「商品」として輸出に回すために、自国のエネルギー源・海水からの淡水製造源として原発を計画している国が多い)
さらに、ロシアの動向によっては石油価格や産油量が大きく変動するでしょう。
そういった動向は「ガソリン」の生産量だけで決まるものではありません。
ありがとうございます。
仰ることはわかりました。少なくとも言えることは、私の疑問に対する直球の答えは「わからない」もしくは「余る」のどちらかということですね。代わりに、「余った分はきっと他の誰かが良しなに使ってくれるでしょ」と。当初の質問に対するご回答としては満足しております。
ついでに、もしご存知でしたら教えてほしいのですが、現在の自動車用ガソリン需要以外の石油需要が全く変動しないと仮定し、そこから自動車用ガソリン需要がゼロになった場合に、単純に採掘量を減産すれば済むのでしょうか?言い換えれば、これまでガソリンのために使っていた成分(ナフサ留分など)を、減産により不足した成分(軽油留分、LPGなどから生成される物質)にすべて転換させることが可能なのかどうか。これは、科学的な興味として知りたいところです。
No.17ベストアンサー
- 回答日時:
実際にガソリンの需要が極端に少なくなったときにどうなるのか?
石油化学業界がどのように対応するのか?世界情勢はどうなるのか?
本当のところは分かりませんので、あくまで個人的な想像です。
原油を沸点ごとに分留して、ガソリン成分を取り出す。
それとは別に高沸点留分にクラッキング(熱分解)やリフォーミング(改質)して、ガソリンを作っている質問者さんもよくご存知のことです。
ガソリン自動車がなくなって、ガソリンの需要が少なくなったときも
高沸点留分はクラッキングをして低沸点化は続けると思います。
そのまま、高沸点留分としてA重油として燃やすよりも高付加価値にできると思うからです。
ガソリン留分は、さらにクラッキングやリフォーミングすれば、プラスチックの原料になります。
ですから、ガソリンの需要が減った場合、それをプラスチック原料に転用するという流れになると思います。
一例として、エチレン、プロピレンやBTX(ベンゼン、トルエン、キシレン)にまで、クラッキングすれば、エチレンからポリエチレン。キシレン→テレフタル酸→ポリエステル(PET)の原料。
ベンゼン+プロピレン→クメン クメン+O2→クメンハイドロパーオキサイト
クメンハイドロパーオキサイト+H2O→フェノール+アセトン→ビスフェノールA→エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂の原料。
種々転用可能だと思いますよ。
質問者さんの補足コメント
>ここで、余剰となるガソリン成分は、現代の技術で転換可能な用途に対して
>安価に転換でき、かつ需要が余剰ガソリン成分より大きい
>(つまりガソリン成分は余すことなく使い切られる)ということになるのでしょうか?
はい、そうなると思います。
当然、プラスチック原料として、ガソリンに使われているものも転用されるのですから、原油としての消費量は減ると思いますよ。
結論として、ガソリンが使われなくなれば、その分原油の需要量自体は減るが、原油から生成されていたガソリン成分は、他の用途に転用されガソリンの処分に困ることはないと思います。
ありがとうございます。
知りたかったことにストレートかつスマートににお答えいただき感謝します。
「あくまで個人的な想像」との前置きですので何とも言えない部分もあるかとは思いますが、少なくとも技術的には可能であることはよくわかりました。実際問題としては、単に技術的に可能であるだけなのか、経済的にも十分可能性がある(石油製品の製造原価が過度に跳ね上がってしまわない)のかで、進む道を探っていく感じになりそうですね。
No.18
- 回答日時:
No.17です。
回答へのお礼を拝読しました。
>少なくとも技術的には可能であることはよくわかりました。
はい、技術的に他用途への転用は可能です。
ナフサを粗製ガソリンと同じようなものとすれば、
現在もガソリン成分からプラスチック原料や医薬品原料、種々化学品原料を
作っています。(誤解を恐れずに書いています。)
自動車用ガソリン用途が全くなくなった場合、原油全体の消費量、
つまり石油化学会社にとっては製品販売量が減ってしまうので痛手となりますが、ガソリン成分を無駄にすることはないと思いますよ。
http://www.jpif.gr.jp/2hello/conts/dekiru1.pdf
https://www.jpca.or.jp/studies/junior/howto.html
下の資料では、ガソリンとナフサを別に表記して、ナフサから種々製品が
出来上がっているような図になっていますが、それは現時点ガソリンという
製品が存在するからです。
質問者さんの想定として、ガソリン用途が無くなれば、このガソリンという表記がなくなって、全てナフサとして種々用途に利用されているという
表記ななるはずです。
ありがとうございます。
ご紹介いただいたサイトの図だと製品に対してナフサが根になっているのが気になるところですね。恐らく簡単に説明するためにこのような図にしているだけとは思いますけど。
No.19
- 回答日時:
No.12お礼文
>他用途に転用
これ、非常に気になります。ここがキモだから。
ガソリンを化学変化(=熱分解や重合といいます。)を変化させて灯油とかLNGにすることも転用というのかどうか。
NO.13お礼文で
>今まで使ってこなかった用途に使う
と書いているのは、化学変化は他用途に転用に含まないという意思表示なので、質問者さんにとっては、転用に含まないという意味で使っているとします。
※NO.13以前の回答者さんは、化学変化も転用に含む、という意味のことがありうる、ということ。そして、そういうことを前提に文の意味を解釈する必要がある、そういうことを忘れずに。
※※まあ、No.10以降の回答だけ考えればいいのだけど。
で、現状ではどうなっているか。
個人HPなので情報の精度が確保できていないが、コレかわかりやすいので。
https://takagichi.com/%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%81%A …
原油から単純に生成した場合の比率(=得率):ガソリン+ナフサ で、30%
現在の需要:ガソリン+ナフサ で、55%。
得率と需要で、得率が大きいのは重油のみ。
よって、重油を化学変化(=熱分解)させて、その他の需要をまかなう。
ガソリン需要が減った時の当面の方法:
重油を化学変化させる割合を減らせば調整できる。
ガソリン需要がゼロになった時の方法:
まあ、ガソリンは、ほとんどエンジン需要なので、ほぼゼロもありうる。
ナフサ需要は20%。ガソリンは25%くらい。ガソリンがゼロになる。
そうすると、あらためて需要割合を求めると、
ナフサ需要は20%÷0.75 = 27%
ガソリン+ナフサは、ちょい余ります。
余った分は、熱分解してLNGにするか、重合して軽油灯油にすればいいだけ。
現実として、
電気自動車に置き換えるとすると、火力発電が増える。(旧式発電所は重油。新式(コンバインド発電)はLNG。かなりざっくりなので例外多数あり。)
よって、ナフサ需要27%は、多少下がる。
将来のナフサ需要(≒プラスチック等の材料としての需要)は当分減らない。
LNGも絶賛輸入中。
よって、重合することはまず起こらない。熱分解だけで調整できてしまう。
これらのことから、
No.12回答で
>熱分解を行う程度により、生成割合を変えることができるので、需要に合わせることができます。
と書きました。重合は不要との判断と受け取ってもいいです。
ありがとうございます。
回答文の随所にある「~だけ」が、それぞれ低コストであれば納得できます。結局、「~だけ」を実現するために燃料として大量の油を燃やさなくてはいけなくなるとなればまた話は変わってきそうですが。
No.20
- 回答日時:
逆です。
ガソリンがある以上はガソリン車は残ります。
ただ、100%ガソリンを使用している車を減らして行く流れで石油系社員も新卒を入れないようにして行くとか、徐々に徐々に減らして行くんですよ。
もし完全にガソリンを無くしたら失業者が増えて犯罪大国になります。
日本って車とか燃料での事業もかなり大きいので。
ありがとうございます。
質問の趣旨は、前提の「たら・れば」を起点としてどうなるかということですので、もしよろしければこの「たら・れば」の世界を想定した上でお付き合いいただけると嬉しいです。
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