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よくSFの世界などに登場する指向性エネルギー兵器が実際に目標に命中すると、具体的にはいったいどういった物理現象が起こるのでしょう?

いわゆる荷電粒子砲などは粒子ビームを目標に照射しているのですよね。高速加速された素粒子が物質と衝突すると何が起こるのでしょうか?(核反応とかがおこるのでしょうか)

陽電子などの反粒子をビームとして打ち出すものもよくあるようですが、上と同じように、結果的はどういった物理現象がおこるのでしょうか?(質量変化で膨大なエネルギーが生じるであろうことは予想されるのですが。)

プラズマをビームとして打ち出すものもありますね。これも当たるとどういうことが起こるのでしょう。

これらの現象を兵器利用することに関する理論・技術考証については、こちらのログを読ませていただき、ある程度の理解はできたつもりですので、
『当たるとどうなるのか?』
ということを中心に回答していただければ有難く思います。

A 回答 (8件)

>具体的にはいったいどういった物理現象が起こるのでしょう?


基本的には、単位面積でどの位の速さで(W/m^2)どの位のエネルギー(J/m^2)が吸収されるかで決まります。エネルギーだけでなく速さが問題になるのはある程度の時間を経ると、吸収されたエネルギーが熱伝導や対流、噴射などで逃げて、実効的に吸収される体積が大きくなってしまうからです。その時間も吸収の仕方(電子にエネルギーが移るか原子核に移るか)も量子の種類(光子、電子、陽子、重イオンなど)とエネルギーで違います。
吸収されたエネルギーが、融解、蒸発、イオン化、核反応に必要なエネルギーであればそれ対応した現象が起こるだけです。

>(核反応とかがおこるのでしょうか)
上の説明でお分かりと思いますが、起こります。だけど、核反応には数MeV(百万電子ボルト)のエネルギーがいるので、光子のエネルギーが1eV程度のレーザーで直接核反応を起すためには、原子1個に対して一瞬(光が原子を通過する)の内に数百万個吸収されなければなりません。このようなことが起こる確率は非常に低いので、10^26W/m^2の強度が必要です。
とても兵器には使えそうもありません。

真面目に、お知りになりたいのなら、「指向性兵器」(いわゆるビーム兵器)について、アメリカ物理学会が出した200ページ近いレポートがあります。
"Report to the APS of the study group on science and technology of DEW", Reviews of Modern Physics, Vol.59, No.3, Part II, (1987), p.S9-S201
20年位昔のモノで、最先端のビーム発生技術などはさすがに違いますが、地球(宇宙)規模の話しでは問題になりません。今でも十分参考になります。
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ビームの種類やエネルギーの大きさによって違ってくると思います。



高強度パルスレーザーの場合、最初は表面がプラズマになり、その後はプラズマにレーザーが吸収されてプラズマが加熱、ということが繰り返されるようです。表面が徐々にプラズマ化していくのではないでしょうか?
さらに高強度のレーザーが当たるとになると物質中の電子が吹き飛ばされ(核は重いのであまり動かない。)、前方に飛んでいく電子ビームとなるようです。そのビームに引きずられて核も移動するため物質が崩壊するかもしれません(スーパーコンピュータによるシミュレーション結果。すみません、URL見つかりませんでした。)

中性子の場合、速度によって核反応が起こる場合と散乱される場合があるようです。(原子炉で減速材を使用しているのも核反応を起こしやすい速度にするため)散乱された場合、運動エネルギーは熱に変化すると思います。核反応(原子核に中性子が吸収される)が起きた場合、鉄より小さな原子番号の原子は核融合なので運動エネルギー+反応熱が発生して強くなり、鉄より大きい原子番号の場合は核融合すると逆に吸熱して運動エネルギー-反応熱とになって弱くなってしまうと思います。陽子の場合は電気的な反発力があるので中性子より散乱が大きくなるでしょうが、速度を上げれば中性子と同じと思います。どちらの場合も大きな運動量が伝達されるので原子核が突き飛ばされてプラズマになるのではないかと思います。

電子の場合は、電気的な散乱により熱を生じ、また、電子ビームの流れに核が引きずられて物質が崩壊するかもしれません。

反粒子の場合は対消滅のエネルギーがありますが、ガンマ線になってしまうので、熱にならないかもしれません。また、光速の96.8%を超えると運動エネルギーの方が対消滅のエネルギーより大きくなるので、反粒子でも通常粒子でも同じになるでしょう。

プラズマ流は、陽子や電子や原子核などを混ぜて当てるのと同じかもしれません。電子と原子核が同じスピードで飛んでくるとすると電子は質量が小さいのでほとんど効かず、結局、原子核線(イオンビーム)の照射になると思います。

いずれの場合も目標物の表面がプラズマ化して、プラズマのバリアのようなものが出来てしまい、障害になるのではないでしょうか?もちろんパワーをガンガン上げれば力ずくで貫通させることは出来ると思います。

結局、強度が非常に強い場合は、ビームが電磁波でも中性子でも荷電粒子でも、目標物の電子や原子核が吹っ飛んでプラズマ流になるのではないでしょうか?

また、エネルギーが大きい場合素粒子の対生成が起きてハイペロンなどのいろいろな素粒子が生成されて、これもビームになって前方に放射されることになると思います。

素粒子反応が起こるようなエネルギーになるとニュートリノが発生してエネルギーが持ち去られてしまうかもしれません。効率のよいビームのためにはニュートリノの発生を抑えるような粒子の種類とビーム強度を考える必要があるかもしれません。
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この回答へのお礼

本当に有難うございます。
これでもう疑問は完全に解決しました。
ここまで系統だてて教えていただけるとは思っていませんでしたので、大変うれしいです。

お礼日時:2005/06/24 21:58

もう、ほとんどの結果が他の方により回答されていますが、なかには面白いものもあります。


”ビーム「砲」”ではないんですが……。

その名も「痙攣ビーム器」。
紫外線レーザーを照射することで人間の筋肉や神経を刺激し、動きを奪うものです。
現在実用化に向けて研究中だとか。
http://hotwired.goo.ne.jp/news/technology/story/ …
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この回答へのお礼

そんなものがあったとは、興味深いですね。
だんだん現実がSFに近づいていくような気がしますね(笑)。

お礼日時:2005/06/22 17:04

>具体的にはいったいどういった物理現象が起こるのでしょう?



発生するのは衝撃波と熱なんですが、
ビームの種類、エネルギーの大きさによって、衝撃波と
熱の発生の割合が違います。

 衝撃波が強いと、音の発生と共にターゲットの
破壊が起きます。熱の発生が大きいとターゲットが
溶けたりします。

http://www.plasma.t.u-tokyo.ac.jp/pict/facilitie …

↑このURLの写真は、電子銃加熱、若しくは
電子銃蒸着法と言って、目には見えませんが、
電子ビームが電磁石で曲げられて、真中の
丸く輝いている金属部分に直撃している
ものです。

原理は以下↓の図のようになっています

http://www.jeol.co.jp/science/eb/shinkuu.html

曲げられた電子ビームが当たっている先の
蒸着物と記載された部分が、先の写真の
丸く輝いていた部分です。
 
 この場合、容器内を真空にしてあるので、
電子ビームで加熱された金属は、水の
ように蒸発して行きます。


以下の写真は、パルスレーザー蒸着法と
いって、写真で言うと右下のほうから
パルスレーザーが、ターゲットと記載されて
いる上の部分に当たっています。
この場合、レーザーは可視光線の波長ではないので
目には見えません。
http://laserlab.ed.kyushu-u.ac.jp/ablation.gif

 レーザー光源は、フッ化クリプトンのガスを
使ったエキシマレーザーと呼ばれるもので、
1秒間に4~8回くらい点滅するパルス
レーザーです。
 パルスレーザーが当たると、この写真のように
プルームと呼ばれる、プラズマと原子のクラスター
を含んだ炎が吹き出ます。
 この場合、ターゲットはセラミックで
パルスレーザーが当たると、パチッと音がして
このプルームの炎が出ます。衝撃で
ターゲットが削られているので、長時間やると
ターゲットに穴が開きます。

>(核反応とかがおこるのでしょうか)

 一方からのビームで核反応は難しいと
思います。原子核同士は陽子の存在により
プラスの電荷を持っていますから、近づこう
とすると、この電荷の影響で寂斥力が
働きます。
 一方からのビームでは、せいぜい原子レベルで
物質が飛び散るだけで、原子核同士は核反応が
起きるほど接近しません。

 例えば、レーザー核融合という方法では、
ガラスの丸い球に重水を詰め込んで、
逃げ道がないように、周囲から複数の
パルスレーザーを同時に一斉照射します。

参考URL:http://www.plasma.t.u-tokyo.ac.jp/pict/facilitie …
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この回答へのお礼

疑問が氷解しました。
大変有難うございます。
順を追って説明していただいたおかげで、非常に理解しやすかったように感じました。

お礼日時:2005/06/22 17:01

SF作品で指向性エネルギー兵器の描写が秀逸だな、感じたのは


谷甲州氏「航空宇宙軍」シリーズ、キャサリン・アサロ女史「スコーリア戦史」シリーズなど。

作品内で実際に距離、出力などでの変化を描いています。
船体に損傷を与える、電子機器を誤作動させるなどなど、、、。
つまり、加熱、電離、放射などの現象で何が起こるのか?
状況設定次第で多くありすぎます。
アサロ女史などは宇宙工学の専門家なので現実味たっぷりです(笑

参考URL:http://www.bk1.co.jp/product/625137
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この回答へのお礼

大変興味深い作品まで教えていただき、有難うございます。
私も科学考証が確立されている作品は非常に好きなもので、是非読ませていただこうと思っています。

お礼日時:2005/06/21 22:41

粒子によって異なるでしょうが、一般的には加熱と電離でしょう。

中性子は誘導放射も起こせます。相手が核分裂物質なら核分裂も起こせますね。荷電粒子なら電磁パルスも起こせるかもしれません。

実際に、ブラウン管の電子銃とか、電子顕微鏡、中性子線透過写真、レントゲン装置、加速器などが利用されていますので、それを参考に考えれば良いと思います。
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この回答へのお礼

回答有難うございます。
なるほどよくわかりました。

私はプラズマに関して全くの無知なのですが、プラズマビームの場合も、プラズマを一種の荷電粒子群と考えればいいのでしょうか?

お礼日時:2005/06/21 22:30

SF的な回答を期待されているのでしょうか?



私が目にした事のある現実の話では、高出力の青色レーザーがあります。これは兵器ではなく実験用だったのですが、黒く塗られた金属の遮蔽板が焼け爛れていました。このことから、レーザー兵器が当たると焼けてしまうのだろうと思います。

現実派エンジニア的回答でした。
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この回答へのお礼

まさにこちらの期待どおりの回答志向で、大変有難うございます。

するとやはり、レーザーの場合は、レーザーのもつエネルギーが熱として作用するということですね。

お礼日時:2005/06/21 01:22

僕の読んだ「空想化学大全」という本によると、まず粒子ビームは小さいながらも質量を持ったものが高速で衝突するため、散弾銃のような効果が期待できる。

また、通常の粒子の代わりに反粒子を使えば破壊力はさらに増すらしい。
でも陽電子などの反粒子を大気中で撃っても、空気はふんだんに電子を含んでいるため撃ったら勝手に反応して消滅してしまうため、空気が分厚いバリアになって、なかなか敵には届かない。
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この回答へのお礼

さっそくの回答、有難うございます。
自分は頭の回転が悪いので、トンチンカンなことを言ってるかもしれないのですが、自分なりに整理すると・・・

『散弾銃のような効果』というのは、高い運動エネルギーをもった素粒子が、広範囲にわたって衝突するということでしょうか?
また、運動エネルギーのほかに、原子核との衝突によって生じる電磁波云々に関しては、現象として無視できる程度のものなのでしょうか?

『反粒子を使えば破壊力はさらに増すらしい』というのは、運動エネルギーのほかに、対消滅による質量変化からくる膨大なエネルギーが生じるということと、原子構造を決定する素粒子の一部が消滅し、それゆえに原子構造が崩壊するということでしょうか?

お礼日時:2005/06/21 01:33

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