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私は、強誘電体の構造解析している学生です。
X線粉末回折実験から、リートベルト解析をおこない構造と物性の関係を議論するという研究をしています。
最近までは、すでに空間群のわかっている相の構造解析をしていました。ですが、今回から空間群のわからない相の解析をすることになりました。そのため具体的にどういう作業をしたら、よいかわかりません。
どういう作業をすればよいのでしょうか?
現在まわりに結晶学の知識のある人がいないので困っています。
現状況としては、
(1)実験は、粉末X線回折実験。
物質は、強誘電体。
(2)解析したい相は、強誘電体の低温相。
高温相の空間群(cubic)は、わかっています。
(3)低温相の点群は、偏光顕微鏡による実験からわかっています。
(4)低温相では、自発分極がでています。
(5)低温相と高温相の実験結果を比べると、ピークが大きくスプリットしているものなどは見られない。
おそらく構造の変化は、微小。
(6)低温相と高温相の半値幅を比べ面間隔の変化を計算した結果、格子の変化はとても小さい。
(7)低温相で新しくでたピークに指数をつけた。
つけた指数は、h,k,lがすべて奇数とすべて偶数のものしかなかった。
ただ新しくでたピークは少なく、それ以外に規則性が見当たらない。

次になにをすればいいのでしょうか?
点群がわかっている時点ですでにかなり空間群は絞れていると思うのですが、なにぶん結晶学の知識がないため前に進みません。

A 回答 (1件)

私はX線回折は使っていますが、リートベルト解析や未知構造物質の空間群決定などの経験は有りません。


まず、リートベルト解析法は、通常ほぼ構造が推定できる結晶の原子位置を精密化するための手段だと思います。未知構造の空間群決定には、単結晶による多分ラウエ法やワイエンベルグ法のような写真法を使うか、粉末のディフラクトメーター測定結果を、JCPDSデータベースなどを使って既知の結晶と比較して定性評価するかでしょうね。
今回の場合、既に構造が分かっている結晶の低温相の解析で、しかも大きな構造変化は無さそうだということなので、高温相の構造を基に考えて良いのでは無いでしょうか。
(5)でピークのスプリットが無いということなので、対称性が低下するような大きな構造歪みは起きていないようですね。
(6)の半値幅の評価は、結晶の面間隔の分布を引き起こすような歪み情報を与えるもので、面間隔そのものはピーク位置で評価します。これも、ほとんど変化は無いわけですね。
(7)の意味は、いくつか新しいピークが出たのですか?これは、どうやって指数付けしたのでしょうか?大きな構造歪みが無く、新しいピークが出たということから、誘電分極による長周期構造が現れた可能性が考えられます。その場合には、高温層のピークの整数倍のd値に相当する位置にピークが出ている可能性が高いです。もし、そうなら、その面方位ベクトル方向に分極が生じていると考えられるのではないでしょうか?
この分極による原子変位を定量的に評価するには、リートベルト解析が有効だと思います。

この回答への補足

私の説明不足であるにもかかわらず、丁寧な回答ありがとうございます。
(7)の意味は、いくつか新しいピークが出たということです。ただ新しいピークは、とても少なく解析できる範囲をすべて調べても10ほどしかありませんでした。
指数付けに関してですが、
1/d^2=(h^2+k^2+l^2)/a
という逆格子ベクトルから計算したcubicの場合で求めた式からだしました。

>大きな構造歪みが無く、新しいピークが出たということから、誘電分極による長周期構造が現れた可能性が考えられます。

私もkenojisanさんと同じように新しい反射は、超格子反射だと思っています。

>高温相ピークの整数倍のd値に相当する位置にピークが出ている可能性が高いです。

例えば高温相でd=1.2の位置にピークがあるとして、低温相で新しいピークがd=2.4の位置にでているということなのでしょうか?

現在は、可能性のある空間群(20ほど)のそれぞれの消滅則を『international table』から抜き出して指数と比べて空間群を絞ろうと思っています。しかし、消滅則の書いてある場所に「no condition」「no extra condition」と書いてある意味がわかりません。泉さんの本を読んでも載っていませんでした。よかったら、ここの意味も教えていただけないでしょうか?

補足日時:2006/06/01 22:39
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