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 いつだったかNHKの特集番組で宇宙は膨張し続ける、というような内容が紹介されていました。それまではダークマターの総量により、ある時期宇宙は収縮へと向かう局面を迎える可能性もあると何かで読んだことがあるのですが、この話はどうなったのでしょう。宇宙中の暗黒物質の総量がついに確定されたのでしょうか。頭の悪いド素人の興味本位の質問でして、わかるようにお教えいただければ幸いです。

A 回答 (4件)

ダークマターの正体は、まだ確定したわけではありませんが、ダークマターという地球上から見えない、普通には見えない物質があり、その質量が問題となります。



宇宙内の全物質の質量にある閾値があって、その値より全質量が大きいと重力の力によって、宇宙は収縮に向かいますし、それより小さいと、膨張しつづけます。

現在、ダークマターを含めて、全質量の予想値が計算されていますが、この閾値のちょうど近辺であることがわかっていて、宇宙は収縮するのか膨張しつづけるのか微妙な問題です。

そこで、いま注目されているのが、ダークマターの一つと考えられている、ニュートリノという素粒子に質量があるか、という問題です。もし、ニュートリノに質量があると、全宇宙の質量は閾値を越えて、宇宙全体は収縮に向かうことになります。
で、最近の研究ですが、どうやら、ニュートリノには質量があるということに決まりそうです。この質量の測定の実験をやったのは、日本の研究者で、岐阜県の神岡にある、スーパーカミオカンデという実験装置で、飛んでくるニュートリノをとらえて質量があることを発見しました。
つまり、この通り、ニュートリノに質量があると、宇宙はやがて収縮に向かうと考えられ、現時点では、宇宙はやがて収縮するという方向で考えられていると思います。
しかし、他にも研究が進んで、また宇宙の全質量の予想値が変われば、また宇宙の振る舞いの予想も変わるかもしれません。今のところ、宇宙の暗黒物質の質量の総量は確定していません。
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この回答へのお礼

 そういえばスーパーカミカンデのセンサーのいくつかがが壊れてしまったというニュースがありましたね。ニュートリノに質量があるらしいことが分かった時は衝撃的でしたが、ほんとに残念です。ハッブル定数に関する有名なフリードマンとサンデージの論争は今はどうなっているのでしょうか。これもたいへん興味深いところです。
 わかりやすい回答いただき、感謝します。

お礼日時:2002/03/21 23:45

 ニュートリノについての補足です。


 chukanshiさんの述べておられるように,ニュートリノは確かにダークマターの候補ではありますが,これがダークマターの主要素とはなり得ない,という理論があります。
 岩波書店の「科学 2001年8月号」で,宇宙論の特集を組んでいますが,その中で,暗黒物質に関する論文によれば,
(頁1052-1058)

○宇宙の暗黒物質を説明するには,ニュートリノ質量とし
 て約8eV必要である。
○神岡をはじめとする実験で,ニュートリノに質量がある
 ことは確認された(ニュートリノ振動の観測)。
 ただし,ニュートリノ振動実験でわかるのは,質量の
 自乗差である。
○ニュートリノの質量が,(電子ニュートリノ)<
 (ミュー・ニュートリノ)<(タウ・ニュートリノ)と
 すれば,大気ニュートリノ実験から一番重いと考えられ
 るタウ・ニュートリノの質量でも0.05eV程度である。

 したがって,ニュートリノが暗黒物質として宇宙の密度を担うには,全く足りない,というものです。

 では他にどんな候補があるかというと,一つは「超対称性粒子」,もう一つは「アクシオン」と呼ばれる粒子が現在のところ有力視されているようです(詳細は省略)。
 また,「Qボール」などというのも考えられているそうです。


<管理者さまへ>
上記引用が著作権に抵触するようであれば,掲載いただかなくてもけっこうです。
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この回答へのお礼

 ご回答ありがとうございます。この分野の一番の問題は論理や技術の産業分野へのスピンアウトがきわめて少なく、必要な予算がなかなかつきにくいことのようです。いろんな場でこういう話題に皆が興味を示せば、多少は好転するかもしれませんね。ご紹介いただいた本はバックナンバーが手に入れば是非読んでみたいと思います。

お礼日時:2002/03/23 07:50

現在までの観測データを総合すると、


収縮に向かう可能性はほとんどありません。
収縮に向かうかどうかの物質密度の臨界値を1とすると、最近の流行は、0.3程度です。

では、ダークマター問題解決?かというと、楽しいことにそうではなくて、
バリオン(中性子+陽子)~0.03
ニュートリノ~0.1程度?
なので、残り0.1ちょっとは、未知の物質である可能性があります。

理論的には、ダークマター問題がニュートリノで解決してしまうと、銀河形成論的に困った事態が生じます。
その場合には、10Mpc程度の大規模な構造は形成されるのですが、それ以下の構造が形成されなくなってしまうからです。
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この回答へのお礼

 なるほど!とうかつには言えませんが、だいたいの理論の輪郭は掴めたと思います。相手が「ダークマター」だけに観測はむずかしいのでしょう。それにどうしても「理論」が先行してしまうのは仕方がないのかもしれませんね。いただいたヒントを手がかりに、これから私なりに深めていきたいと思います。ご回答ありがとうございした。

お礼日時:2002/03/23 07:59

>ハッブル定数に関する有名なフリードマンとサンデージの論争は今はどうなってい


>るのでしょうか。

ハッブル定数は、50~100(km/s/Mpc)の間でいろいろ議論がありましたし、ハッブル定数自体が引き起こす矛盾、宇宙の年齢より、昔の天体があるなど、も沢山あると思います。現在では、観測結果から、ハッブル定数は80くらいという説が強いです。
フリードマンとサンデージの論争がいま具体的にどうなっているのか、申し訳ないですがわかりません。

それから、ibm_111さんご指摘の通り、宇宙が収縮する可能性は低いというのが現在の一般の予測なのかもしれません。どうも、最近の結果までフォローしきれていないのですみません。最近の流行は、0.3ですか。私が学生だった頃は、1をまたいで、1より大きい説と、小さい説と両方あったので。まあ、とにかく、宇宙の総質量の議論は、これからも絶えないと、私自身は思っています。

foolproofさんご指摘のように
「これがダークマターの主要素とはなり得ない,という理論があります。」
というのは、まさにその通りです。最近ニュートリノの話題がホットなので、ニュートリノのことをかきましたが、他にもダークマターの候補は沢山あって、「アクシオン」とか「超対称性粒子」とか、本当にいろいろな素粒子が候補に上がっています。しかし、これらの素粒子はまだ発見すらされていません。
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この回答へのお礼

 宇宙が収縮に転じるポイントがあるとすれば、「オルバースのパラドクス」を解決している理論と反対のことが起きて、夜でも明るくて便利などとはいってられない惑星生命にとって致命的な事態が起こると聞いたことがあります。確かに感覚的にはそういうことは考えにくいような気がしますが、もちろんうかつには言えません。暗黒物質を含めた宇宙の総質量が宇宙の運命を決める、という話と、NHKでやっていた「真空の力」の作用で宇宙は「膨張しっぱなし」という理論の間には何らかの連続性があるのか、ないのかたいへん興味深いところではあります。

 この分野における研究や観測が長足の進歩をとげることを願って止みません。再び回答いただき感謝します。

お礼日時:2002/03/23 08:19

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